去りゆく夏に思い出す「カオス シチリア物語」 | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio
2015-08-24 15:00:00

去りゆく夏に思い出す「カオス シチリア物語」

テーマ:映画な話
このブログを読んでいる君は宿題終わったかな?
このブログ、オナニーのオカズにならないのに(笑)

去りゆく夏の季節になると、ある映画が気になっていてしょうがない。
それは・・・

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「カオス シチリア物語」。
(1984年・イタリア/日本配給:フランス映画社・BOWシリーズ)
日本公開:1985年8月10日公開(シネ・ヴィヴァン六本木での単館公開。)

カンヌ国際映画祭のパルム・ドール(最高賞)受賞歴を持ち、
コーエン兄弟やウォシャウスキー姉弟を超えるイタリアの兄弟監督、
パオロ&ヴィットリオのタヴィアーニ兄弟が、
ノーベル文学賞受賞作家であるルイジ・ピランデルロの短編小説集から、
より抜きのエピソード6編を映画化。
上映時間約3時間。
慣れないイタリア語で心が折れたが、オムニバスストーリーゆえ、
ワタクシとしては第3話の「甕(かめ)」が滑稽(こっけい)やった。
2つに割れた巨大な甕を巡り、ケチな農場主と甕修理職人の心理戦が展開されて、
これだけでも傑作。
松竹新喜劇的。

で、印象に残るのが第5話「母との対話」。
ルイジ・ピランデルロ自身の話で、人生に疲れたルイジが生まれ故郷に戻り、
立派な屋敷の生家の大広間のソファには、ずいぶん前に亡くなった母親の面影が。
ルイジは母親の面影の口から、母親自身の13歳のころの話をする。

当時13歳のルイジの母親は、革命が原因でマルタ島に亡命した父親を追い、
彼女の母親(ルイジの祖母)や兄弟と共に漁船でマルタ島に向かっていた。
その途中、軽石の島でつかの間の休憩。
この軽石の島の件(くだり)で流れるのが、
ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト作曲のオペラ「フィガロの結婚」から、
「なくしてしまった(原題:Cavatina L’ho perduta)」。



この曲が流れるとね、13歳の頃のルイジの母親をはじめとする兄弟たちが、
浜辺の軽石の砂山から、一気に走り下り、真っ青な海に舞い降りるシーンが。
これが現実社会の去りゆく夏と繋がると、ああ、もうすぐ秋やなって思うわ。

「もはや見ることのできなくなった者の眼で、ものを見るのが大事だ。
 そのほうが辛いだろうけれど、物事がずっと美しく、尊いものに思えてくる。」

ルイジの母親のこのセリフがね、去りゆく夏、心にグサリと突き刺す。

この映画の日本配給元であるフランス映画社は昨年破産してしまい、
この映画を単館で上映していたシネ・ヴィヴァン六本木は、
入居していたWAVE六本木店ごと’99年12月をもって閉館し、
跡地には六本木ヒルズのメトロハットが建っている。
そして、この映画の原作となった短編集は、
優秀なイタリア文学の日本語翻訳本に贈られる「須賀敦子翻訳賞」を‘12年に受賞。

時代は変われど、この映画はイイ。


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「カオス シチリア物語」に、
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞の「父 パードレ・パドローネ」と、
カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞の「サン★ロレンツォの夜」を納めた、
世界を沸かせたタヴィアーニ監督の3作を集めた(日本初の!)ブルーレイBOX。


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