神使(狐)・稲荷神社2/狛犬 | 獨と玖人の舌先三寸

神使(狐)・稲荷神社2/狛犬

◎“神使”(しんし)――

“かみのつかい”“つかわしめ”とも言われる特定の鳥獣虫魚の事で、それらを総称して“眷族”と言います。人からしたら神と同じですけどw
この神使は神社(祀られる神)によって特定の動物が採用されている場合が少なからずあるようです。後述参照。



“神社全体の3分の1にあたる約3万社がお稲荷様。”なので、まあ他にも理由はあるのですが、ここでは狐様に触れていきます。

稲荷狐の特徴は白狐(びゃっこ)。
番猫と番犬の舌先三寸-111202佐助稲荷1111202鎌倉市佐助稲荷。
狐が神使になった由来は諸説あり、代表としては、宇迦之御魂神様の別名、“御饌津神”(みけつのかみ)を狐の旧名“ケツ”の“御狐神(みけつかみ)”と書き間違えたことから、などです。
狐は古来より日本人にとって神聖視されてきています。720年、既に“日本書紀”に日本武尊(やまとたける)を助ける白狐が登場しています。
711年に最初の稲荷大神が登場します。宇迦之御魂神は別名を“御饌津神(みけつのかみ)”と言います。狐の古名を“けつ”と言い、御饌津神を“三狐神”と解して、狐は稲荷大神の使い、あるいは眷族に収まりました。
時代が下ると、稲荷狐は命婦の格(みょうぶ。朝廷の屋敷の出入りが可能となる格)を受け、命婦神あるいは白狐神として上下社に祀られるようになりました。
江戸時代に入り、稲荷が商売の神と公認され、大衆の人気を集めると共に、稲荷狐が稲荷神という誤解が一般に広がっていきます。この頃から稲荷神社の数が急激に増え、流行神(はやりがみ)と呼ばれる時もありました。
また仏教系の神である荼枳尼天(だきにてん)は金狐・銀狐(きんこ・ぎんこ)という眷族を持ち、稲荷神と同一視される原因になりましたが、正確には稲荷神社に祀られている狐の多くは白狐です。
番猫と番犬の舌先三寸-111020茶ノ木稲荷111020市谷亀岡八幡境内、茶ノ木稲荷。
稲荷神社の前には、狛犬の代わりに宝玉や巻物(経文、仏教系のお稲荷様でしょう)をくわえた狐の像が置かれる例が多くあります。鎌や鍵といった、すべて御神徳(稲成)に関わるものをくわえています。十手(特定のお稲荷様。土地縁の特殊なものをくわえさせていたり)などもありますが。それらみな、穀霊が宿っているとされます。宝玉とされる玉っころなどは御霊まんまですw
赤い前掛けをしているのは、地蔵様への信仰の延長と思われます。さらに言えば、ただの石っころ、岩石、樹木にも巻かれていました。
元は赤子、子供の守護、そして供養のために行われていたのです。そのため、涎掛け、とも思われてしまうのですが…f(-_-;
全ての狐様がしているわけではありません。現在、色彩効果への信心は失われており、白や黄色などいくつか見かけます。
赤(朱)については後述m(_ _)m
他の祭神とは違い、稲荷神には神酒・赤飯の他に狐の好物とされる油揚げが供えられます。




鹿(春日大社、鹿島神宮、厳島神社)
兎(住吉大社)
猿(日吉大社)
烏(熊野三山)
鶴(諏訪大社)
鳩(八幡宮)
鷺(氣比神宮)
鶏(伊勢神宮)
蜂(二荒山神社)
鰻(三嶋大社)
鼠(大黒天)
蛇(弁才天、大神神社)
海蛇(出雲大社)
白蛇(諏訪神社)
狐(稲荷神)
牛(天満宮)
亀(松尾大社)
狼(武蔵御嶽神社、三峰神社など奥多摩・秩父地方の神社)
鯉(大前神社)


・住吉神社――大阪の住吉大社が総本社。住吉三神を祀り、航海安全、漁業などご神徳があります。海なのに、兎です。

・山王系神社――滋賀の日吉大社が総本社。猿は“神猿(まさる)”といい、“魔去る”“勝る”から、魔除け、必勝のご神徳(=ご利益)として知られています。
比叡山に住む猿が由来で、幼名が日吉丸だった事から豊臣秀吉の信仰もあつかったのです。
厄除け、魔除け、必勝、縁結び、安産など。
※「山王日枝神社 “猿”/産土神/夏越の祓/随神像/」→http://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000031900983&owner_id=32815602

・松尾大社系――亀。京都松尾大社系の神使。近くの亀尾山から由来…。山王系と同じ、大山咋神(おおやまくいのかみ)。酒造の神。

※天満宮系――牛。
・「天神(雷神) ・ 神使(牛)」→ http://ameblo.jp/emeth-spriggan/entry-11142512418.html
・「湯島天満宮(湯島天神、湯島神社) ・天神信仰 ・菅原道真 ・神使(牛) ・戸隠神社/」→ http://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000030339939&owner_id=32815602



●狛犬(角がある)、獅子(角がない)、は神社を護る神獣(守護獣)でもあります。基本は対で“阿吽(あ・うん)”の形をしています。向かって右→左に。両方、角があったり、口を開けていたり、いろいろおおらかです。
獅子・狛犬と同様の役割を果たす神仏の守護獣として猪・龍・狐・狼などもいます。土着もので、岩手県の常堅寺では河童伝説に基づき狛犬の代わりに河童像が置かれていたり、京都府京丹後市の金刀比羅神社の境内社木島社には狛犬ならぬ狛猫像が置かれ、阿吽の配置も左右逆となっているようです。
飛鳥時代、日本に伝わった当初は左右の姿に差異はなかったようですが、平安時代になってそれぞれ異なる外見を持つ獅子と狛犬の像が対で置かれるようになり、狭義には後者のみを“狛犬”と称しますが、現在では両者を併せて狛犬と呼ぶのが一般化しています。
番猫と番犬の舌先三寸-110404港区、芝大神宮2番猫と番犬の舌先三寸-110404港区、芝大神宮1
110404港区、芝大神宮。

番猫と番犬の舌先三寸-120203新宿、花園神社2番猫と番犬の舌先三寸-120203新宿、花園神社1
120203新宿、花園神社。

番猫と番犬の舌先三寸-120130品川神社2番猫と番犬の舌先三寸-120130品川神社1
120130品川神社。

番猫と番犬の舌先三寸-120326銀杏岡八幡2番猫と番犬の舌先三寸-120326銀杏岡八幡
120326浅草橋、銀杏岡八幡。