2015年9月26日

 昨晩のBSフジ「プライムニュース」のテーマは沖縄の基地問題だった。 が、番組の冒頭、野党の選挙協力について議論するコーナーが急遽、設けられた。 このコーナーのもう1人のゲストは、政治評論家の伊藤惇夫氏だった。 「民主党と共産党の国民連合政府は非現実的」という見方は一致していた。

 最近の野党連携の動きに関しては、次のようにコメントした。 「野党の選挙協力がどうなろうと、来年の選挙は自民党にとって厳しい戦いになると覚悟している。それでも、今の日本に必要な長期安定政権を実現するため、何があっても勝たねばならない!その意味で言うと、安倍総理にも、自民党にも、油断や慢心は1%もない!」と。

 そう言った上で、こうも指摘した。 「昨年の衆院選挙で最大野党の民主党は小選挙区の過半数に公認候補を立てられなかった。有権者は、民主党が最初から政権奪還をあきらめていた姿勢にも厳しい視線を送っていた。選択肢のない選挙は国民にとっても不幸だ。実は来年の参院選挙に関しても、民主党は現時点で1人区の3分の2の県で公認候補者を擁立出来ていない。その点では何の迫力も覚悟も感じない!」

 ちなみに、故郷の群馬県においても民主党群馬県連による参院選挙の公認候補者擁立作業が難航している。 来年7月の選挙を睨み、来月にも開催される民主党県連の大会で候補者のお披露目をするという日程が怪しくなってきた。 現職の民主党県議も、国政選挙の経験者も二の足を踏んでいるらしい。

 民主党群馬県連には、「平和・安全法制成立後に国民の政権批判が一気に高まるだろう。その流れに乗って一気に人選を進める」みたいな目論見があったのかもしれない。 が、安倍内閣の支持率は思ったほど下がらず、民主党の支持率もほとんど上昇していない。 思惑が外れた(?)ことも、候補者決定の動きを鈍らせている気がする。
 
 加えて、群馬の民主党が抱える内部事情もある。 中央では民主党と維新の党の選挙協力の協議が始まっているものの、群馬の労組系のグループと、かつて民主党群馬県連に所属していた維新の党の現職とは「犬猿の仲」だ。 両者が選挙で連携することはあり得ないだろう。

 つまり、少し前にこのブログで予想したとおりの流れになっている。 民主党群馬県連が10月の大会までに公認候補を擁立することは出来ないと思う。 いや、恐らく年内には決められない。 来年7月の近くまでズルズルと結論を引っ張り、結局は「候補者断念」となる可能性が大きい。 

 すなわち、来年の群馬地方区の選挙は、自民党現職VS共産党候補の一騎打ちになる公算が高いということだ。 強固な保守基盤を誇る山口県や和歌山県でも同様の展開になるのではないか。

 前回の参院選挙で「山本一太の参院選史上初の得票率8割」を阻んだ「ホワイトタイガー」(角田義一元参院副議長)の神通力もさすがに衰えてきたということか。 群馬選出の自民党議員として「ホッとする気持ち」もある反面、逆に拍子抜けしている部分もある。(苦笑)

 民主党群馬県連の「決められないプロセス」は、今の民主党の現状を象徴している気がする。 申し訳ないが、民主党政権の3年間は、多くの国民にとって「落胆の連続」だった。 期待が高かっただけに、失望も大きかった。 政権交代に対する「怒りにも似た幻滅」は、全く払拭されていない。 

 過去のブログでも触れたが、群馬県を歩く中で「自民党への批判」はあっても、民主党の復活を望む声はほぼ皆無だ。 ある民主党関係者がつぶやいていた。 「一太さん、小選挙区の公募も全くうまくいっていないんですよ!」と。

 来年の参院選挙は、安倍長期安定政権を実現するための最大の関門だ。 自民党にとって絶対に負けることの出来ない戦いになる。 同様に、野党、特に最大野党の民主党にとっても、安倍政権の政策に歯止めをかけるための最大の(最後の?)チャンスのはずだ。 

 にもかかわらず、選挙まで10ヶ月となったこの時点で、選挙の趨勢を左右する1人区(32選挙区)で民主党の公認候補が決まっているのは7選挙区のみ。 本気で政権奪還を狙っているとすれば、考えられない事態だ。 自民党なら間違いなく執行部の責任問題になっている。 だいいち、選挙区(地方区)で票を稼げなかったら、比例票の上積みも出来ないではないか。

 平和・安全法制は歴史に残る大法案だった。 歴代の内閣がやろうと思ってどうしても出来なかったことを安倍内閣がやり遂げた。 日本を取り巻く安全保障環境が益々厳しさを増し、世界が大きく変わっていく状況において、日本の平和と安全、日本国民の生命を守るために、あらゆる事態を想定した切れ目のない抑止の体制を構築したことは、必ず後世の歴史の中で高く評価されると確信している。

 安倍首相が党総裁としての、総理としての2つの記者会見で経済再生に全力を注ぐことを改めて宣言した。 この中で、新たな3本の矢を打ち出した。 アベノミクスの第2ステージを成功させるためにも、来年の参院選挙で(与党が)過半数を維持することが至上命題だ。 自分も微力ながら、選挙戦の応援に全力を尽くすつもりでいる。 総理ならきっと乗り越えられるだろう。

 それでも、政策の選択肢がない選挙は、国民にとって不幸だ。 昨年の衆院選挙で応援のマイクを握りながら、つくづく思った。 「最初から勝負の決まっている(共産党しか対抗馬がいない)選挙は何と盛り上がらないものだろう」と。 「野党があまりに弱いと、政治に緊張感が生まれない」とも。  

 来年の参院選挙では、与党自民党と野党民主党の候補者が堂々と政策論争を戦わせ、決着をつけるのがいい。 有権者に選択肢を示した上で、自民党候補が勝つ! これこそ、選挙のあるべき姿だ。

 ほとんど余計なお世話だと分かっているが(笑)、最後にこれだけは言わせてもらう。 最近、テレビや新聞で「野党の連携」とか、「野党間の選挙協力の協議」みたいなニュースを見る度に(他党のことながら)こう思わずにはいられない。 「自分が同じ立場だったら、東京の協議なんかに時間は使わない。死に物狂いで各県を回り、必死の覚悟で1人でも多くの候補者を擁立するだろう。そもそも対抗馬を立てられなかったら、選挙にならないではないか!」と。 


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」