反移民、反EU政党が躍進―英国地方選
英国で2日、地方議会選挙が実施され、与党である保守党と自由民主党が惨敗、
EUからの離脱と移民反対を訴える小規模右派政党「英国独立党」が躍進を遂げました。
(写真は英国独立党のファラージュ党首)
地方選は35の地方自治体で実施され、BBC放送によると、
キャメロン首相率いる保守党と、連立パートナーである自由民主党が、
計450議席以上減らすなど惨敗を喫しました。
その一方で野党・労働党は300近く議席を増やした他、
EUからの離脱を公約とする英国独立党が140近く議席を増やしました。
英国では長期にわたる経済停滞への不満を背景に、
「移民に仕事を奪われた」、「無料の医療や生活保護など社会保障のただ乗りは許されない」など、
移民、およびその最も大きな流入元であるEUへの残留に反対する声が高まっています。
英国独立党は移民に反対する保守層に加え、
現政権に対し「裕福なエリート集団」という印象を抱いている低所得者層の反発を背景に、
今回躍進を果たしたとみられています。
現在、EU各国は債務危機による景気低迷の長期化に見舞われており、
英国でも連立与党は信用不安の影響で、緊縮財政を続けています。
今回の地方選ではそうした連立与党への批判が顕在化した形で、
総選挙を2年後に控えたキャメロン英首相は、今後苦しい政権運営を迫られるとみられます。
キャメロン首相は、EUへの残留の可否を問う国民投票を
2017年末までに実施する方針を表明していますが、
今後は反EUの議論を牽引する英国独立党の懐柔に向けて動かざるを得ず、
現在の中道寄り路線や移民政策、対EU関係などを巡り、
各種政策の修正を余儀なくされる可能性があります。
(今後苦しい政権運営を迫られるキャメロン英首相)
かつての超大国の座からは転落したとはいえ、
英国は今日でも欧州に、そして世界全体に甚大な影響力を行使しうる大国です。
今回の選挙結果を、ユーラシア大陸の向こう側の遠い国の出来事と捉えてはなりません。
我々日本人も、今後の英国の動向を注視していく必要があります(F)。
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■第137回一水会フォーラム
日時・平成25年5月13日(月)/18時30分開場・19時00分開会
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講師・柳澤協二先生(元内閣官房副長官補)
場所・ホテルサンルート高田馬場 3階会議室
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