人気の情報がデマかどうかを見抜くための6つの簡単な方法
Six Easy Ways to Tell If That Viral Story Is a Hoax

9月18日【The Conversation】https://theconversation.com/six-easy-ways-to-tell-if-that-viral-story-is-a-hoax-47673 より翻訳


コンサバティブポスト紙に「そしてとうとう始まった・・・ドイツにいる難民が警察と乱闘した際にISISの旗が!」というタイトルが高々と出されていました。

そして「新しいリーク写真からすべてが明らかになった」と続いています。問題の画像は、シリア難民のグループが、ISISの旗を掲げてドイツの警察官を攻撃しているとされているものです。


(画像  http://www.jdl-uk.org/2012/05/muslim-riots-in-bonn-germany-100.html より)


ヨーロッパでの難民の受入に抵抗を感じる人間にとって、この情報は最高の情報でした。画像は瞬時にしてソーシャルメディア中に拡散され、イギリスのEDLPegida UKなどの極右団体によってさらに広められました。この記事を書いている時点では、そのページ上では30万回以上シェアされたとされています。

(訳注:上記イギリス極右団体は、自らのグループのシェア数を水増しするために、動物愛護団体を装うなど様々な姑息な手段を使ったり、虚偽の記事をでっちあげていたことが過去に暴露されています)


ただ問題なのは、この写真が撮影されたのは3年前で、難民危機とは一切何の関係もないということです。実際のところは、この写真は2012年にドイツのボン市で行われた極右団体Pro NRW partyのメンバーとそれに対抗するイスラム系のデモ参加者の間での衝突の様子のようです。





ViceインディペンデントMirro紙多数のツイッター利用者など複数のニュース発信源がこれがデマであるということを強調しようとしています。しかしこのデジタル時代においては情報拡散の速度はこれまで以上のものであり、嘘やデマにおいても同様です。

新聞記事の前言撤回や訂正などとまったく同様に、オンライン上での反証情報がオリジナルの偽情報よりも広く拡散されることはあまりありません。以前に私が主張したとおり、今日のジャーナリストにとってデジタルな照合スキルは必須ですが、一部の教育機関ではそれに必要な研修も提供し始めています。

しかし一般人の中でも、ネット上のコンテンツに対してより高度な対策をとり始めている人もいます。今やニュースを読むだけでは十分ではなく、そのニュースができる背後のプロセスについても理解したいと考えるようになっているためです。

幸いにも、専門的知識や高価なソフトウェアなどがなくても、比較的能率よく検証することのできる方法があります。次にデジタルメディアの情報を検証することのできる、無料で簡単に使えるツールをご紹介します。


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逆イメージ検索

逆イメージ検索はもっともシンプルな検証ツールのひとつで、この「リークされた」ISIS難民の画像が偽物であったということが判明したのもこの方法でした。

Googleの画像検索TinEyeはもっともよく使われているサービスですが、そのどちらででもこの画像を含む2012年半ばに公開されたページを見つけることができました。

次のスクリーンショットでご確認いただける通り、「難民がISIS」という情報がデマであったということが、わずか1秒以下で判明します。

上記画像の記事がRedditに投稿された時、懐疑心の強いユーザーらは素早くGoogleで確認し、その後間もなくユーザーの一人が「Googleの画像検索は、この画像は2012年のものだと言っているぞ」と返答しています。






(訳注:Googleで画像の逆検索を行うには、問題の画像をGooglleの検索項目入力欄にドラッグすると逆検索できます)



YouTubeデータビュアー(DataViewer)

YouTube上で最新の人気動画を見ている時は、「不適切に編集された動画(scrapes)」ではないかと確認することが重要になります。つまりこれはYouTubeからダウンロードされた古い動画を、誰かが再投稿し、さらに悪意からこの動画がオリジナルのものであると主張したり、あるいは新しい出来事を映し出したものだと言い張ったりされている動画を指します。

国際アムネスティには、YouTube DataViewerというシンプルでありながらも非常に役に立つツールがあります。このツールに動画のURLを入力すると、動画のアップロード時間やすべての関連サムネイル画像を抽出してくれるのです。この情報はまだYouTube上からアクセスすることはできませんが、検証のための双方向検索を可能にしてくれます。

同じ動画がYouTube上で複数のバージョンとして投稿されている場合は、日付から一番古いアップロード動画を特定でき、それがオリジナルの動画である可能性は高いと言うことができるでしょう。

サムネイル画像は逆画像検索に使い、この動画が含まれているウェブ上のページを見つけることができます。これによりより古いバージョンの動画やその動画の利用目的を特定することもできます。


Jeffrey’s Exif Viewer

デジタルカメラやスマホで撮影された写真や動画、オーディオなどには、デジタルカメラ用のファイルフォーマット(EXIF、エグジフ)と呼ばれる情報が含まれています。

これは問題のメディア素材が作成された際の使用されたカメラの製造者や日付、時間、位置などの重要なメタデータ(訳注:データに関する属性情報のデータ)で、メディアの製作者によるコンテンツの出典に関して疑わしいと思う場合、この情報は非常に便利です。

