2014年11月28日:パート3

 21時。 新幹線で地元に向かっている。 「核心の情報」は掴んだものの、さて、どうしたらいいものか? 扱いを間違えると、あちこちに飛び火しそうな危ない話だ。(ふう)

 さて、ここからは前回のブログの続き。 他の2世、3世議員がどう感じているのかは分からない。 が、亡くなった父の後継として立候補し、政界に議席を得た自分にとって、「世襲議員」であることは、(少し大袈裟に言うと)「背負うべき十字架」だと考えて来た。 19年経った今でも、まだその感覚は消えていない。

 それはこういう気持ちだ。 「山本一太は亡父の地盤を継ぎ、最初からゲタを履かせてもらって政治家になった。もし自分が出馬していなかったら、もっと優秀で、群馬と日本のためになる他のひとが政治家になっていたかもしれない。自分はそうした人たちのチャンスを奪ったのではないか?」

 だからこそ、常に父親を超えようと思って頑張って来たのだ。 少なくとも亡父が獲得した選挙の票(地元有権者からの支持)は、1票たりとも減らしてはならないと心に誓っていた。 

 この点だけは、亡父を上回ることが出来たと思う。 過去4回の選挙では、毎回、票を増やし、昨夏の選挙では、群馬の参院史上、最高得票をマークした。 「選挙に圧勝する」ことは、自らのアイデンティティーを確保するために、どうしても必要なプロセスだった。

 生まれ育った故郷、群馬県の人たちは、政治家・山本一太を常に温かく見守ってくれた。 「世襲批判」のようなことは、なぜか一度もなかった。 それでも、自分より優秀な人材がいたのではないかという「脅迫観念」は消えなかった。 

 特に参院議員として2回目の当選を果たした後、「世襲候補者として獲得した議席は(地盤も看板もない)能力と志のあるチャレンジャーに譲って、群馬以外のまっさらな選挙区で勝負し直すべきなのではないか?」と真剣に悩んでいた時期があった。

 そんな折、あの郵政解散がやって来た。 小泉総理(当時)が解散を決断した直後に官邸を訪ねた。 「衆院選挙では、郵政民営化に賛成する公認候補が見つかっていない選挙区があちこちにある。このままだと、選挙をやっても小泉支持派は増えないのではないか?」という憶測が流れていたからだ。 

 この時の小泉総理とのやり取りは、当時のブログにも綴った記憶がある。 昨日のことのように憶えている。 会うなり、小泉首相にこうお願いした。 「総理、選挙に勝つためにもし必要なら、私を群馬県以外の『強い現職がいて絶対に勝てない』と思うところから出馬させてください!」と。 小泉総理の返事は、「気持ちは嬉しいが心配するな!この選挙はオレの遊説局長として戦ってくれ!」というものだった。 その場で「刺客志願」は(優しく)却下された。

 今、考えてみると、この行動の背景にも、「親から引き継いだ地盤で安穏としていていいのか?」という思いがあった気がする。

 「この精神的重荷から解放されるためには、いったん群馬を離れ、他県の選挙区から再デビューするしかないのではないか?」 そんなふうにも考えた。 そりゃあ、そうだ。 「世襲議員の比率が高すぎる」というなら、最も分かりやすい方法は、自分が群馬以外の選挙区から再スタートを切ることだもの。 

 が、どうしても、生まれ育った群馬県の地盤を捨てることは出来なかった。 初当選の頃からずっと応援してくれている後援会の人たちを落胆させ、山本一太に期待して1票を投じてくれた県民の方々を裏切ることになると思った。 何より、生まれ育った群馬に対する強い愛情もあった。 義理人情に厚い群馬の人たちが大好きだし、小学校の同級生も、中学校のクラスメイトも、高校時代の悪友も、故郷にいるのだ。

 自らが抱える矛盾との葛藤は続いている。 が、自分自身が先代の地盤を引き継いで当選した2世議員だからこそ、(政治家の子供でなくても)「志と能力のあるひとにチャンスを与える」仕組みが何よりも重要だと考えている。

 あ、間もなく東京のアナウンス。 次回のブログに続く。


◇山本一太オリジナル曲:
<a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362912973" target="_blank">「素顔のエンジェル」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362913254" target="_blank">「マルガリータ」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1298511048" target="_blank">「かいかくの詩」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1372242789" target="_blank">「一衣帯水」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/so21209855" target="_blank">「エイシア」</a><br>