11月9日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
利害得失にとらわれない
利害得失を考えることは、ある程度やむを得ないけれども、あまりそれにとらわれすぎると、自分の歩む道を誤ることにもなりかねない。
学校を選ぶにしても、卒業して仕事を選ぶ場合でも、そうである。誰もが給与とか待遇のことを先に考える傾向があるが、やはり、自分には何が一番適しているだろうかということを、よく考えるべきだと思う。
必ずしも大会社へ行ったから幸せかというとそうとばかりは言えない。人によっては、中小企業へ勤めてかえって用いられ、人生の味というか、アヤを知る尊い体験ができて、人間としても成長するということが往々にしてあるからである。
筆洗
2013年11月8日(東京新聞TOKYOWeb)
▼酔いざめの水千両と値が決まり-とはよく言ったもので、お酒を飲み過ぎた時に、ぐっと飲む水のうまいこと。まさに値千金だが、国際宇宙ステーション(ISS)で飲む水は、コップ一杯で三、四十万円にも値するらしい
▼それはそうだろう。地上から運ぶには、数十億円以上ものロケットが必要だ。尿を蒸留・浄化して飲料水に変える装置が備わり、水の現地調達ができるようになったらしいが、その開発に百五十億円ほどかかったというから、やはり宇宙の水は値千金である
▼当然ながら、ISSではとてつもなく高い費用をかけ、酸素を供給し、二酸化炭素を処理し、汚れた水を浄化している。地球では森林などが当然のようにやっているそんな営みが、どれだけ貴重なものか
▼そのありがたさが、宇宙から地球を眺めれば本当によく分かると、きのう四回目の宇宙の旅に出発した若田光一さん(50)が自著『宇宙飛行』(日本実業出版社)に書いている
▼来年三月十一日からアジア人初のISS船長という大役を担う若田さんは、こんな老子の言葉を大切にしているという。<有能なリーダーが仕事を終えたとき、人々にはその事柄が自然に起きたように見える>
▼老子には<上善は水の若(ごと)し>との言葉もある。みんなを活かしつつ、自らは低く身を置く。そんな値千金の水のごとき船長になってくれるに違いない。
AD