ラポール形成・傾聴で(PTSDの合併症である)摂食障害にできること | 精神科医ブログ、長崎広島原爆・福島原発・コロナ・第二次大戦・北朝鮮ロシア核・児童虐待・DV・レイプ複雑性PTSDの薬物療法

ラポール形成・傾聴で(PTSDの合併症である)摂食障害にできること

「23万人研究者ネット」のHPでPDF公開している膵臓ガン術後トラウマPTSDの「るいそう・下肢麻痺など多彩な症状を呈した複雑性PTSDに精神療法と薬物療法が著効した一例」(広島医学2005)では手術は成功したのに遅発性PTSDによる人格の解離と摂食障害で心停止による餓死寸前だった患者。他の医師や家族が勧めてもどうしても食事ができなかったのが、私とのラポール形成・傾聴により私の指示だけは聞けるようになり、最低限の食事だけで一年間命をつないで「傾聴」し、+パキシル(無意識深層に抑圧されたトラウマの想起)+ジプレキサ(解離した人格の統合)という薬物キュア(治療)が行われて最後は元の人格に戻り「太った」。
別の例で統合失調症圏とされていた初老の女性を診た。一目でPTSDであることはわかった。しっかりしたご主人がいたが、ほとんどしゃべらないという以外はあまり特異な言動はなかった。糖尿病を合併し、それは他院で診てもらいながら、食事療法しているということだった。はたと気がつくと摂食障害に移行しており、衰弱し肺炎を併発していた。糖尿病を診てもらっている病院に入院し、暫定処置として胃ろうを作ってもらえば、精神面の治療は何とかするからとした。胃ろうから1400キロカロリーが入るようになってから転医してきた。その病院では完全に沈黙し意志の疎通はなく、自力で摂食することはなく体動もほとんどなかったということだった。
転医後にラポール形成・傾聴により私の指示なら速やかに経口摂食が可能となり、歩行もし、やがて胃ろうも抜去できた。通院可能になったところで、糖尿病の管理は元のように、胃ろうを形成してもらった病院で診てもらうように指示した。 次回診察で、その病院ではどうでしたかと内心ワクワクしながら聞いた。病院中がパニックになるほど驚き、担当だった看護婦さんが涙を流していたとご主人が。
その病院では、私のところに転医すれば、患者はそのまましゃべらず食べず動かずで寝たきりのままで廃用性症候群(褥瘡・肺炎など)で亡くなると確信していたのである。それがほとんどしゃべらないのは変わらないが、多少は表情もあり、自分で食事し胃ろうも抜去できて、自力で歩行して現れたのである。私は愉快になり後で一人で笑っていた。