戦力外通告の季節ですね。
まだまだ出来るのに、まだまだ何もしてないのに…あの選手もこの選手も。ファンの皆さんにとってはやりきれない思いを抱かれてる方も多いと思います。ですが、これが現実。プロ野球と言う契約社会宿命なんですね。


ですが、野球選手の生きる道は日本だけじゃないですよ。島国日本で育った我々は海を越える事にとても勇気を要しますが一歩踏み込めば外国、みたいなのが世界なワケです。国境を越えて仕事をしに行く人たちは世界中にごまんといます。自分の愛する仕事を続けたいのであれば場所を選ばない、ことです。むしろどこででも仕事が出来るタフネスさはある意味強力な武器になります。天職する前によーく考えて下さいね。


実は日本は(韓国台湾も)レギュラーシーズン終了後のこの時期に一気にリリース(解約)となるので凄く重い感じがしますけど海外だとシーズン中だってリリースは良くある事で常に選手の流動は起こっています。6月や7月にリリースとなり今季の契約が取れない選手がいたりしますがそんなの「当たり前」です。野球界は契約社会ですからね。他の業界のフリーランスの方からすると一年間も契約してもらえるのは恵まれてるほうだと思われる方も多いと思います。


さて、僕の友人で今年はスペインリーグでプレーした池永大輔氏からそんなフリーエージェントとなられた野球選手の方々へ朗報です。ヨーロッパリーグでプレーをするチャンスがあります。日本では海外の野球リーグの認識がかなり間違って広まっている事もあり「ヨーロッパ…?」って感じに思われる方も多いと思いますが。まぁ、並の選手じゃ契約してもらえないですよ。これ。

少し、その辺りの価値観のお話をしましょう…。プロとかアマチュアとか独立リーグとかの日本的ジャンル分けはここでは抜きとします。大切なのは選手個々が高いレベルでプレー出来るかどうかですし、海外ではそんなジャンル分けすらどうでも良い事だったりしますので。どこに所属するかはあまり重要じゃなく「チームのために何が出来ますか?」と言う所ですね。シビアですよ。

確かに給与面だけを比較すれば海外の野球リーグは日本に比べてずっとずっと低いです。まぁ、戦力外通告を受けた選手がメジャーリーグ契約を結べる、なんてことがあればそれなりの給与は期待は出来るかもしれませんが。んなぁこたぁない…わけですから次の移籍先に関して「給与」の額で選択することは考えない方が良いです。それは無い、と考えるべきです。

では何を基準に考えるかです。物事の判断をする時に必要なのは情報です。それも新鮮な生きた情報。間違っても「想像」とか「うわさ話」とか「ネットで…」なんてことを信じる事はやめた方が賢明です。今は日本のプロ野球の一流選手でも独立リーグなどを経験している方が増えていますからツテがあるなら聞くといいでしょう。「何を求めて海を渡り、何を得たのか」を。

最初に日本の野球選手の給与は世界のプロリーグの中でもずっと高い、と言う事を知っておいて下さい。メジャーリーグの最低年俸保証額が4500万円と言われていますが日本は1500万円。マイナー選手の給与に関して言うと日本の選手の方が何倍も高い給与をもらっています。グッズ販売や放映権など全世界をマーケットにするメジャーリーグに比べて日本プロ野球のマーケットは日本国内、もしくは台湾や韓国への放映権くらいです。マーケットの大きさがかなり違うにも関わらず給与はとても良いんです。それを「当たり前」とするならば韓国も台湾もメキシコもとんでもなく安月給に感じてしまいます。それから、日本の生活水準は世界トップクラスである事をお忘れなく。安いとは言え現地の生活水準からすると外国人選手は平均の何倍もの給与をもらう訳です。ですから、当然それなりの仕事を求められます。期待に応える事が出来なければ即解雇です。日本から往復のチケット代も自己負担も覚悟して下さい。日本の様に相手チームの情報も自分で入手しなければらないし、メディカルスタッフやトレーニング環境も日本のそれと比べて半分以下です。

その中で外国人選手として結果を出さなければならないのですから鍛えられます。自分の事で申し訳ないですが日本のプロ野球の2軍にいた頃よりも何倍も成長出来ましたし「プロ」としての自覚や責任が芽生え野球道の追求に命をかける事ができました。「今日の登板で失敗すれば引退…」と言うプレッシャーの中で勝利すると野球選手として生きる事の喜びも感じる事が出来ました。満員御礼の球場で「外国人助っ人」としてマウンドに立ち大歓声の中で勝利した喜びも得る事が出来ました。行く先々で多くのファンの方に応援をしてもらい「日本人選手」の評価も上げて来たつもりです。

苦労もありましたがどんな職業でも苦労はあります。ただ苦痛ではありませんでした。誰でも経験出来る仕事ではない、と言う事を誇りに思って欲しいです。お金を稼ぐ事は野球選手でなくても出来ます。むしろ現代の日本であれば野球選手と言う職業を選ばない方が安定的で生涯獲得収入の多い仕事があります。「お金」が欲しいと感じる様になってしまったのならば引退すべきです。プロ野球選手は「割り」に合わないでしょう。

