ワンカット風2時間、まばたき厳禁で刮目せよ! | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio
2015-04-19 13:00:00

ワンカット風2時間、まばたき厳禁で刮目せよ!

テーマ:映画な話
日曜日、ワタクシは「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を見る。
今年の米アカデミー賞(R)で作品賞・監督賞をはじめ4部門を獲得した、
20世紀フォックスのアート部門、フォックス・サーチライトレーベル発の快作である。
「バベル」のアレハンドロ・G・イニャリトゥが、
「バットマン」のマイケル・キートンを主演に迎えて撮ったってことは、
マイケル・キートンの「バットマン」以降を描いたかと思ったら大間違いやったわ。

かつてアメコミヒーロー映画の主人公を演じスターダムにのし上がったリーガン・トムソンは、
第4弾の降板以降、キャリアもプライベートも落ちぶれた今、
レイモンド・カーヴァーの小説「愛について語るときに我々の語ること」を脚色・主演し、
ブロードウェイの舞台で再起に懸けていた。
ところが、リハーサル中の怪我で降板した俳優の代役としてきたマイク・シャイナーの才能が、
リーガンとの衝突を招き、本公演開幕前に行われたプレビューでも対立してしまう。
さらに、リーガンの娘・サムとの不仲というダブルパンチに見舞われ、
精神的に追い込まれたリーガンは、自分の中に潜む「もう1人の自分」と葛藤することに。

この映画では、「ゼロ・グラビティ」で米アカデミー賞(R)を受賞したエマニュエル・ルベツキの、
流れるようなカメラワークが、リーガン・トムソンの心理を映像で代弁し、
さらに、随所に仕掛けられた”トラップ”の配置の巧みさと、
マイケル・キートンと彼をサポートする共演陣との掛け合いも良く、
結果、(冒頭と結末直前以外)ワンカット風で綴られ、流石やなって思ったわ。
ただ、随所に飛び出る過激なスラングや、主人公とその娘がマリファナ中毒だということから、
PG-12指定(小学生以下は保護者同伴)になってしまったのは仕方がない。

この映画に込められたテーマは、ハリウッドのブロックバスター映画への批判。
メガヒットしたブロックバスター映画に主演した俳優が、
その後のキャリアが振るわず、”一発屋”というレッテルを貼られている。
イニャリトゥ監督は、リーガン・トムソンの視点から、そういった現状を表現し、
映画から舞台に転向した際に飛び出る批判と、ショービズ界独特のエゴも盛り込み、
本公演初日の「無知がもたらす予期せぬ奇跡」まで突っ走っている。

この映画では、マイケル・キートンの「バットマン」以降を描いたかと思ったら、
マイケル・キートンは、「バットマン」以降、独自のスタンスで役者活動を続けていて、
シリーズものへの出演は、よほど内容がよく出来ていない限り断っている。
(「バットマン・フォーエヴァー」の出演を断り、ヴァル・キルマーに譲ったのは正解。)
”ティム・バートン版”第2作となる「バッドマン・リターンズ」以降、
シリアスな役柄から、コメディ映画でのお笑い要員まで幅広い演技を見せ、
’08年の「クリミナル・サイト 運命の暗殺者」(日本未公開)では主演だけでなく監督にも挑戦、
その年のサンダンス映画祭で絶賛された。
そして、「バードマン」で久々に表舞台に登場。
年齢的に”おじいちゃん”になってしまったが、チャレンジ精神は旺盛で、
「バードマン」本編中でも、人通りが激しい夜のタイムズスクエアを、
ブリーフ一丁で歩きまくるシーンを見て、流石やな~って思ったわ。

なお、この映画は2時間(ほぼ)ワンカット風の構成のため、まばたきは厳禁。
体調を万全にしてから見るように!

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