TSUTAYA図書館から見た文京区 | 元文京区議会議員 橋本直和 オフィシャルブログ

TSUTAYA図書館から見た文京区

佐賀県武雄市に新しく出来た図書館が様々な意味で話題になっています。

3億円7.6億円(武雄市2.6億、国2億(合併特例債の交付税措置分)、CCC社3億)(2013年5月22日訂正)かけて全面改修を行い、全国チェーンを展開しているレンタルビデオTSUTAYAで有名なカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に運営を任せる民営化された公立図書館として今年の4月にオープンしました。
この通称「TSUTAYA図書館」は映画「図書館戦争」でもロケ地に使われるなど(2013年5月22日訂正)内外共に大きな話題を振りまいており、その運営スタイルは賛否両論が出ています。
今までの公立図書館と大きく異なる点は、スターバックスコーヒーが併設されていること、TSUTAYAとして本の販売もしていること、Tポイントカードを図書館利用カードとして利用できることです。
図書館の中にある本は勿論のこと、販売されている本も館内でコーヒーを飲みながら読書を楽しむことができます。
また、司書の人もカウンターで待っているのではなくて、積極的に来場されている人に気軽に声をかけています。

図書館のサービスは大きく言えば2つ、貸し出しと保管。
取り分け、公立図書館が担う重要な役割は個人では手に入れることの出来ない、高価な貴重な書物の取り扱いでしょう。
私は公共サービスとして、住民が等しく「知る」ことが出来る図書館の役割だけは変えてはならないと思っております。
古くから書店業務をしている会社であればまだしも、元々がCDレンタル事業から始まり基本的に売れるものしか店頭で取り扱っていないカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が、そのことを理解し実行することは非常に難しいかもしれません。
武雄市は公共サービスとしての役割から逸脱しないよう、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社を常に監視する必要が今後求められます。

さて、文京区も数年前に図書館運営の民営化をしたことは皆さんご存知でしょうか。
武雄市と比較してみると文京区の民営化は非常に緩やかなもので、その事実を知らない(気付いていない)住民が多いと思われます。
実のところコスト削減のみが焦点となってしまい、サービスの向上といった民営化の重要なもう一面が現状進んでいません。
文京区の図書館行政は見直すところに間違いなく来ています。
全てではありませんが武雄市図書館を参考にする点は多くあると思います。

私は文京区が本来の価値を取り戻す上で欠かせないのが図書館だと考えております。
電子書籍など技術の進化により「本」の価値が変わりつつある今、印刷業が中心産業であり「文の京」である文京区は区の知的財産として「本」を守らなくてはなりません。
そのためにも、図書館を区民のコミュニティーの中心に添えることが大事です。
学校図書館、地域図書館、書店との提携によって近隣の結束を高め、自習室、セミナーハウスを各所に設けることによる地元住民の知識共有、向上を図り、更には喫茶店やコーヒーショップを併設することにより多くの住民が足を運び易い環境にし、子供たちとの触れ合いの場、学習の場、会合の場に公立図書館をしたいと私は考えております。
そのためには各図書館の書物量を減らす必要がありますので、現在の真砂中央図書館の役割は見直さなくてはなりません。
もっと大きくて広い中央図書館が文京区には新たに必要でしょう。

営業時間の延長、読書スペースと自習スペースと児童スペースの隔離、住民が読みたい本を効率よく配備するといった「質」の問題は民間企業に考えてもらい、委託業者の選定と公立図書館が行政として如何にあるかを文京区は考えれば良いのです。
せっかく民営化したのですから、活かさなければなりません。
議会全体で声を出して行きましょう。