1月上旬特選映画【1】★映画のMIKATA「ブリッジ・オブ・スパイ」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。





明けましておめでとうございます、本年も映画ブログ、宜しくご愛読ください。今年初めての1月上旬の特選映画をアップロードします。


まず初めに昨年にひき続いて、DVD特選映画「障害者と映画」のテーマで見た作品6本を取り上げて、簡単な案内とコメントを載せました。詳細は後日に回します。


ロケットに見立てたドラム缶の中に閉じこもるアスペルガー症候群のシモン、シモンを家族の義務のように世話する兄のサム、いやいやながら3人で同居している兄の恋人フリーダ達のドタバタコメディー「シンプル・シモン」 (2010年アンドレアス・エーマン監督)。奇能異能の頭脳と感覚、偏執的特技を持つこのアスペルガーを主人公とする作品は、例えば古くは「レインマン」、新しくは「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」など有名で、その他たくさんあります、恐らく映画にしやすいのだろうーね。


車椅子生活を送る障害者の息子ジュリアンと元トライアスロン選手の父親ポールが、泳いで(スイム3.8km)、自転車に乗って(バイク180km)、最後に走る(ラン42km)3種で、トータル226kmを二人三脚で挑むスポーツ系映画「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-」 (2013年ニルス・タヴェルニエ監督)。パラリンピックに是非とも≪トライスロン≫の種目を入れ

て、メダルと記録を競うのではなくて、自由な参加と完走を讃える競技にしたいですーね。それでこそオリンピック精神ですーよ。



③第二次大戦から無事故郷に帰還した3人の従軍兵士の社会復帰の姿を描いた人間模様「我等の生

涯の最良の年」 (1946年ウィリアム・ワイラー監督) 。その一人アルは銀行の副頭取で融資担当の要職に迎えられる。結婚2か月後に出兵したばかりのフレッドの妻は、彼の実家を家出してナイトクラブで働いていた。しかも、元のドラッグストアーに復職したが、安い給与に妻から愛想づかしされていた。若い水兵ホーマーは両腕を失くし、鉤のついた鉄の義手をはめて実家に帰った。戦争負傷兵の自分にコンプレックスを持ち、恋人との結婚に二の足を踏んでいた。アメリカの良心を表現する様な障害者&戦争映画です。この背景が「ベトナム戦争」であったり、「中東戦争」を舞台とする映画であったり…名作が次々に制作されています。


④20歳の精薄児チョウォンは、母親キョンスクの励ましと訓練によって「走る」運動機能だけはずば抜けていた。母は走る才能を伸ばしたいと願い、フルマラソンに参加するためにオリンピック金メダリストにコーチを依頼する、スポーツ系映画 「マラソン」 (2005年チョン・ユンチョル監督)。やはり韓国映画らしいストーリですーね。


⑤雀荘でアルバイトしている大学生の恒夫と、いつも老婆と共に乳母車で外出する脚の不自由な少女ジョゼとので会いと別れの、奇妙な同棲映画「ジョゼと虎と魚たち」 (2003年犬童一心監督)です 。サガンの作中人物から「ジョゼ」かー、流石に田辺聖子の短編小説が原作だな…。妻夫木聡と池脇千鶴のセックスシーンに、「障害者」という違和感がない…、流石に犬童一心監督だな。以前に一度見たが、何度見ても面白い傑作ですーね。



⑥劇団「東京セレソンデラックス」の演出家で脚本・俳優としても活躍する宅間孝行の原作。知的障害のグループホームを舞台に、末期がんに侵された漫画家の父・愛情いっぽん(竹中直人)と知的障害の娘・マコ(貫地谷しほり)の、親子愛故の哀しい親子殺人となったヒューマン映画「くちづけ」 (2013年堤幸彦監督) 。映画上演以前から観客を泣かせた舞台をさらに映画化した作品です。公開時に映画館で一度見ていたが改めてDVDでももう一度見たが、やはり名作ですーね。高齢化社会の現在は、老老介護にくたびれた老夫婦の殺人が起こっている…。

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今回4本を映画館で観賞、選んだ特選映画1本は、ブリッジ・オブ・スパイ』でした。米ソの冷戦のスパイアクション映画かー?、とはまた古色蒼然としているな!…と初めは思いましたが、主役のトム・ハンクス演ずる弁護士ドノヴァンのとことん「人権」を尊重する思想と姿勢を表現したかったのか…な。戦時下の若いフランス女性の歪んだ淡い恋心を描いた戦争映画『フランス組曲』も捨てがたい魅力がありましたーね。邦画は不作でした。いつまでも劇画を原作に脚本を作り、アイドルを主役に安易な映画制作をしている限りは、邦画の名作傑作は永遠に生まれないだろうーね!