そういった場合には、 Jeffrey’s Exif ViewerのようなEXIFリーダーに画像をアップロードしたり、あるいはURLを入力することで、画像のメタデータを確認することが可能になります。

下のEXIFデータは、2014年8月にイギリスのプールで起こったバスの衝突事故の写真のEXIFデータです。これはとても分かりやすい情報で、たとえば私がこの写真をイギリスのスワネージの町で先週に撮影したと主張しても、反証することは非常に簡単です。

Facebookやインスタグラム、ツイッターにコンテンツをアップロードすると、EXIFデータが除去されますので意味がありませんが、Flickr やWhatsAppなどのプラットフォーム上でシェアされたメディアコンテンツには残されています





FotoForensics

FotoForensicsとは、エラーレベル分析 (ELA) を用いて、画像が加工、あるいは「フォトショップされた」可能性がある部分を特定することのできるツールです。

ここに画像をアップロード、あるいは怪しい画像のURLを入力すると、画質の示唆により修正された可能性のある箇所をハイライト表示してくれます。

またシェア機能も複数存在しており、FotoForensicsによる分析ページへの直接リンクも貼り付けることができ、誤った情報を訂正する情報拡散に便利です。

(訳注:こちらのサイトでは、実際にこのサービスを利用して画像の改ざんを指摘している例が日本語でご覧いただけます→リンク



WolframAlpha

WolframAlphaは、「コンピューター上の知識エンジン」で、簡単に言えば特定の日時・場所における気象を確認することができるものです。例えば、「2014年7月16日午後2時のロンドン」などといった条件からそこの気象を検索できるということです。

もっと具体的に言えば、あなたのタイムライン上に恐ろしい雪の嵐の写真がシェアされた場合に、WolframAlphaがその写真が撮られたとされる時間帯には27度で快晴であったと報告している場合、何かが怪しいと警戒できるというわけです。







オンラインの地図機能

怪しい写真や動画の撮影場所を特定することは、検証作業の中でも非常に重要なプロセスです。GoogleのストリートビューやGoogle Earth(過去の衛星画像の情報源となる)やWikimapia(ウィキマピア、Googleマップのクラウドソース版で、追加情報が取り上げられている)などは撮影場所の特定作業などを実行する際に、非常に便利なツールとなります。


画像内で
・比較の基準ポイントとなるような箇所があるか、
・独特のランドマークと合致するか、
・地形が同じかどうか
を特定する必要があります。

投稿者が主張するような場所で、その写真や動画などのコンテンツが本当に撮影されたかどうかを検証するために、上記の3つの基準点がよく使われています。

特にGoogle Earthは、市民によるジャーナリズムを調査するサイトであるBellingcatのエリオット・ヒギンズ氏(別名Brown Moses)によって素晴らしい使い道がされています。






(翻訳終了)




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電磁波で12月に6日間、地球が闇に包まれるとNASAは言ってないそうです



【コメント】

よくこういった偽情報を検証しないで投稿している海外のサイトも一部ありますが、おかしいと思ったら画像ばかりでなく、文章などからもいろいろな方法で十分に検証もできますのでできる範囲でも検証したいものです。

最初は面倒でも、何度か検証しているとどこのサイトでデマが多いかという傾向も掴めます。

画像を検索しなくても、たとえば引用元のリンクを遡れるところまで遡っていって、オリジナルの情報がどこから来ているのかということを確認するだけでも、たとえば数年前に出されたニュースが最新のニュースのように扱われているケースも見抜くことができますし、どういった情報源からの情報かを確認できます。

情報提供者の方も、膨大な情報の中から選りすぐりのものを、限られた時間の中で少しでも早く届けたい!という情熱で情報を拡散されている場合も多いかとは思いますが、せめて簡単な検証くらいはできたらした方が後々の混乱も避けられそうなものですね。

あるいは情報提供者にばかり完全を期待するのではなく、情報を受け取った際にできるだけ自分で検証してみるというのも、知識が深まっておもしろいと思います。

欧州のISIS難民危機騒動については、ロシアがシリアでISISと呼ばれる団体に致命的な攻撃を加え、国外に脱出しようとしても国境で止められてしまうため、ひげを剃り落として女装をして脱出する者も続出しているのだとか。(剃り落とされた髭の写真)

欧州にISISの工作員が難民として紛れ込んでいても、ISISの本部も崩壊し、中心的な勢力も壊滅状態でたいしたこともできないのでは、と考えている人もいますが、偽旗作戦には気をつけたいところです。

デマ情報とは関係ないですが、Googleのストリートビューは旅行先の宿泊先周辺の様子(お店などがあるかなど)や建物の外観なども出発前に確認できて便利です。