注: イギリスでの催し物ですが、これから行かれる予定の方はネタバレ注意です。



先週末、世界中のメディアが取り上げていたイギリスの社会風刺的なストリート・アーティストのバンクシーが中心になって開催していたDismaland(ディズマランド)へ行って来ました。



「お昼ご飯を忘れず食べて、

しっかりとトラブルを起こしてくるのよ」




バンクシーと言えば、少し前にイスラエルのガザ地区で命がけのアートを残してきたのが記憶に新しいところですが、私の一番のお気に入りはこれです↑




【関連記事】
英 バンクシーの壁画が「盗まれ」マイアミのオークションに浮上 その後

焼け焦げた城、シンデレラの死体。”悪夢”のディズニーランド、バンクシー監修の「Dismaland(ディズマランド)」が期間限定でオープン(イギリス) (カラパイア)





ディズマランドは、名前からも分かる通りあの有名な「夢の国」を風刺し、荒廃した未来でネズミーランドのような遊園地がどうなるかを表現したディストピア風で、「入門レベルのアナキズム」が表現された大人向けのテーマパークです。

Dismaland のDismalというのは「陰鬱な」という意味です。

アートもテーマも、あちこちに書かれている言葉もことごとく子供向きではありません、とディズマランドのサイトには記されています。

またチケットの販売についても、初めてチケットをオンラインで売り出して間もなく予想以上の600万件のアクセスがあったということでサイトがパンクし、チケットがネット上で買えなくなり、長蛇の行列ができる羽目になっていました。

しかし一部のメディアでは「それもDismalの一部として、バンクシーがそういう風に仕組んだのでは?」という憶測が流れるほど。

私たちはなんとかオンラインで買うことができましたが、その時も少し大変で、やっぱり噂通り買えないのかも?!と思うほどでした(-_-;)

http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-bristol-34014623





しかし入場料は会場でチケットを買った場合は一人3ポンド(約540円)、オンラインで買った場合は手数料込みで5ポンド(約900円)と物価の高いイギリスではありえない値段設定で、そんなところまでバンクシーらしいさがにじみ出ています

場所はウェストン・スーパー・メア(Weston-super-Mare)というイギリス西部の夏場の観光の町にあったトロピカーナという野外プールの跡地です。


身元を隠したまま世界的に有名になったバンクシーはブリストル出身だとされていますが、これが開催されたウェストン・スーパー・メアはブリストルから車で1時間ほどの距離にありました。また、一部のメディアでは、ある男性がこの海岸沿いの町でバンクシーと同級生だったと話しているようです。


イギリスの民放の一つ、チャンネル4でもディズマランドについて報道していました。





Dismaland: inside Banksy’s dystopian playground  



私たちは土曜日の午後7時から始まる夜の部に行ったのですが、会場前は行列も複数のメディアが大騒ぎするほどのものではなく数百人程度。横にはオンラインでチケットを買えなかったものの、後から入ることを期待して並んでいる人たちの行列も。


行列にならんでいるのは、老若男女、国籍、風貌などの様々な人たちです。私たち以外にも子連れの人もけっこういました。






行列が前に進んで、入場できる寸前、スプレー缶やアルコールを持ってないか(本気の)簡単な荷物検査の後、入り口の写真を撮っていたらこんなことに(笑)








セキュリティの人にPhoto Bombされてしまいました(笑)


Photo Bombというのは直訳すると「写真爆弾」ですが、要は誰かまったくの他人が記念撮影しているところに入ってくる「大人の遊び」です。いい笑顔ですね。










そして「セキュリティごっこ」のエリアへ











ダンボール紙で出来たオフィスや防犯カメラ、金属探知機があり、うちの娘はダンボールの携帯型金属探知機でグルグルと10回くらい回され、

旦那はジャンパーの胸元に息子のぬいぐるみを入れていたのを、徹底的に無表情なセキュリティの女性に厳しくつっこまれるという熱烈歓迎を受けての入場になりました。



dismalなセキュリティごっこが終われば、入場です!




