◆政府は法案の必要性を正々堂々と説明せよ 特定秘密保護法案に高まる不安
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6908

「特定秘密保護法案」について、各紙で議論が紛糾している。今国会での成立が見込まれている「国家安全保障会議(日本版NSC)」の創設に合わせて、本法案を必要と見る向きもあるが、多くの新聞は「知る権利」「言論の自由」の侵害になるとの反発が強い。

8日の衆院特別会議では、自民党の橋本岳議員と官僚と以下のようなやり取りがあった。
橋本氏が、「海外派遣された自衛隊の宿営地の警備の情報は、特定秘密に当たるか」「尖閣諸島に武力勢力が上陸し、戦闘に至った場合の状況は?」などの質問をしたところ、官僚からは「一般論では該当する可能性はあると考えられる」というあいまいな答えが繰り返された。いかようにも解釈できる答弁に橋本氏も不満をもったのか、「じゃあ全部(特定秘密)ですか、という気持ちになりかねない」と漏らした。

"身内"である自民党議員すらこんな調子であるなら、本法案の審議について橋本氏と同じような疑問を感じている国民は少なくないだろう。安倍首相は、特定秘密にあたる具体例として「外国の工作機関が日本人の拉致を行う活動」に関する情報などを挙げ、「情報漏洩に関する脅威が高まっている」と説明しているが、唐突感は否めず、国民から十分な理解を得られるものとは言い難い。

そのため、参院本会議でも、報道機関にガサ入れ(家宅捜索)は入るかどうかを尋ねる質問が出たり、新聞紙上でも、今の国家公務員法で定められた懲役1年から、急にアメリカ並みの10年に厳罰化されることに疑問を投げかける記事が掲載されるなど、法案の趣旨そのものよりも枝葉末節に目が向いている。

「この法案がなぜ必要なのか」について、安倍首相が明確に説明できなければ、この動揺は収まらない。

憲法9条改正を訴えてきた安倍首相は、日本が主権国家として国防軍を持ち、アメリカなどと連携してアジアの安全保障に貢献していくビジョンをもっているはずだ。
その前段階として、集団的自衛権の行使を実現させなければならないが、他国と連携するとなれば、その国々が安心して日本に情報共有できる環境を整える必要が出てくる。


日本は2007年、海上自衛官がイージス艦情報を漏洩させて、アメリカの信用を失墜させた前例がある。その信用回復のためにも、まず「特定秘密保護法」を実現させて、秘密保護について他の先進国と足並みをそろえたいのだろう。

そうであるならば、安倍首相はもう一段、正々堂々と、自分が描いている主権国家としての日本の未来ビジョンを国民に示すべきだ。そして、今回の法案で保護すべき情報について、しっかり例示する必要がある。
憲法改正を持ってくると、マスコミに批判されて支持率が下がると思っているのだろうが、今のような"本丸"を避けた説明では、逆に意味が分からず国民の不安を煽るだけだ。


国民の幸福に必要なのだという信念があるならば、小手先の政策議論で終わらせるのではなく、国家ビジョンを示すという政治家の役割をしっかり果たしてほしい。 (雅)


※特定秘密保護法案とは、防衛、外交、テロリズム等、国家の安全保障にかかわる「特定秘密」を定め、公務員がその秘密を漏洩した場合、最高で10年の懲役刑を科すことを定めたもの。

【関連記事】
Web記事 「特定秘密保護法案」成立へ 集団的自衛権の議論はどうした?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6900
2013年11月7日本欄 多国籍部隊に参加も集団的自衛権は行使できず
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6897


◆「共通番号」で預金残高まで国に監視される?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6907

政府税制調査会は8日、分科会を開き、国民一人ひとりに番号を割り振る「共通番号」の利用範囲を広げる検討に入った。9日付朝日新聞などが報じた。

「共通番号制度法」は、5月に成立し、2016年以降に導入される。共通番号は、企業が国に報告する給与の額にひも付けされ、納税申告や年金、国民健康保険などにも使用することが決まっている。
共通番号を導入することで、国民の収入をきちんと把握して必要な人に福祉が行き届くようになったり、社会保険の情報照会などのさまざまな手続きが個人向けのインターネットサービスを通じてできるようになるなどのメリットが強調されている。

そうした中で、今回の分科会に参加した井伊雅子委員(一橋大院教授)は、「共通番号は金融資産(銀行口座)や不動産などを把握するのにも使えるはずだ」と発言。これに多くの委員が賛同した。 
銀行口座や不動産にまで共通番号が振られると、国は個人の資産のすべてを把握できるようになる。届け出にない収入が見つかれば、脱税で摘発することがたやすくなる。行政側のメリットは大きいが、国民にとっては管理の強化につながるだろう。

本欄でも再三指摘してきたが、これは国家社会主義に向かう動きだ。

スウェーデンでは銀行口座に共通番号が振られ、誰でも見られるようになっている。これは、脱税を互いに監視し合うためだが、こうした監視を逃れるために国外に収入源を求める動きがあるとも言われる。共通番号の成功例として紹介されることの多いスウェーデンでも、監視社会を望んでいない人は多いということだ。
共通番号はイギリスでも、テロ防止を目的に2006年に導入されたが、加入は任意であったにもかかわらず、プライバシーが侵害されるとして2010年に廃止が決まった

現在、安倍晋三首相は共通番号について「社会保障にしか使いません」と発言しているが、政権交代が起きたら反故にされるリスクは十分にある。
政府はこうした国民の私有財産権にとって重大な案件を、積極的に周知して議論すべきだ。(居)


【関連記事】
2013年12月号記事 「税と社会保障の一体改革」という幻想 (Webバージョン) - 編集長コラム
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6890
2013年7月6日付本欄 個人の財産を全て管理するマイナンバー制度 その背後に「陰の総理」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6287

「特定秘密保護法案」は国防などに関わる情報に関しその情報に触れる公務員全体に対する管理強化でつまり機密情報をがっちり保護できる法案。
それに比べて「共通番号制度」は国民側を管理する制度。

もし「特定秘密保護法案」は通らず「共通番号制度」だけが通ると、国防に関してはいままで通り緩く、国家機密も他国に漏れやすい上に、国民の私有財産も容易に閲覧でき、他人や見知らぬ外国人までも簡単にあなたの財産を知ることが出来るようになるかもしれない。
そんな社会になります。

これが透明性のある社会?・・・ですかwwwwww