名前 ――仏教 | 獨と玖人の舌先三寸

名前 ――仏教

◎戒名(かいみょう)――
仏教において受戒(出家や在家などのそれぞれの立場で、守るべき戒を受けること。納戒)した者に与えられる名前です。仏門に入った証であり、戒律を守る標として与えられます。

上座部仏教(じょうざぶ。仏教分類のひとつ。キリスト教同じく、世界国家ごと、社会、文化の違いで釈迦の悟りが都合に曲げられて――)と大乗仏教(だいじょう。中国、日本などに伝わったモノ)の両方で行われており、多くの場合、出家修道者に対して授戒の師僧によって与えられます。上座部では出家後に南伝仏典に残る阿羅漢に変名するため、その意味で“法名”と呼びます。また、仏弟子として新たに身につける真の名前という意義から、“法諱”(ほうい、ほうき)とも言います。
そこから転じて、死後に浄土で仏と成る浄土思想に基づいて、故人に戒名を授ける風習が生まれました。死後の戒名は、特に日本で盛んに行われています。
(浄土真宗では、“法名”が正式な名称。日蓮宗系(日蓮正宗を除く)では、“法号”が正式な名称。)

大乗仏教は、中国に伝わった際に、号の風習を取り入れて生まれたと言われています。
基本的に戒名は2字で表現されます。身分の上下や精進、報恩の多少に関係なく、仏の世界が平等であることを表しています。
“(○○院)××△△居士”の場合、○○が院号、××が道号、△△が戒名、居士が位号です。
位牌、墓誌、過去帳、法名軸などには、戒名の前後に院号、道号、位号等の号を付すことから、その全てを「戒名」として捉える事が通例化しています。

院号や道号に付けられる漢字で、その人が生前どのような人物であったかが大まかにわかります。死亡してから戒名を付ける場合、遺族に故人が生前どのような人物であったかを聞き、そこから戒名を決める事がほとんどです。また、生前の名前から1文字ないしは2文字漢字を用いることも多いです。
(院号、院殿号は皇族、古くは将軍など、生前に寺院や宗派に対して多大な貢献をした者、社会的に高い貢献をした者に贈られる号です。)


●道号
真言宗・天台宗・浄土宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗などで用いられる号。戒名の上に付けます。字(あざな)に相当するという説など諸説。
中国で生まれ、それが禅僧によって日本に伝わり、戒名の上に付けられるようになりました。
“一休 宗純”のように、生前から戒名の上に道号を付けて名乗る者も多いようです。


●位号
戒名の下に付けられる居士や大姉という文字のことで、性別や年齢、功徳報恩などにより異なります。かつては数え年で決めていましたが、現在は満年齢で決められます。
・居士(こじ)・大姉(だいし)――(戒名として)居士号は、出家者の法名敬称の1つ。
江戸時代、庶民の使用は禁じられていたとう説が存在しますが、武士階級でも信士・信女が付いている場合が多いため、明確な基準及び根拠は無いと思われます。
・信士(しんじ)・信女(しんにょ)――優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)という(在家)仏教信者として五戒や十善戒を保つ成人の男女に対して付けられる。
宗派により、清士・清女、清浄士・清浄女、善士・善女などとなっている。
・童子(どうじ)・童女(どうにょ)――未成年の内に亡くなった剃髪・得度(とくど)をしていない者に対して付けられる。
宗派により、大童子・大童女、清童子・清童女、禅童子・禅童女などとなっている。
※幼児は、孩子(がいし)・孩女(がいにょ)は2、3歳、嬰子(えいじ)・嬰女(えいにょ)は0、1歳に付けられる。
・水子(すいし・すいじ)――死産や乳児の頃に夭折した子に付けられます。
近年は霊感商法の煽り文句の影響からか、「みずこ」と読むことが多くなっています(▼▼メ)


※五戒――
不殺生戒(ふせっしょうかい)――生き物を殺してはいけない。
不偸盗戒(ふちゅうとうかい)――他人のものを盗んではいけない。
不邪淫戒(ふじゃいんかい)――自分の妻(または夫)以外と交わってはいけない。
不妄語戒(ふもうごかい)――嘘をついてはいけない。
不飲酒戒(ふおんじゅかい)――酒を飲んではいけない。


※十善戒(じゅうぜんかい)とは、仏教における十悪を否定形にして、戒律としたもの。
不殺生(ふせっしょう) ――故意に生き物を殺しません。
不偸盗(ふちゅうとう) ――与えられていないものを取りません。
不邪淫(ふじゃいん) ――みだらな性的関係を持ちません。
不妄語(ふもうご) ――嘘をつきません。
不綺語(ふきご) ――無駄な噂話をしません。
不悪口(ふあっく) ――乱暴な言葉を使いません。
不両舌(ふりょうぜつ) ――他人を仲違いさせるような言葉をいいません。
不慳貪(ふけんどん) ――異常な欲を持ちません。
不瞋恚(ふしんに) ――異常な怒りを持ちません。
不邪見(ふじゃけん) ――(因果、業報、輪廻等を否定する)間違った見解を持ちません。


※十悪
殺生
偸盗
邪淫
妄語
綺語
粗悪語
離間語(りけんご)
妄貪(もうどん)
瞋恚(しんに、しんい)
邪見



ここの終わりの※ネタで、なぜ某が宗教とモラルをともに語るのか、おわかりいただけるかと…∠(`´)ビシ











おまけ――

●和尚――

一般的には、「おしょう」です。実際は、宗派によって書き方・読み方が異なり、放送上も区別されなければいけません。

一部地域では言葉が詰まって、「おっさん」、「おっさま」(アクセントは頭。おじさんを指す「オッサン」ではありません)とも呼ばれていますw 訛りでもあるかもしれません。


和尚とは仏教僧の敬称。出家して受戒した僧のこと。


特定の宗派にて、「わじょう」と言われているのを僧(御僧)のことだと勘違いし、それが流布して「おしょう」と言われるようになった、また「お上人さん」が略されて、など諸説あります。

天平宝治2(758)年、戒師として渡来した鑑真に対し「大和尚」の号が授与されており、そののち、高僧への敬称として、さらに住職以上の僧への敬称として、使用されるようになりました。


・天台宗――かしょう(和尚)

・浄土宗――おしょう

・浄土真宗――御院・院家(儀式等指導者に対してのみ和上(わじょう)とも)

・真言宗――わじょう(和尚)

・禅宗――おしょう

・時宗――おしょう

・律宗――わじょう(和上とも)

・法相衆――わじょう

・華厳宗――かしょう


困らないのは「お坊さん」、「お坊様」でしょう。「御住職」、「御住持」はお寺トップの方のみを指しますから、注意が必要です。

ビジネス同様、「様」の使用には注意してください。