「戦争と一人の女」戦争のドロドロした灰汁をどんどん煮詰めて行くような感じが辛いです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「戦争と一人の女」を観てきました。


ストーリーは、

先の見えない戦争の最中、作家(永瀬正敏)は酒場で働く女性(江口のりこ)と一緒に住むことを決めた。だが、幼少時代に遊郭に売り飛ばされた彼女は体を重ねても喜びを感じられず、二人は絶望のふちで互いの体を狂ったようにむさぼり合った。一方、中国戦線で片腕をなくして帰国した男(村上淳)は、精神的後遺症から性行為ができない体になっていた。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-一人の女

これ、結構、ショッキングな映画でした。混乱する戦中の日本と、荒廃した戦後の日本で、女性がどんな扱いを受けて、どうやって一人で生きたのかということが描かれています。主人公の女は、子供の頃に父親に売り飛ばされ、娼婦を続けて、やっと解放されたと思ったら、今度は戦争になり、男に捨てられ、営業していた飲み屋を閉めて、作家と同棲します。淡々と語られる女の過去と、未来に全く期待を持たず、流れるままに男に身を任せて、ただ生きて行く。ぬるい水に浸かっているような感じの内容で、これをどう表現していいのか解りません。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-一人の女

この女は、戦争があろうとなかろうと、既に、世の中を諦めているようで、自分の生きて行く線上に、たまたま戦争があっただけ。そんな風に思えるんです。彼女は、戦争を日常の事として考え、それを自分の中に取り込むことで、生きて行く力を得ていたのではないかと思います。戦争という荒廃した中で、決して卑屈になる訳ではなく、誰かに従うでも無く、自分の力で生きて行く、それは、砂漠の中に、ただ一本立っているサボテンのように見えました。

砂漠の中で水も無いのに、少しづつの水を貯め、向かってくる敵には、その針で戦い、たとえ傷つけられても、中身までは傷つかない。誰も、そのサボテンを倒す事は出来ないんです。それって、たとえサボテンでも、神々しいですよね。どんなに醜くても、どんなに汚くても、一人立つその姿は、神々しいと思いました。生命力に満ち溢れ、そこらの粋がっている男や女には、太刀打ち出来ません。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-一人の女

でもね、映画として観ているこちらは、やっぱり、グロいと思ってしまいました。生命力が強いのは解るけど、でも、気持ち悪い。男と寝ても快感を味わえないのに、ただ、やらせているって、やっぱり不健康と言うか、気持ち悪いんです。その気持ちが理解出来ませんでした。

そして、戦争から負傷して戻った帰還兵(村上さん)が、心を病んでしまい、強姦しまくるのですが、それも、あまりにも酷くて、気持ち悪くなりました。戦争で心を病んでしまったら、これほどに狂ってしまうのかも知れませんが、やはり、理解出来ないと言うか、理解したくない所業でした。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-一人の女

この女と帰還兵が、最後の方でかち合い、関係を交わす事になるのですが、なんだか、ここら辺も、スッキリしないと言うか、決着は付くのですが、なんだか、いや~な感じなんです。それで戦後を生きて行くのかと思うと、何となく、納得出来ないと言うか、それでいいんかいっ!って思ってしまって、受入れられませんでした。

内容は、そんな感じで、あまりスッキリせず、納得も出来なかったのですが、映画としては、面白いなと思いました。昭和文学と言うだけの事はあり、言葉使いもこだわっていたし、その時代風景などは、こんな風な時代だったのかなぁと思わせるものでした。それが、現実と違うのか同じなのかは、その時代を知らないので、あまり解りませんが、何となく、昭和の空気が、映像の中にも流れていました。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-一人の女

私は、あまりお勧めしたい映画ではありませんが、戦中、戦後の時代を知る為には、良い映画なのかも知れません。すごくハードなエッチシーンなどもあり、女性は、ちょっと引いてしまうかと思います。私も、ちょっと観ていて、恥ずかしくなってしまいました。もし、興味があったら、観てみてくださいね。
ぜひ、楽しんできてください。カメ



戦争と一人の女@ぴあ映画生活