ムラサキツユクサ(1) 連載 原発と放射能を考える (9) | 監視員Ⅱのブログ

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 kansiin1からの寄稿


浜岡原発とムラサキツユクサ(1)


可憐な花が真実を暴露した……


事故ではなく、平常運転時に原発の放出する放射性物質が周辺の生物に影響を与えていることを示した有名な話が、かって浜岡原発でありました。もうふるい話なので忘れているひとも多いかも知れません。それを紹介しましょう。



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   ムラサキツユクサ


 これは1974年に、京都大学の市川定夫氏が改良した「ムラサキツユクサ」が微量の放射線を検出する可能性を発表した(岩波「科学」741月号)ことをうけて、当時相良高校の生物教諭だった永田素之氏が行った実験で大変有名になりました。ムラサキツユクサはそのオシベにほそい青色の毛がいっぱい生えているのですが、それは一つながりの細胞の列になっており、その先端の細胞が分裂して毛は伸びていきます。そしてその中には青色を示す遺伝子とピンク色を示す遺伝子が存在し、普通は青色が優性遺伝子なのですが、それが何等かの理由で突然変異を起こすと、劣性のピンク色遺伝子の働きが出てきて細胞の色はピンクに変わります。ですからその何等かの理由が「放射線」であれば、ピンク色への変化は放射線の検知器として働く可能性があるわけです。



 永田先生の実験は大変な努力を要するものでした。浜岡原発の周辺8か所に植えられたムラサキツユクサの花を毎日早朝に回収し、それを勤務が終わってから深夜まで顕微鏡観察を続けたのです。7月から10月までの4か月間に氏が観察したオシベの毛の数は64万本に達しました。観察細胞の数にすれば、実に1760万になります。



結果は驚くべきものでした。813日から浜岡原発1号炉が試運転を開始していたのですが、825日ごろから原発の風下にあたる北東および東にある5地点で、突然変異度が統計学的に有意な精度で上昇しはじめ、それがムラサキツユクサの咲かなくなる10月まで続いたのです。

 この実験につかわれたムラサキツユクサは。放射線のような突然変異をひきおこす何等かの原因にさらされると、8日後ぐらいから影響があらわれはじめて、12.3日後に最も突然変異度が高くなります。そうすると時間的にはぴったり一致します。

 もちろん、放射線以外にも突然変異を起こす原因はあります。農薬、気象条件、自動車排気ガスなどですが、これらについても詳細な検討が行われました。しかし、結果として関係性は見いだせず。原発からの気体状の放射性物質が原因としか考えられないということになったのです。

 この実験はその後多くの協力者が増え、4年間浜岡原発で続けられて、原発との関係がより明らかにされて来ました。そして、ムラサキツユクサによる原発監視運動は全国、海外にまでひろがりました。 次回はこの実験の持つ意味についてより深く考えてみることにします。可憐な花の声に耳を傾けてください。


 こうご期待!!