憲法96条を巡る議論、各党活発に
憲法記念日である昨日5月3日、
与野党の間で、改憲、護憲双方の立場より論戦が展開されました。
論戦の主要な焦点となったのは、憲法第96条です。
(写真は改憲派の「新しい憲法をつくる国民会議」集会の様子)
現憲法第96条は、憲法改正の発議要件を定めた条文です。
第96条では、憲法改正のためには、衆参各院で議員の3分の2以上の賛成で改憲案が発議され、
さらに国民投票で過半数の賛成を得ることが必要であると定めています。
このように改正要件が通常の立法手続きよりも厳格であることから、
現憲法は「硬性憲法」と呼ばれています。
これに対し、通常の立法手続きで改正できる憲法のことを「軟性憲法」といいます。
今回の各党の論戦の焦点は、憲法改正をより容易なものとすべく、
第96条における発議要件を、議員の「2分の1以上の賛成」に引き下げるべきか否か、です。
自民党や日本維新の会、みんなの党、新党改革は第96条の改正を推進する立場を表明しています。
その一方、民主党や共産党、生活の党、社民党、みどりの風は反対の姿勢を強調、
公明党は慎重論を唱えています。
安倍首相は今夏の参院選の争点としてこの第96条の改正を掲げる方針であり、
今後、各党の間で憲法を巡る論議がますます活発化していきそうです。
(写真は訪問先のトルコにて96条改正の考えを改めて表明した安倍首相)
憲法96条が改正され、憲法改正のハードルが下がれば、
我が国の交戦権を否定する第9条の改正も視野に入ってきます。
第9条改正は、長年、右派にとっての悲願ともいえる課題でした。
しかしながらその一方、現憲法の改正規定に基いて憲法改正を行うことは、
GHQに押し付けられた現憲法を我が国の憲法として容認することにつながるため、
「改憲」ではなく、そもそも現憲法を無効のものとして「破棄」せよと主張する
「憲法無効論」も、近年では右派の間で盛んに提起されています。
このように現憲法を巡っては、右派の内部でも積極的に論戦が交わされているのです。
今後、国会で第96条を巡り、どのような論戦が交わされるのでしょうか。
そしてその国会での論戦に、上述の「改憲」派と「憲法無効論」派の議論は反映されるのでしょうか。
今後の政界の動向に注目していきたいと思います(F)。
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