私はとある中学校の学び舎で、三年間を過ごした。
入学して、私は沢山の先生方に出逢った。
先生一人ひとりの個性が強いせいか、すぐに親しみを持てるようになった。
そして、一年、二年とまるで射られた矢の如く、時は早々と過ぎ去っていった。
三年になる時に、私が尊敬していた先生が転勤された。
その先生には今でもまたお会いしたいと思っているが。
そんな中で始まった三年目の生活は、受験を控えているというのにも拘らず、とても楽しい日々だった。
三年になって、また新しい先生にも出逢った。
おそらく一生の友になるであろう人とも出逢った。
卒業までは、そんな出逢いの連続で、とてもじゃないが別れの時間が迫っているなんて、思ってもみなかった。
と、言うより、思いたくなかった。
しかし、時の流れというのはなんと残酷なものだろう、私達はついに卒業した。
それから、もう一ヶ月がたってしまった。
高校での新しい生活は、何もかもが新鮮で、とにかく楽しい。
…でも、中学の時にはあった、何かがない気がしてならない。
きっと、今までは意識していなかったのだろう。
『当たり前の温もり、失くして初めて気付く』
ある歌の歌詞である。
まさに、その通りだ。
今まで私の置かれていた環境がいかに素晴らしかったということが、後になってわかったのである。
あの先生方と、あの生徒たちと、全員が集まる事は、もう無いのである。
今年、お世話になった先生がほとんど皆と言えるほど、ご転勤・ご退職された。
ある先生は、主任に栄転され、
ある先生は、職場と家が近くなり、
ある先生は、気長に釣りと料理を愉しむという。
私は、普段過去はふりかえらない主義の人間だが、一つだけ、後悔している事がある。
それは、あえてここでは言わない。話すと長くなるので。
しかし、皆さんも心のどこかで、そのような思いがあるのではないだろうか。
昨日は、離任式だったので、久しぶりに幾人かの先生にお会いした。
でも、私はありがとうございました、とは言わなかった。
代わりに、これからも宜しくお願いします、と言っておいた。
そんな先生とは、またいつか、またどこかでお会いしたいと思っている。
そして、始まったばかりの高校生活をこれでもかというくらい、楽しもうと思う。