「働く」とは端を楽にすること | 季節の言葉と仏教を知って日々にうるおいを!

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私は、北は函館から、青森県、秋田県、山形県庄内地方を巡って説法している仏教講師です。
このたび庄内鶴岡の奥座敷・湯田川温泉に草庵が結ばれるのを機に、二十四節気・七十二候を紹介し、
季節の言葉・東北の旬をお伝えしながら、仏の教えを語っていこうと思っています。

(とにかく暑かった!!)


こんにちは。今日は埼玉県の熊谷にも、庄内会館のような聞法道場が開かれたので、そのお祝いに行ってきた帰り道です。

熊谷といえば、親鸞聖人のお友達である蓮生房(元の名は熊谷次郎直実)生誕の地であります。平家物語の名場面「敦盛」の段に登場する熊谷次郎直実は、年端も行かぬ平敦盛を討ったことが縁となって己の罪悪と無常に驚き、法然上人の弟子となった人物です。

そんな因縁の地に素晴らしい道場ができたのでありますが、とにかく暑かった!

この5年ほどはソウル(緯度は仙台くらい)→青森→山形と住まいしてきた私にとって、この暑さは久々で、ここに住んでたら死ぬかも…、と思うほどでした。さすが「暑いぞ熊谷」という宣伝ステッカーがあるだけのことはありますね。


さて、今日は4番目の「身施」についてです。

○身施…肉体を使って人のため、社会のために働くこと。

「働く」というと、「生活のために仕方なくすること」のイメージが強いですが、「働く」の語源は「端楽」で、端(はた…周囲)を楽(らく)にすることを言うそうです。

どうすれば、人を楽しませることができるか、ひとえにそれを念じて身体を動かす、ということです。

たとえば、農家の人ならば「おいしいお米、おいしい野菜を食べて、健康になってもらいたい」

技術者ならば「新しい技術で、もっとみんなの生活を便利にしたい、社会を明るくしたい」

サービス業ならば「お客さんに気持ちよく過ごしてもらいたい」

先生ならば「生徒には大事なことを知らせて、幸せになってもらいたい」と、相手の幸せを念じて従事することです。

人気番組だった『プロジェクトX』は、そういう精神を感じる話ばかりでしたよね。あの時代の日本の技術者は、まさにはたらいていたのだな、と思います。


はじめから、報酬を得ようとして動くのは、布施とは言いません。

「人のため、社会のために」働いた結果、みんなに喜ばれて必要とされる。必要とされることをしている人を、周囲や社会は見殺しにはしません。みんなで守っていこうとします。当に、身施による善因善果(よいことをすればよい結果があらわれる)、になるのです。

「言うはやすし行うはかたし」で、私達、どうしても損得勘定で、儲かりそうなことはやる、儲かりそうでないことはやらない、という行動パターンになってしまいます

しかし、思い切ってそれを捨てて「人が喜ぶことをする、人が喜ばないことはしない」という行動パターンにすれば、少し時間がかかるかもしれませんが、必ず恵まれるようになります。

そういえば「儲かる」という字は、「信用のある者に(お金や人は集まる)」という意味だそうですよ。


明石家さんまさんは、「常に人を笑わせたい、明るくしたい」と思っていて、テレビ番組の収録のときだけでなく、休憩時間に番組スタッフを笑わせたり、首都高を走る時などは料金所のおじさんにも必ずギャグをかますそうです。「さんまさんは裏表なく、いつも人を笑わせようとする」と信用(芸人としての)を得ているのです。

私はさんまの芸風はそんなに好きではなかったのですが、この話をきいて尊敬するようになりました。ハードスケジュールで疲れている中、なかなかできることではありませんよね。

今日も、周囲を一人でも幸せにできるように、一日身体を動かしましょう。


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