飛び立つ前の雛たち 8 | 旭陽のブログ 別館

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2023.11.2
長年使用していたHNを変えました。

2022.10.2?
突然、
元宝塚星組男役スターの
七海ひろきさんのファンになりました。

誰かのファンになる時、
なぜかいつも突然なんです…

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 8   3.11 その2

その日の新人研修が終わりデスクに戻ったときだった。

緊急の社内メールが届いた。
一斉メールだったらしく、室内がざわめく。

「日本において、宮城県沖を震源とする巨大地震が発生した模様。福島県の原子力発電所が被害を受けたという情報もある。甚大な被害が予想される。日本に親類・縁者がいるものは上長に申し出ること。特別休暇を許可する用意がある。以上」

宮城!

「課長!私が休暇をいただくことはできますでしょうか。」

「パク・ユチョン君。日本に親類がいるのかね。」

「はい・・・。婚約者が、います。」

「そうか。詳細は確認しなきゃ分からんが、とりあえず申請だけ出して。明日は休みだから、早いほうがいい。安否確認が必要なものは退社していいという連絡が来ている。君も今日はもう帰りなさい。」

「はい、ありがとうございます。」周りに挨拶し、社を後にした。


どうする。どうしたらいい・・・。

よりによって、なんで今日なんだ・・・。考えがまとまらなかった・・・

バスが来るのが遅い・・・。イライラと、意味もなく時計を見た。

その時携帯がなった。ジェジュンからのメールだった。

「ニュース見たか?日本が大変らしい。でも、彼女はきっと大丈夫だよ。落ち着けよ。仕事終わったら行くから。」

ヒョン。ありがとう。

「メールありがとう。会社から許可が出たので、今帰るところ。部屋で待ってる。」

部屋に着くと、パソコンを立ち上げた。

やはり裕子からメールは来ていない。

停電しているんだな、きっと。メールも電話もだめか・・・。

ネット上には、すでに押し寄せる津波の映像が溢れていた。

部屋の中を歩き回り、いつの間にか親指を噛んでいた。

・・・そうだ、ツイッター。

ユチョン自身は普段ツイートすることはほとんどなかったが、裕子をフォローするためにアカウントは持っていた。

あった。16時過ぎに裕子がツイートしていた。

「私も家族も無事です。家も大丈夫です。心配しないで。」

よかった・・・。深いため息が出た。

「安心しました。無事でよかった。」返信にはそれだけしか書けなかった。

それからまもなくジェジュンがジュンスを伴ってやって来た。

「ジュンスも来てくれたんだ。ありがとう。」

「どう?裕子さんと連絡取れたか?東京は東北ほどじゃないんだろう?」

「たぶん。でも、今日裕子さんは仙台にいるんだ。実家に帰っていて。」

「ええっ 仙台って、宮城県だろ?」

「でも、大丈夫。無事だったよ。さっき、ツイッターに書き込みがあるのを確かめたから。」

「脅かすなよ ・・・そうか。無事でよかったな。」ジェジュンがユチョンの肩をたたいた。

「じゃあ、安心したところで腹ごしらえしようよ。サッカーの練習が終わってすぐ来たから腹ペコだよ。」

「ごめん、二人で食べて。食欲がない。」

「なんだよ青い顔して・・・。おかゆ買ってきたから、少しでも食べろ。へばるぞ・・・。」

津波の映像を見すぎたせいか、ユチョンは気分が悪かった。

「うん、わかった。もらうよ。」無理にでも口に運んだ。


・・・・・
つけっぱなしにしていたモニターに「新しいツイートがあります。」と表示された。

画面を更新すると・・・

「父と連絡が取れなくなりました。津波に流されたかもしれない・・・。」



動画お借りしました。