「プロ野球選手」や「プロ野球」がそれぞれの人生の価値観の中でどう育って来たのかによって判断は別れると思いますが、個人的にはプロ野球選手は「得る職業」ではなく「与える職業」だと考えています。収入を得るためだけに仕事をするのか、チームの勝利に貢献しファンに感動や勇気を与えるのか。もちろんその両方が望ましいのは間違いありません。ですが今、野球人生の岐路に立っているあなたは、どちらを選択すれば幸せになれるか、をよく考えて下さい。どちらが正解、ということはないと思います。ただ人生は一度きり、後悔先に立たずです。自ら幕引きをした訳ではなく戦力外通告を突きつけられた選手に引き際は無いと思います。あるのは支えてくれた大切な人たちのために生き様を示す事です。

尊敬する桑田真澄さんや野茂英雄さんも自分に素直に最後まで挑戦し続けられました。僕はその事がとても嬉しかったし憧れていた人たちはやっぱり本物だったと感じたものです。続ける事が大事だ、と言いたい訳ではありません。健康な肉体と強い精神と少しの蓄えがあるのならば諦めないで欲しいと思うのです。

最近では日本のプロ野球で活躍された方達も海外に出ることが増えて来ました。僕の初海外となった2006年当時は、日本のプロ野球を戦力外になったあと海外に出てプレーする選手など殆どいませんでした。僕自身、相談出来る人もおらず周囲からの理解もなかなか得られませんでした。孤独でしたしどこへ向かっているのかも定かではなかったです。ただ「何もせずに諦めたくない」と言う思いで活路を見出しアメリカに渡ったのでした。初給料は800ドル(約8万円)。ヤッスイヤッスイ給料でしたがチームの勝利に貢献して初めて「仕事」をしてもらった給料だったためとても誇りに感じたものです。プロ入りして高卒でも毎月数十万円を手にしていましたが2軍は「プロ野球選手としての仕事」ではありません。言わば研修生。やるかやられるかの緊張感は味わった事が無く、僕はこの感覚を得る事が初めてでしたからこの場所を死守するために毎日必死に体調管理に務め、ベストを尽くすよう心掛けるようになりました。

日本の2軍選手くらい貰えれば台湾ではレギュラークラスでした(2009年当時)。「野球選手」としての価値を日本の金銭価値で比べるのは大きなズレが生じます。逆に生活水準の低いドミニカ共和国の選手が日本に行くと外国人選手としては安い給料でも母国に戻ればリッチマンになる訳です。海外でプレーするのは日本人選手にとっては貨幣価値的には不利なののですが、それだけ自国の経済が良い証拠です。そして選手の評価とはまた別次元の問題だと考えて下さい。海外の野球選手はそんな中、日本よりも遥かに過酷な状況で揉まれています。それでも、文句は言いません。嫌ならやめれば良いんです。誰かにチャンスが渡るだけですから。

ただ、「そこまでして…」と考えるのか「それくらいしなきゃ」と考えるのかでプロとしてのあなたの仕事への思いが問われるのではないでしょうか。出来るか出来ないか、をやる前に考える必要はありません。判断する基準(情報)は行ってみて自分の目で見て肌で感じて確かめて下さい。


それと大事なこと一つ。戦力外になった選手の今年の成績。恐らく試合数が少ない方が殆どだと思います。例えば投手なら15試合30イニング前後…とか。この数字は海外に出るとかなり苦戦します。試合数が少ないと評価のしようがないからです。もしくは「故障でもしていたのか?」と判断されます。過去の実績よりも来季戦力としてプレー出来るポテンシャルにあるのか?は重要なポイントで日本のファームの「選手数と試合数のバランス」はプレーヤーにとってかなりマイナスな状態にあると言えます。どのリーグでプレーしていようがローテーションで回っているとか規定打席に到達していると言った点があればトライアウトで見てくれたりもするので先に繋げることが可能です。つまり「外国人選手」としては不利な状態にあるのですから「オファーを待つ」と言うスタンスはやめた方が良いです。ハッキリ言います。来ません。世界の選手はエージェントがドンドン売り込んでいます。今年、メジャーやマイナー、各国のプロリーグでバリバリプレーした選手たちと契約を取り合うと考えて下さい。挑戦心を持って乗り込むくらいの覚悟が無ければ契約など取れませんよ。忠告しておきます。やる以上は本気でやって下さい。チャンスは必ずやってくる、は嘘です。死ぬ気で獲りに行って下さい。でないと後悔します。



めちゃくちゃ遠回りしましたが(笑)池永氏からのお知らせを引用しておきます。人生は自分次第です。素晴しい野球人生にしてください。心から祈っております。


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近頃、NPBの戦力外通告のニュースをよく耳にしますが、NPBからドイツのリーグにどなたか来て欲しいです。
MLBのスカウトが多数常駐しているので、そこからマイナー契約もありえます。
なぜスカウトが常駐しているかというと、昨年ドイツ人のドナルドルッツが、ドイツ人として初めてシンシナティーレッズでメジャーに昇格したからです。
イタリアやオランダは、年々敷居が上がり、NPBでもある程度名前のある選手でないと入団は難しいようです。
NPB出身でも北米での契約が難しい時代ですから、それなら新たな環境としてドイツはどうでしょう。
ドイツ野球の成長が著しいこと、行けば分かりますよ。
まだ本気で野球をやりたいという方、お世話致します。

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o(・∀・)o 「ざぁぁぁっす!」