28日、ニューヨークで日露首脳会談が行われた。外務省発表の概要は次の通りである。

国連総会の際の日露首脳会談

 9月28日、国連総会に参加のためニューヨークを訪問中の安倍総理は、プーチン大統領との間で日露首脳会談を行った。
 今回の首脳会談は、安倍総理にとって第一次安倍内閣の時を含めると11回目のプーチン大統領との会談となった。
 会談は、30分間の会談に続いて、最後の10分間は安倍総理とプーチン大統領が通訳のみを同席させ、二人だけで行われ、合計で約40分間の会談となった。

1 会談の主要点
 今回の日露首脳会談では、平和条約締結交渉をはじめとする今後の日露関係について、親密な雰囲気の中、率直かつ幅広い議論が行われた。

 この会談において
(1)領土問題については、双方に受け入れ可能な解決策を作成するため、交渉の前進を図ること。
(2)今後、G20やAPECの機会を活用して、首脳会談を開催し、首脳レベルでの対話を継続すること。
(3)昨年11月のAPECの際の首脳間の合意に基づき、プーチン大統領の訪日に向けて引き続きベストな時期を探っていくことについて一致した。
 また、ウクライナ情勢やシリア情勢についても話し合われた。

2 両首脳の間で、以下のやりとりがあった。

(1)二国間関係全般
 プーチン大統領から、日露関係はここ最近進展が見られる、両国の接触の機会も様々な分野で増えている。他方で貿易額には減少傾向が見られる、それでも日露両国の関係の改善に向けて潜在性があるとして、二国間の様々な両国間の協力について指摘があった。また、同大統領から、先週の岸田大臣の訪露による日露外相会談及び貿易経済政府間委員会の開催への評価の発言があり、10月8日に平和条約締結交渉を行うことを改めて確認した。
 安倍総理から、プーチン大統領の訪日をベストな時期に実現したいという自分の気持ちは変わっていない、そのために平和条約交渉を中心とする政治分野と経済等の分野において成果を準備したい。そうした分野は、建設的で静かな雰囲気の中で進めていきたいと述べた。また、安倍総理から先週岸田大臣がロシアを訪問したシュヴァロフ第一副首相との日露貿易経済政府間委員会では、日露経済関係の進捗をレビューしたこと。ラヴロフ外相との会談では、平和条約締結交渉、すなわち領土問題について突っ込んだ議論を行ない、10月8日に次官級の平和条約締結交渉を実施することで一致したこと。平和条約締結交渉を2013年4月の両首脳の合意に沿って進展させていく必要があることを述べた。

(2)今後の首脳間の対話
 安倍総理より、今後は11月に行われるG20やAPECなどの国際会議の機会を活用し、平和条約締結問題を含めて率直な意見交換をしたいと述べたのに対し、プーチン大統領もこれに賛同した。

(3)ウクライナ情勢
 安倍総理から、ウクライナ東部情勢については、9月1日以降、停戦合意が概ね維持されており、10月2日のノルマンディー・フォーマットでの首脳会談で成果が得られることを期待すること及び「ミンスク合意」の完全な履行に向けてロシアが引き続き建設的な役割を果たすことを強く期待する旨述べた。
 プーチン大統領から、ウクライナ側にもミンスク合意をしっかり遵守してもらう必要がある旨、また、この後ポロシェンコ大統領との会談でも安倍総理からその旨伝えて頂きたい旨の発言があった。

(4)シリア情勢
 安倍総理から、難民が流出しているシリア情勢の安定化は極めて重要であると述べたのに対し、プーチン大統領から、最も重要な点はテロの蔓延であるとして、その撲滅に向けてのロシアとしての取組について説明があった。

 予想された通りの会談だったが、今、日露関係で大事なことは「信頼醸成」である。
 11月15日からのG20、同17日からのAPECで会談し、昨年2月のソチオリンピック開会式までの良好だった日露の信頼関係を取り戻すことである。
 その上で日露関係のダイナミックな進展を期待するしかない。安倍首相のやる気に期待したい。