自慢のアイドル
毎年この時期になると
白鷺が川へ降りてくる
川の曲がりのちょっと深いところは
じいちゃんが手を入れた餌場
白鷺は毎年餌場でハヤを狩り
毎年同じ樹にとまり
気高くあたりを見下す
今年は樹の枝が折れてしまっていたので
ばあちゃんは少し心配していたけれど
なあにそんなこと白鷺は
まったく気にも留めやしない
毎年来る白鷺は
毎年同じではないはずなのに
ウチに来る白鷺は
べっぴんさんだからすぐわかると
ばあちゃんはどうしても言い張る
下から見るよりね
二階のベランダから見るとね
それはそれは立派な姿でネエ
ハーァって見とれちまうんだヨ
べっぴんの白鷺はさながら
可愛い我が子のようなものだろうと思ったら
ばあちゃん自慢のアイドルだった
ばあちゃんは春まだ咲かぬこの時期に
毎年ココロ
トキメカス。
0082015