女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

”よりぬき”公開














彼女と彼女の蜜月9(18歳の誕生日2)


満月が
こうこうと
湖を
照らし出していた。


 

ジョルジャは、
妙に
体の奥がほてって、
心の奥が
ざわざわと騒いで、
少しも
眠くならない。 

 

長い間、
ベッドの上で、
ただ天井を
みつめていた。
 


隣では、
祖母が
眠っている。



「………ん……」
 


プライヴェート・ヴィラで見た
KOKOの姿が、
頭から離れない。
 


KOKOの
瞳、
唇、
微笑み、
どれも、
艶やかで、
魅力的だった。
 


あんなふうに、
女性であることを
満喫しているひとが、
この世に
生きているなんて。
 


………きれいだった。
 



淫らなことを
しているのに、
KOKOは
美しかった。
 



あんな美しいことが、
してはならない
罪深いこと
なのだろうか。
 


彼女と
絡み合っていた
金髪の青年も、
絵画の中から
抜け出てきたようだった。
 


いつか、私も
男の人と
……あんなふうに、
愛し合うのかしら……。 



たとえば……
アンドレアと……
いつか?
 


想像すら
うまくできなかった。



「…………はあ」
 


アンドレアと
あんなことをする
自分は
想像できない。
 


けれど、
あんなふうに
誰かと
愛し合う

KOKOを、
もっと見ていたいと、
あのとき
たしかに思った。
 


とくとくと
早くなっていく

鼓動と一緒に、
下腹も

疼いた。
 


痛みに
似ているけれど、
痛みとは
どこか違う
甘く
重苦しいものが
なんなのか、
知りたい気がした。
 


でも、
知るのが怖い
気持ちもする。
 


ジョルジャはたまらず、
自分のベッドを
抜けだし、
隣の祖母の
ベッドへ
もぐりこんだ。
 


小さいころは、
よくこうして
祖母のベッドへ
潜り込んでは
叱られたものだ。
 


祖母は、
慣れたように
体をずらし、
ジョルジャの

スペースを
あけてくれた。



「身体が熱いね。
昼間の熱に
やられたのかい?」
 


祖母は、
子供のころと
同じように
こうして隣をあけて、
甘えさせてくれるのに。
 


ジョルジャの

体の熱は、
少しも
治まらない。
 


こんな熱は、
知らなかった。



「……今日ね……」




「……ああ」


 

ジョルジャは
固く目を閉じた。




「私、18になったわ」
 


そう。


今日は
ジョルジャの
誕生日だった。



「……明日のミサで、
感謝のご報告を
しないとね」
 


祖母に
ぎゅっと身を寄せて、
ジョルジャは
小さく丸まった。



「……」
 


何も言わず、
強く目をつぶる。
 
 


だがもう
わかっていた。


眠ってしまったら、
きっとまた

あの夢を見る。


あの、
淫らな
美しい夢を。




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(再)