<TOKIKO NOW> 「いい旅が続いています。」 | 加藤登紀子オフィシャルブログ「Tokiko Kiss」Powered by Ameba

<TOKIKO NOW> 「いい旅が続いています。」

「百万本のバラ コンサート」が終わって一息というところなんですけど、6月18日からの北海道ツアーと久しぶりの東北、塩竈でのコンサートが続きました。
いつものメンバーに戻り、ちょっと楽しもう、と思っていましたが、出発の日に、バイオリンの武川雅寛さんが、大動脈剥離という大病に倒れ、一緒に行けなくなりました。幸い手術が成功して、順調に回復に向かって頑張っているそうで、本当に良かった!1日も早い回復を心から願っています。

確かに体のことは気をつけなければいけない年齢になっているんですね。
幸い今年の私は何の心配もなく、元気一杯、気力十分といったところですが、もちろん無理のないように気をつけます。

今年の函館、苫小牧は、1995年のハイジャック事件からちょうど20年の日に近くて、しみじみ懐かしく思い出しながらのコンサートでした。
あの年もそうでしたが、今年もスカッと気持ちよく青空の広がった日。函館から苫小牧への道のりに北海道の素晴らしさを吸い込み、素敵な旅になりました。

18日の函館の翌日は、登別で、アイヌユーカラを書き残した知里幸恵さんの「銀のしずく記念館」を訪ね、たった19歳の若さで「アイヌ神謡集」を編纂し、発刊を待たずに亡くなった天才少女の若き日々に触れ、森の中を歩きながらふと、ジプシーの詩人、パプーシャのことを思い出していました。

アイヌ人であることで大きな迫害を受けた時代、アイヌの暮らしの姿や文字を持たない口伝の文化に誇りを持ち、金田一京助氏の協力を得て、それを残すことに命をかけた知里幸恵。一方同じように文字を持たないジプシーの歌を、ロシア人の詩人に勧められて文字に残したことで、逆にジプシーの世界から非難され、精神を病むほどに苦しみ生きたパプーシャ。(彼女の生涯は「パプーシャの黒い瞳」という映画に描かれている。)

両方ともそんなに昔のことじゃなく、つい100年ほど前のこと。
自然の偉大な力を歌い、その輝きを魂の火とした共通の世界を、とても貴重なものとして受け止めました。

翌日、苫小牧でコンサートの後で見た夕陽の神々しさ、小樽の海でクルーズした海の色の信じられない美しさ、まさに天からの賜り物ですね。





26日、27日は久しぶりの東北。
26日には東松島で津波の被害の大きかった宮戸島の宮戸小学校と、野蒜地区の野蒜小学校を訪ねました。二つの学校が合併して宮野森小学校に生まれ変わる来年までに、校歌を作ることになっているので子供達に会いに行ったのです。

まだまだ津波被害建物も残っており、堤防を作る工事や、高台に町を作る土木工事で殺伐としているけれど、子供たちは元気一杯、歌う声の素晴らしさに感動でした。C.W.ニコルさんの作られたツリーハウスで、これから建設される森の学校のイメージを膨らませました。
いい歌作らなくちゃね。



東松島では地場で取れたシャコ、アワビ、コチの刺身に舌鼓。宮戸島の月浜の民宿に泊まりました。
去年はたくさんの海水浴の人たちで賑わったそうですが、今年は堤防の工事で無理のようで、ちょっと寂しい海の風にしばらく吹かれていました。
震災から4年、新しい生活がもうすぐ始まる。もどかしいような今が、一番大変な時期かもしれませんね。



さて、今週は少しゆっくり時間が取れそうなので、映画でも観ようかな、と思っています。月曜日はラジオ関西「加藤登紀子の地球に乾杯」の生放送、聞いてくださいね。

登紀子