丙午(午歳7) ・飛縁魔 | 獨と玖人の舌先三寸

丙午(午歳7) ・飛縁魔

今日3月29日はお七殿の命日です…(* ̄ノ ̄)/Ωチーン…

●丙午――
ひのえうま。へいご。
組み合わせ43番目。前は乙巳(きのとみ。いっし)、次は丁未(ひのとひつじ。ていび)。
陰陽五行では、十干の丙は陽の火、十二支の午は陽の火で、比和。
丙午の年は火性が重なることから、この年は火災などの厄災が多いなどの迷信が生まれました。次第に、その年に生まれた人の性質は激しいものになる、という迷信に転化します。
そして江戸時代前期。井原西鶴の“好色五人女”で有名となった“八百屋お七”が丙午の生まれだと囁かれたことから、中期以降には、この年生まれの女性は気性が激しく、夫を尻に敷き、夫の命を縮める(男を食い殺す)、死後“飛縁魔(ひのえんま)”という妖怪になるという類の迷信まで信じられるようになったのです┐(-ε-)┌

※参考「午歳の方たちへ――」→ http://ameblo.jp/emeth-spriggan/entry-10978026582.html

※参考mixiアルバム「圓乗寺(白山1丁目)/お七」→ http://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000054097438&owner_id=32815602

払拭しきれない因果や、迷信と割りきれない事象や、人間の差別観念など、掘り下げたらキリがありません。
謂れなきレッテルなのだと、認識していてください。


※飛縁魔または縁障女(えんしょうじょ)――
本来の飛縁魔とは仏教から出た言葉とされており、女犯を戒めるため、さらに女の色香に惑わされた挙句に自らの身を滅ぼしたり、家を失ったりすることの愚かさを諭す言葉とされます。
飛縁魔は、外見は菩薩のように美しい女性でありながら、夜叉のように恐ろしく、この姿に魅入った男の心を迷わせて身を滅ぼし、家を失わせ、ついには命を奪います。
中国でかつて、
夏朝17代の桀王(けつおう)を惑わせて贅を尽くしたという妹喜(ばっき)、
殷朝30代の紂王(ちゅうおう)を堕落させたという妲己(だっき)、
周朝12代の幽王(ゆうおう)の妃で周を滅ぼす元凶となった褒ジ(ほうじ。ジは女偏に以)、
彼女ら王妃たちは、この飛縁魔に例えられます。
(伝説上は、彼女らの正体は九尾の狐とされています。)

※参考mixiアルバム「那須 温泉/与一宗隆/九尾の狐 (01.11.23)」→ http://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=422201188608410&owner_id=32815602

名称は“火の閻魔”、火炎地獄の裁判官を意味しています。飛縁魔の名は“空飛ぶ魔縁”であり、縁(因縁)に魔障(悪い障害)をもたらす天魔やマーラの暗示でもあります。
丙午(ひのえうま)生まれとされる八百屋お七が天和の大火に関連していることから、飛び火して大火事となる“飛炎魔”を意味しているとも言われます。
丙午生まれの女性は、男を食い潰して早死にさせるという迷信から創作された妖怪、または原典である“絵本百物語”本文にあるように、女犯を戒めるため、および女に惑わされて自らの身や国を滅ぼすことの愚かさを説くために“創作された妖怪”と見られています。
殊に、妖怪ではなく、丙午の迷信自体を指しているとの解釈もあります。
昭和・平成以降の妖怪関連の文献では、吸血鬼のように血や精気を吸い取って命を奪う妖怪としているものがあります。