1

1本目は、高校2年生の高宮菜穂(土屋太鳳)の元に10年後の自分から手紙が届いた。そこには、10年後の自分が後悔している事柄が時間軸に沿って書かれていた。転校生の成瀬翔(山崎賢人)が将来、自転車でトラックに飛び込んで死んでしまうことが、悔やんでも悔やみきれない一番の後悔として書かれ

ていた。今の自分が大切にする翔を助けられないかと行動する…青春映画『orange-オレンジ-』(橋本光二郎監督)でした。


同じ手紙は同級生の、今の夫になっている須和弘人にも届いていた。『別冊マーガレット』(集英社)、『月刊アクション』(双葉社)に連載されていた高野苺の漫画が原作です。でもねー、アンジェラ・アキの 『手紙~拝啓 十五の君へ~』が現在から未来の自分宛てにて手紙を書くのと、発想としては単に逆なだけだねー。学校の校庭に埋める「タイムカプセル」だよ。そんな漫画を貪って読んでいる若者は、本当に橋本治の言うように「バカになったか、日本人」と思ってしまいます…。18歳選挙権も、自民圧勝から憲法改正を招く一歩になるのかな…。


2

2本目は、実在のチェスの天才プレイヤー、ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)が1972年、アイスランドで行われたチェス世界選手権で、ロシアのチャンピオン、ボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)と対戦する、伝説的な対局を映画化したチェス映画『完全なるチェックメイト』(エドワード・ズウィック監督)でした。


これも米ソ冷戦時代のチェス盤上での米ソ戦争ですが、今、アメリカのオバマとソ連のプーチンとの関係が悪化しているのだろうかな?以前にこのボビー・フィッシャーを主人公とした映画を見た気がするんだけれども、旧い「ボビー・フィッシャーを探して」(1993年)という作品なのかーな?チェスの好きな人は、この作品は面白いかもしれませんね。


ボビー・フィッシャーも対戦相手のボリス・スパスキーも、幻聴幻覚の妄想は狂気寸前、異常な精神状態ですーね。だから映画になるのでしょうーね。将棋ではここまでのここまでの緊張はないですね、やはり「ゲーム」の論理性が違うのかな…?


3

3本目は、ニューヨークの若いドラッグ中毒のホームレス二人、ハーリー(アリエル・ホームズ)と恋人イリヤ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)の若者を描い
た不条理映画『神様なんかくそくらえ(原題HEAVEN KNOWS WHAT)』(ジョシュア・サフディベニー・サフディ監督)でした。HEAVEN KNOWS WHATという英語の題名に「神様なんかー」という邦訳は、なかなかいいえてピッタリだなーと感心しました。私は敢えて「不条理映画」としましたが、私には家族と日常を捨てたジャンキーの世界はよく理解できません。強いて言えば、対象を持たないアナーキな怒り?だがそれさえも、その漠然とした怒りがファシズムへと流れるのかなーとなお更に恐ろしいです・・・。ただ、ホーム;レスの何パーセントかは精神障害者とも言われています…。彼等はその選択しかなく、抜け出す力もないのですーね。「麻薬」は犯罪として取り締まるだけではなくて、既に医療と社会保障支援の問題なのです。病んだ社会には、刑務所ではなく医療が必要なんですーね!


4

4本目は、東西冷戦下の1960年を舞台に、国家反とスパイ罪でアメリカに逮捕されているソ連のアベル(マーク・ライランス)と、ソ連領空で撃墜されたアメリカ偵察機U-2のパイロット・パワーズ(オースティン・ストウェル)との間の捕虜交換を、東ドイツで行う敏腕弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)の、共産国を相手に駆け引きする舞台裏を描いたスパイ&弁護士映画『ブリッジ・オブ・スパイ』(スティーヴン・スピバーグ監督)でした。


監督は、何故今頃こんな米ソ冷戦下の緊張した関係を描かなくてはならないのかなーと少し疑問に感じました。寧ろ、ハリウッドはアメリカと日本、中国或は北朝鮮と東南アジアの緊迫した国際関係を映画化すべきだと思うのですがーね。


東西ドイツの間に高い壁が築かれるシーンは、その後のベルリンの壁が壊される時代を誰も想像しなかっただろうなーと、時代の変遷をシミジミ感じました。国家間の利害の対立が「戦争」であっが、エネルギーと資源の争奪、民族と宗教の衝突に「戦争」は変貌したのか…な?いやや、EUさえ統合を崩壊させそうな現状です。今、宗教とイデオロギーと経済体制が複雑に絡んで、一触即発の新たな国境と壁と「戦争」が始まっています。


ひょっとすると、2011年に童話から閃いて映画化した監督のあの『戦火の馬』の流れから言えば、スピルバーグのとらえた人間と戦争の命を廻る「影絵」なのかもしれませんーね。

5

5本目は、ナチス・ドイツ占領下のフランスの田舎村

を舞台に、元作曲家だったドイツ人将校・ブルーノ・フォン・ファルク中尉(マティアス・スーナールツ)と、自宅を彼の宿泊先として供与したフランス人家庭で、夫の帰りを待つ音楽好きの若い人妻・リュシル・アンジェリエ(ミシェル・ウィリアムズ)との間の、1940年代の緊迫感と重圧のある戦時下の恋心を描いた戦争映画『フランス組曲』(ソウル・ディブ監督)でし
た。


1942年にアウシュビッツで命を落とした作家、イレーヌ・ネミロフスキーの未完の遺作を娘が持ってい

た体験的な小説が原作となっているようです。リシュルは村からパリでに逃げて、自由解放軍で働き、命を大切に…と淡い恋心を抱き、彼女を最後まで擁護したドイツ人将校は後に戦死したようですーね。バッ

ハの<フランス組曲>をテーマソングに使っているのかな…チョットよくわかりませんでした。


尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…




 

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