海老名市ツタヤ図書館がネット上の画像・文章をパクり著作権侵害/#公設ツタヤ問題 | なか2656のブログ

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ある会社の社員が、法律などをできるだけわかりやすく書いたブログです

海老名市より指定管理者としてカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定され、ツタヤが運営している海老名市立中央ツタヤ図書館が、またしてもとんでもないことをしていると、12月26日にネットで多くの人々が指摘しており、炎上状態となっています。


(海老名市ツタヤ図書館ウェブサイト)

つまり、海老名市立中央図書館のウェブサイトの「最新のイベント」欄に12月下旬からアップされた2016年の1月3日から10日まで開催されるというイベント「新春 お正月むかし遊び」の項目に掲示された正月風の画像がどうもおかしいというものです。


(海老名市ツタヤ図書館の「最新のイベント」の画像)

この画像の掲示されている「新春 お正月むかし遊び」というイベントを告知する部分を展開すると、大きなページとなり、この正月風の写真画像がモニターいっぱいに大きく展開されます。

すると、画面右に、「イメージです」という白い文字があるのですが、その背後には薄い白い文字がみえます。



また、画面中央よりやや下には、これも半透明の薄い白い文字で、文字列が書かれています。



これはつまり、ネット上でよくある、デザイン会社などが著作権侵害防止用に画像にいれている「すかし」(ウォーターマーク)を、CCCが「イメージです」などの文字列で塗りつぶしたうえで、著作権者の許諾を得ず、勝手に海老名市ツタヤ図書館のウェブサイトにアップしているものと思われます。(画面中央の文字列は塗りつぶし忘れたのだと思われます。)

この点、あるネットの住人の方が、迅速に、このCCCがパクッた、パクリ元の画像を割り出しておられました。


(有限会社メディア・ワークス様のサイトより)

この画像をパクられてしまった会社は、ノベルティグッズや販促品などを扱う京都の会社のようです。

この会社のサイトで、この画像を大きく拡大して閲覧することができますが、海老名市ツタヤ図書館のサイトの画像とまったく同じものとしか思えません。

このようにみてみると、CCCは、明らかに著作権法上の複製権(21条)、翻案権(27条)、公衆送信権(23条)、同一性保持権(20条)等の侵害をしているように思われます。これらは当然、罰則(119条等)の対象です。むろん、民事上の責任も発生します。

なお、本件では図書館職員が画像のウォーターマークを「イメージ」という文字で塗りつぶして、著作権の出所明示義務(48条)に違反しています。この違反は法122条の刑事罰が科され、かつこの罪は非親告罪であり、被害者の告訴がなくても検察が立件できる可能性のある罪です。

CCCの従業員が、組織の人間として何故こんなことをしてしまったのか疑問です。ひょっとして、CCCは、著作権の例外規定である、図書館での利用者にコピー等を許す条文(31条)を誤解してるのでしょうか?

以前から疑問なのですが、CCCには法務部やコンプライアンス部などは存在しないのでしょうか?それともイノベーター・改革派のわが会社は、法律やモラルなぞ守る必要はないと本気で考えているのでしょうか?

本年10月の海老名市ツタヤ図書館のオープンにあたり、高橋CCC館長は、「武雄市ツタヤ図書館のときは僕たちはド素人でした」と発言したそうですが、今もなお、現在進行形でCCCは図書館の運営に関してド素人集団なのだなと思います。

なお、海老名市の市当局は、指定管理者たるCCCに対し、報告を求め、指導をする等、監督責任を負う(地方自治法244条の2第10項、11項、海老名市立図書館条例13条、14条)のですから、他人事ではなく当事者として、海老名市ツタヤ図書館の今回の著作権侵害の問題解決と再発防止にあたる責任があります。

■追記1
この海老名市ツタヤ図書館サイトの「新春 お正月むかし遊び」イベントの告知ですが、つぎのサイトによると、なんと画像だけでなく、告知の宣伝文章も、2006年のAllAboutの記事ほぼパクリであることが指摘されています。

・ツタヤ図書館こと海老名市立図書館の新年イベント告知がほぼパクリの件|畳之下新聞


海老名市ツタヤ図書館の説明文
『お正月の遊びといえば、羽根つきや凧あげなどの伝統的な遊びを思い浮かべますが、実際に遊んだことのある方は少ないかもしれません。
しかしそれではもったいない!世代を超えて楽しめ、親から子へ、祖父母から孫へ、伝承する喜びは格別!
遊びを通して知恵や発育を促すものばかりですし、お子さんにとっても素敵な思い出になるでしょう。』

AllAbout「子供に伝えたい~日本のお正月の遊び10選」の文章
『お正月の遊びといえば、羽根つきや凧あげなどの伝統的な遊びを思い浮かべますが、実際に遊んだことのある方は少ないかもしれません。
しかしそれではもったいない!世代を超えて楽しめ、親から子へ、祖父母から孫へ、伝承する喜びは格別ですよ。
遊びを通して知恵や発育を促すものばかりですし、お子さんにとっても素敵な思い出になるでしょう。』
・AllAbout「子供に伝えたい~日本のお正月の遊び10選」より

画像だけでなく文章までもほぼ丸々コピペで済ましてしまうとは、STAP細胞の理研の小保方なみで呆れてしまいます。

CCCの人間はどこまで社会人として意識が低いのでしょうか。プロ意識とかないのでしょうか。高校生・大学生が課題・レポートや宿題を嫌々やっているくらいの感覚なのでしょうか。

そもそも図書館で働くCCCの役職員が、文章や画像などへの敬意という意味での知的財産権に関心がないということは深刻な問題であると思われます。

■追記2
海老名市ツタヤ図書館が、この問題となったイベント告知を12月27日に削除するとともに、お詫びをウェブサイトに掲載しました。

・中央図書館からのイベント掲載に関するお詫び


また、朝日新聞などが同日、ネット版でこの問題を取り上げました。

・公式HPで無断転用 神奈川・海老名の「ツタヤ図書館」|朝日新聞


・サイトで画像を著作権侵害か? CCC運営・海老名市立図書館が炎上中|ガジェット通信

・海老名市立図書館、画像・文面の無断使用で謝罪|ねとらぼ


■追記3
海老名市議の山口良樹氏が、氏の公式サイトでこの海老名市ツタヤ図書館の著作権侵害事件を厳しく批判されています。

・議会リポート15 CCC(ツタヤ)運営の海老名市立図書館の指定管理の解約要求について|海老名市議 山口良樹 公式サイト

・議会リポート16 海老名市立図書館の著作権侵害事件について緊急速報~市の対応に唖然 ! |海老名市議 山口良樹 公式サイト

この議会リポート16には、この事件を受けて、海老名市教育委員会が各市議会議員あてに作成した説明ペーパーが掲載されています。

・海老名市立図書館ホームページ上における著作物の無断転載についてのご説明(PDF)|海老名市教育委員会教育部

この説明ペーパーをみると、事実の経緯、原因分析、今後の再発防止策、などが示されており、CCCが作成しツタヤ図書館のサイトに掲載した、「ごめんなさい」としか書かれていないお詫びの文章に比べて不祥事におけるトラブルシューティングとして、よほどまともです。

こういったところを見るにつけ、やはりCCCは著作権管理どころか、まともな会社運営すらできない会社なのだなと再確認する思いです。

■関連するブログ記事
・海老名市立中央ツタヤ図書館に行ってみた/#公設ツタヤ問題

・Tポイントのツタヤ(CCC)がプライバシーマークを返上/個人情報保護法の安全管理措置

・カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の行動規範とコンプライアンス #公設ツタヤ問題


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