無愛想な店員さんがだるそうに座っているパンフレット売り場









ビージーズの有名な「Stayin' Alive(生き続ける、という意味)」の曲に合わせて陽気に踊る死神(Death)。こちらもバンクシー本人の作だそうです。

誰かがYouTubeに動画をアップしてくれていたものを拝借↓















デイビッド・キャメロン。顔を見るだけで気分が悪くなります。
















面積はお風呂くらい、深さは30cmほどのプールに「ダイブ禁止」のサインが。誰も絶対にダイブはしませんから、大丈夫です。たぶん。













冷凍食品などの箱で作られた植木鉢の植物たち













核がテーマの作品も目立ちます。







入り口すぐ横の建物の中には、かなり辛口で大人な展示物が多めでした。


また死神の展示のすぐ後ろには、ひっそりと胎児の自動販売機も・・・しかも体中には私たちにも馴染みの深い多国籍企業のロゴがプリントされていました。






巨大な砂のお城




蛍光色のジャケットを着た警備員は陰鬱感たっぷりですが、アーティストなどは子供には(意外と)かなりフレンドリーでサービス満点









これも楽しみにしていた「お小遣いローン」のコーナー。

後ろの灰色の空がいい感じにDismal感を盛り上げてくれています。







お小遣いローンの建物内の秀逸なポスターの一部


お菓子に含まれている添加物で子供がハイになり、行動異常を起こすことがありますがそれを風刺したもの







「ローンで負債から逃れよう!

年利5000%」

.











こちらでは、子供の乳歯が抜けると寝る前に枕の下に抜けた歯を入れておくと、夜中の間にTooth Fairy(歯の妖精)が出てきて、歯を持っていく代わりに現金を残していくという風習があります。










日本でもよくある「車に乗ったままお金が借りられます!」の子供向けバージョン





ここからは再び外の作品





Un-Fuck The System






***


アナキズム関連の情報が集められた小さな建物の入り口にあった看板が次のものです。

ディズマランドの会場内には、イギリスの都市部によくあるこういった看板の蓋を外すための工具が販売されていました。もちろん、違法行為のための使用は禁止されており、お土産品としてのみの販売です。


あわせて、何かの作業中の人の安全を確保するためのハイビジビリティ(蛍光色)のジャンパーもすぐ横に売っていました。気が利いていますね。


【関連記事】
通勤途中でこんなポスターを見たら、どう思いますか?





「1990年以降、警察による拘留中、あるいは警察官からの接触後に死亡したのは1564名。

犠牲者の死亡に関して有罪判決を受けた警察官の数は0。


1829年から、免れ続けています。
♯ACAB

完全なるプロパガンダ」






アナキスト向け情報収集コーナーの中には、COMRADES(同志)を対象にしたアドバイスコーナーがありましたが、よく見ると労働条件などについてのアドバイスを提供してくれているようです。

その他のアナキスト向けフリーペーパーやデモや抗議活動情報などもあり、かなり充実しています。









そして会場の中心地には、お城が



夜はまた違った雰囲気があって、こんな素敵で退廃的な感じです。


会場の中心にある荒廃したお城の中に入ると、シンデレラの馬車が事故にあって転覆している様子を激写しているパパラッチの様子を見ることができ、それと一緒に記念撮影ができます。









「勝つことは厳重に禁止されています」



















警察の暴徒(ライオット)制御バンが沼の中に放置され、噴水が出ている様子。

写真が暗くてわかりにくいですが、緑の部分は滑り台のようになっています。










自撮り用のホール







観光地によくある、穴に顔を入れて記念撮影ができるボードです。

もちろん私たちもこの後、しっかりと記念撮影してきました。




***


会場内には、こういった観光地にありがちなホットドック売り場の変わりに、ファラフェルのラップサンドイッチやピザなどが売られていました。ファラフェルを食べましたが手作りっぽくておいしかったです。


また子供向けには、メリーゴーラウンドや旧式の観覧車などの乗り物もあり、夜にはキャンプファイヤーも作られていたりして、かなりほのぼのとした雰囲気でした。





噂のアヒル釣りでアヒルが釣れたら、賞品に膨らませた透明なビニール袋に一個だけ入れられたフィッシュフィンガー(イギリスで人気の小さめな白身魚のフライ)がもらえるゲームも。


原油流出で石油まみれになったような鳥が中心にいますね。


3時間は観て回りましたが、それでもまだまだ全部は観れていなかったので、もう一度行きたくてしょうがありません。子供たちも楽しんだのか、また行きたいと連発しています。


しかも最近のBBCニュースによると、DJのファットボーイスリムまでもがディズマランドでプレイすることになったのだとか?