今回の鳥インフルエンザは、「H7N9型」
この怖さは「H7N9型」という数字に集約されている。
インフルエンザは、HとNの2つの型で分類する。
インフルエンザの表面にはトゲのようなものが生えている。
H(ヘマグルチニン)というトゲと、N(ノイラミニダーゼ)というトゲの2種類。
インフルエンザウイルスは、Hのトゲで人間に感染し、100万倍くらいに増えて、Nのトゲで人間の細胞から出て行く。
だったら、Nは、どうでもいい気がするかもしれないが、そうじゃない。
100万倍に増えても、細胞から出て行かなければ、それ以上、細胞の感染は広がらない。
実際、特効薬のタミフルもリレンザも、Nのトゲを働かさない薬。
これが効くんだから、Nも重要だというのがお分かりいただける思う。
それぞれHのトゲとNのトゲには、いくつかのタイプがある。
Hは16種類、Nは9種類。
「Aソ連型」はH1N1、「A香港型」はH3N2。
逆に、人間の免疫力は、このトゲをターゲットにしてウイルスをやっつける。
「H7N9型」は、今まで、鳥には感染しても、人間には感染できなかった。
だが、今回、ちょっとだけ遺伝子が変わって感染できるようになった。
人体の免疫は、「H7N9型」にかかった経験がないから、対抗できない。
だから、重症化してしぼうしてしまう。
4年前、豚からやってきた当時、新型インフルエンザと呼ばれていた病気が大流行した。
これは、「Aソ連型」と同じH1N1。
つまり、ちょっと変わってしまっただけで、本当の意味で新型インフルエンザじゃなかった。
だから、それほど重症化しなかった。
今回の鳥インフルエンザは、まったく新しい「H7N9型」
人間に感染するようになったとはいえ、まだ感染力は低い。
だが、いったん感染すると重症化するので、注意は必要。
でも、本当に心配なのは、今回の「H7N9型」ではなく、「H5N1型」。
これは強毒性。
今までのインフルエンザの歴史をみれば、いつか分からないが、必ず、パンデミックがやってくるはず。
そのときは、たぶん、ものすごい数の死者がでると思う。
薬の備蓄などは、国がしっかりとやっておくべき。