不安になる人種 | いまのしゅんかん
2015-01-19 20:52:42

不安になる人種

テーマ:国際テーマ

ドキドキしていた小学校の面談、ずーっと褒められ続けで拍子抜けした。

1年前に比べてかなりの成長がみられたらしく、勉強もがんばっているしクラスメートとの関係も良好だという。

進路も、娘は今のところ9年生が終わったら直接高校に行きたいといったところ、この状態のままだったらまったく問題なく推薦状も書けるとのこと。(どうも、保育園から小学校に上がるときも、保育園の「入学できる状態にあります。」という承認が必要なように、高校進学にも先生のOKサインがいるようだ。)どうも噂では、最近のefterskole人気もあり、50%の9年生修了者が10年生に進むと聞いていたけれど、娘が学業でも社会性の面でも高校進学の要件を満たしているそうだ。

わたしとしては、勉強はともかく、娘はシャイだし社交性もあまりないし、興味の範囲が狭いなど、人間性として未熟なのではと懸念しており、本人さえ希望すればefterskoleに行くのもいいかもと思っていたけれど、娘本人はそのきもちはないようで、先生も大丈夫というのなら、そのまま進学して新しい世界に足を踏み入れるのもいいと思った。

それにしても、家での娘と学校での娘のなんという違いよ、と思った。

先生に、娘は何も話してくれないから実は心配していたんです、と言うと、ティーンネージャーにありがちなことでしょう、とひとこと。一年前はまだときどき目が泳いでいたり、授業中集中していない様子がみられたが、今は常に真剣に勉強に取り組んでいるようで、学校で緊張している分、家ではいきなりだらけてしまうようだ。

ともかくほっとした。

 

昨日は、我が家で女子会を開いたのだが、またまた話がものすごく盛り上がった。

数日前に、友達がいいねをした記事に、「いくら環境を整えても、日本では出生率が上がらない。それは、日本人は欧米人に比べると子供よりも自分の生活を重視しているから。」という内容のものがあり、それについてどう思う?という問いから話が発展した。

わたしの個人的な考えからいうと、日本での出生率の低さは確かに保育園が足りないことだけが理由だとは思っていない。なんだかんだバリバリ働いているひとでも、子供を産んでいるひとがたくさんいたから。それに、わたし自身、この子供を育てやすいデンマークにあっても、それが子供を欲しいという原動力にはなんら影響はしなかった。正直、その記事の内容はわたしにかなり当てはまっている、と思ったほどである。

わたしの周囲に限ったことでいえば、保育環境のかなり異なるデンマークも日本も、30歳くらいまでは自分の人生を謳歌して、35歳くらいまでにはひとりは子供を作って、、と大して変わらないような気もする。子供をもちたいという願望の大きさも同じくらいだと思う。デンマークの出生率の高さは移民の出生数の多さが影響しているか、強いていうのなら、日本の方が若干シングル率が高いからなのかもしれない。

 

その中で面白いと思った意見は、日本人の方が子供をもつことの不安が大きいのではないか、というものである。

日本人は、子供は欲しいが、経済的なことを考えると12人しか産めないという、ネガティブな考えをもつひとが多いという。

それを言われて、そういえばそうかもしれない、、と思った。まさにわたしがデンマークにいても子供を産む気になれなかったのは、夫の問題と息子の問題をみていて、わたしにはできないと思ったからである。

そこからいろんな話に発展した。

何も子供だけでなく、日本人は何に対しても不安を感じやすく、備えをもたないと気が済まないところがあると。

なんでも国民ひとりの貯金額の平均が600万円だそうである。

それに対してデンマーク人は、バンバン旅行に行ったり、思いきって改装したりとか、お金をそのまま貯めるよりも遣うことを楽しんでいるような気がする。言語交換の子でさえ、ボーイフレンドが無収入状態であるにもかかわらず、200万円かけてキッチンを改装し、11月にカナリア諸島に旅行に行き、この度は36万円で犬を買ったそうである。

ちなみに、アパートや家を買うときに、頭金が20%以下なのは普通だそうで、最低の5%だけ払うひとも結構いるらしい。わたしがアパートを買うときにそのことを聞き、驚いたものである。

 

その理由としてよく言われるのは、デンマークは福祉がしっかりしているから。

でもわたしからすると、そうだと思えないのである。

解雇されてもなんとかなると思われているけれど、失業保険給付も上限額が決まっているのでわたしの場合今の収入の30%くらいになってしまい解雇されたら経済的にかなり苦しくなるはずで、失業に対する不安はデンマークにあっても大きいのである。

でも、結婚していたときも経済的に心配する必要がないのに、解雇の不安が変わらずあったから、やっぱりわたしという人間が普通のデンマーク人よりも不安をもちやすいのではないかと思っている。

 

すると、その意見を言った子が、なんでも日本人は神経伝達物質のひとつであるセロトニンの伝達に関係する遺伝子のタイプが欧米人とは異なっていて、遺伝的に日本人は不安を感じやすい人種だそう、と言ったのだった。

なんだ、、文化の違い、価値観の違い、というのではなく、もう遺伝子レベルでどうしようもないことなんだ、、と。

確かに、かなりデンマーク人の価値観の影響を受けてきているわたしも、不安や自信のなさに関しては一向に改善されていない気がする。

ファンドのアプリケーションに意気揚揚と取り組んでいるようで、実は毎日夜になると、パートナー獲得がうまくいかなかったらどうしよう、、と不安に苛まされているのである。大きなプロジェクトが終わる半年前から、これが終わったらどうしよう、、と悩み、しょっちゅう同僚に相談しにいったものである。それに対してグループのひとりは今ほとんどプロジェクトがないと聞き、そんな様子をおくびにも見せないことに驚いた。でもこれも遺伝子レベルの問題と聞けば納得もする。

逆に、不安ばかりもってしまう自分に忸怩たる思いもあり、デンマーク人のようにサバサバと生きていけるようになりたいと思い、いつかはなれるのではないかという期待もなきにしもあらずだったので、ちょっと残念な事実ではあるが。

この性質にうまくつきあい、変化をうまく受け入れられるようになれたらいいな、、と思う。