2015年8月29日:パート2

 新幹線で地元に向かっている。 自分自身に改めて言い聞かせた。 人生は辛くても逃げたらいけない。 真正面から事実と向き合う必要がある、と。

 ここからは、その1の続き。 今から3年前。 9月の終わりだったと思う。 自民党総裁室で組閣前の安倍総理に会った。 総理にこう申し上げた。 

 「総理、私を閣僚に抜擢していただけるというお気持ち、本当に感謝しています。が、ご存知のとおり、私が大臣になったら、民主党から首を狙われることは間違いないと言われています。ご迷惑をかけたくありません。もしご心配なら、党の何らかの役職とか、委員会には呼ばれない官邸の首相補佐官とか、大臣以外のポストでも一向に構いません。」

 あらゆる情報が耳に入っているはずの安倍総理は、(不思議そうな表情を浮かべながら)「あのね、今度は長期政権を作らないといけないと考えている。将来、きっといろいろなポジションで助けてもらうことになると思うけど、今回はぜひ、内閣の一員として力を貸してもらいたいんだ!」と言った。 総理のこの言葉に感激した。  

 「分かりました。ありがとうございます!どんな役が来ても、一生懸命、やらせていただきます!」 ガッチリ握手をして、総裁室を出た。 安倍総理にとっては、ほんのちっちゃな出来事のひとつに過ぎないだろう。 でも、自分はこの時の総理の言葉を、生涯、忘れない。

 この短いやり取りの中に、安倍総理の「人間力」が凝縮されていると思う。 過去20年、いろいろな政治家と付き合ってきたが、こういうひとには会ったことがない。 

 たとえば、そのひとを押し上げるために周りがどれほど必死に頑張ったとしても、いざ自分の身が危なくなると途端にお世話になった人間を切り捨て、(しかも戦ったライバル陣営とバーターしてまで)保身を図ろうとするような「人間の風上にもおけない政治家」が何と多いことか! 数々の政局を経験する中で、永田町は「結局、そういう人間ばかりだ」と思い込んでいた。

 今、安倍総理の周りに集まっている人たちは、皆、きっと総理との間で同じような経験をしている。 だからこそ、当初は勝つ見込みがないと思っていた3年前の総裁選挙でも、安倍陣営にあれだけのひとが集まったのだ。

 率直に言って、安倍総理を取り巻く人々(政治家、官僚、マスコミ関係者、経済人等)の中には、個人的に「あまり好きではない人物」も含まれている。 もちろん、「あまり好きではない」背景には、それなりの理由があり、それを裏付ける事実がある。 

 が、だからと言って、そういう人たちのことを(ごく稀にどうしても気になる事実だけを伝えることがあったとしても)安倍首相に悪く言ったり、相手の足を引っ張るようなご注進をしたりするようなことはしない。 当然だろう。 総理と頻繁に会えるわけではないが、そうでなくても超多忙な総理、命がけで日本再生に取り組んでいる国家のリーダーを「少しでも不愉快にさせるようなこと」は言いたくないもの。

 あらゆる情報が集まる総理官邸だ。 総理は全てを分かった上で、様々なひとの力を活用している。 ハートの温かい、信義を大事にするひとではあるが、単なる「義理・人情」で人事をやったりしない。 能力主義とのバランスがうまく取れている。 総理が側に置くのは、有能な人間に決まっている。

 総理を支えたいと思う人たちが、それぞれのやり方で政権に貢献すればいい。 自分はそう考えている。 要は安倍政権のプラスになればいいのだ。 

 過去の政権の例を見ると、「全ての手柄を自分のものにしよう」とか、「何でも自分が仕切っているように見せよう」とか、そういう思惑で他人のやろうとしていることまでいちいち(ずる賢く)邪魔するような「側近」が出現することもあった。 

 この政権にそういうひとはいないと信じているが、「手柄争い」ほど醜い構図はない。 個人的な都合で他人を足を引っ張るようなことばかりしていたら、いつか必ず「手痛いしっぺ返し」を食うことになるだろう。

 常に目標としているのは「イノベーティブな政治家」だ。 大臣を終わった後、他の議員たちとは違う手法で総理を応援出来る枠組みを一生懸命、考えた。 その結果、辿り着いたのが「自民党総裁ネット戦略アドバイザー」だった。 ポスト自体は、衆院の萩生田総裁補佐と同じ位置付けになる。 が、同じ総裁補佐がもう一人増えても、あまり意味がない。 ネット戦略に特化するのがいいと思った。

 このポストを創設してもらった際、安倍総理に「予算も部屋も車も何も要りません。知恵を使って必ずいい仕事をしてみせます!」と見栄を切った。 が、ボランティアの友人たち(スゴイ面々ではあるが)のサポートだけで成果を出すのは、やっぱり限界があると悟った。(ふう) 企画や体制を練り直して、もう一度、総理に相談に行くつもりだ。

 上述したように、第二次安倍政権が発足する直前、自民党総裁室で安倍総理がニッコリしながら言った。 「長期政権になる。これからいろいろなポストで助けてもらう機会があるよ!」と。 閣僚を退任した後、小野寺五典衆院議員(前防衛大臣)と田村憲久衆院議員(前厚労大臣)は、自民党の政調会長代理に就任し、稲田政調会長を支えている。 実力主義の素晴らしい人事だと思った。

 が、しかし、今の政治状況を考えると、参院議員である山本一太が「外に発信出来る公式なポスト」を得ることは難しいだろう。 それなら、努力して新しい手法を編み出さねばならない。 せっかく総理が新設してくれた「ネット戦略アドバイザー」という役職をもっと輝かせねばならない。 それこそ、イノベーション政治家の真髄というものだ。

 あ、間もなく高崎のアナウンス。

追伸:「自民党選挙最強5人衆」(安倍晋三総理、石破茂氏、河野太郎氏、小泉進次郎氏、小渕優子氏)のように、どんな逆風でも生き残れる自民党議員は、実はそんなに多くない。 爆弾低気圧に見舞われたら、衆参の顔ぶれは大きく変わる。 が、山本一太は(必要なら)何があっても生き残る! 生き残って、安倍総理を最後まで応援する! 


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」