外壁塗装工法選定のお話です。

 

お客様に『なぜこの表にある一番良い下地調整材をツボイさんは勧めないのかな』
 
そんな疑問をお話してくれました。

それにはしっかりとした理由があり、
今回の現場の選定基準に沿ってお話します。   

今回の現場はコンクリート押し出し成形サイディングボード。

薄膜で積層することが要求されます。

厚く単層膜を形成すると蓄熱膨れが起きますので慎重に選定します。


この写真は関西ペイントの下地調整塗装性能表です。

りベルマイスターシリーズはマンションなどの簡単に改修工事に取りかかれない大型構造物向けに開発された高弾性塗料で、一般住宅にも適用可能ですが、かなりの厚膜塗料で現状のパターンやテクスチャーはすべて消えてしまい、さざ波模様仕上げのみです。

ずば抜けた性能を有しますが、現状のパターンを生かして欲しいという要望が多い中では非常に使いにくい工法になります。

また、今回のようなサイディングには弾性塗料は蓄熱膨れの危険があり塗装不可のため、適用外です。

次に当方で定番の弾性ホルダー防水型ですが、こちらも弾性塗料でサイディング塗装不可のため適用外。

ホルダーEPOは弾性ホルダー防水型の機能を引き継ぎながら接着性をプラスした仕様ですが、厚膜のため、やはりサイディングには塗装不可。

そこでラインアップの中で現状素材とマッチングするのは薄膜のシリコンクラフトが最善で最高の選択。

また、仕上げ材が硬質のナノコンポジットw選定のため弾性下地調整材との組み合わせでは樹脂変動が異なるため破断やひび割れのリスクがあり、微弾性であれば変動幅をナノコンポジットと合わせられるため、最適です。

ただし、シリコンクラフト単体ではやはり蓄熱膨れのリスクは回避しきれない、更に旧塗装膜が単層弾性塗装という顔面蒼白状況であったため、研磨足つけを行い、


通常の外装用下塗りよりも密着力に優れたカチオン浸透エポプライマーを選択。
テストペイントで、より旧塗装膜を固める二液弱溶剤浸透エポプライマーも試しましたが、縮れが発生し、塗装不可のため、水系最強プライマー(下塗り)に切り替え。

更には、薄膜下地調整材の機能を補完し、出隅部分の早期塗膜劣化に対処するため、ドイツ製止水材二度塗り。

こうした完璧な下地調整を終えて、初めて仕上げをすることができます。


長々とお話しましたが、本来はここまで考えて塗装をするのが本当のプロの仕事。

素材の適正も考えず、状況も見極めず、微弾性下地調整材直接塗り&シリコン樹脂仕上げをする業者さんが多いなか、それは間違いなんだ、本来はこうするべきだということをお伝えしたくてblogにしました。

築年数によっては最初の塗り替えが建て替え最後の塗装としてお考えの方も多いはずです。
 
営業会社やリフォーム会社で不正工事をされるリスクを負うのはあまりにも危険です。

これからも当blogにおいて、注意喚起をさせていただきながら、当方のような町場で頑張る業者を応援していただければ幸いです。


本年も宜しくお願い致します。

2015年1月2日 ツボイ塗工
http://www.tsuboi-toko.net