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海外に出て野球を続けていると「諦めの悪いヤツだ」と思われるようだ。日本のトライアウトを受ければ「日本のプロ野球にまだしがみつこうとしてる」なんて。

人生一度きり。誰もがなれるわけじゃないプロ野球選手にしがみつく事は選手として素晴らしい事だと思う。だが、僕はそんな理由でここまでやって来たわけじゃない。

野球の世界は契約社会。こちらに理由が無くとも会社の都合で契約が切られる事だってある。その度に面接を受け仕事を取りに行くのは至極当たり前のことだ。プロ野球選手、なんて言う肩書きはいらない。それは周りが勝手に評価する事だから。組織やリーグによって自分の仕事を変えるわけじゃないし、どこにいても自分の仕事を追求していく、「ただの野球選手」の方が僕には誇らしい。そう言う仕事をして来たつもりだしこれからもそうでありたい。

だから、そこまでして…と言われること自体が不思議だ。時給や給料によって仕事の質を変えるようなことはあり得ない。それこそ自分の価値を下げることになる。頂く報酬の倍以上働かなくては会社の利益にはならないのはどの世界でも同じ理屈だろう。

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そもそも、大切な家族、仲間やスポンサーさん、そしてファンの人達など支援してくれる人達がいて、僕の仕事を必要としてくれるチームがある僕には諦める理由がない。チャンスがあれば日本でも海外でもトライアウトを受けに行く。それは支えてくれる人達への感謝があるからだ。それを自分の勝手な憶測だけで投げ出してしまう事はしたくない。意外に、僕らが頭で考えてしまえるほど物事は単純でもないし世界は狭くない。未来は誰にも分からないのだ。


野球人生より後の人生が長いんだぞ?なんて、万人受けする様なセリフを言われることもあるが…

2013年現在。地球上には71億人もの人間がいる。71億分の1の人生に当てはめないでくれ。もし明日、僕が死んだらその先なんかありもしないんだ。

でも、諦めることで今を惰性で生きる事だけはしたくない。むしろ、人生はこの先もあるから今、得られる事すべてを全力で学びたいと思うのだ。



夢を見るな。現実を見ろ。

とも言われた事がある。しかし、現実を誰よりも見抜き、この現状を打破するのに自分には何があって何が足りないのか?を考える。そうやって道を模索して行かなければ夢など叶うはずがない。自分一人で出来ない事も時に誰かの力を借りる事で乗り越えられる事があるが、諦めた者に手を貸すお人好しはいない。もしどうしてもその道で生きたいのなら全力で他人に頭を下げ手を貸してもらう事も出来る。大切なのは出来るか出来ないかを測る物差しではなく、こうしたいと言う想いに素直に行動する事だ。

どちらが正しいかと言う事ではないが、目の前に現れた現実を回避するのか戦うか、それはどう生きたいかで変わる。人生観の違いだろう。


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中日で打撃投手として3年間裏側を見る経験をした。才能豊かな選手が些細な事を理由に諦めてしまう姿も見てきた。そんな時、裏方としての寂しさも野球人として野球界に与える損失も感じたものだ。

これまでもこれからも。そして今も。
支えてくる人、認めてくる人、必要としてくれる人がいる。何よりも戦いたいと思う自分がいて、それらに背を向ける事がアスリートとしてどれだけ恥ずかしい事か。僕は知っている。

死なない様に生きる、のではない。そこに感謝があるならば一生懸命に生きてほしいと思う。明日、死んでも後悔しない様に。


それが野球の、人生の喜びや楽しさに繋がる。それを後世に伝えて生きたい。

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o(・∀・)o 「ざぁぁぁっす!」