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『日本の亡国を防ぐために①』三橋貴明 AJER2015.9.15(5)
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ヒカリランド「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義
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本日から夕刊フジで短期集中連載「断末魔の中韓経済」が始まります。
本日は23時15分からテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」に出演します。http://www.tv-asahi.co.jp/tvtackle/
さて、ヨーロッパでは「激震」が続いていますが、ポーランドの総選挙で反・難民受入の「法と正義」が圧勝しました。
『ポーランド総選挙、EU懐疑派の保守野党が圧勝
http://www.afpbb.com/articles/-/3064130
25日に投開票されたポーランド総選挙は、反難民政策や福祉充実を公約に掲げたヤロスワフ・カチンスキ(Jaroslaw Kaczynski)元首相率いる欧州連合(EU)懐疑派の保守派野党「法と正義(PiS)」が単独過半数を獲得し、8年続いた中道派政権に終止符が打たれる見込みとなった。
公共放送ポーランド・テレビ(TVP)の出口調査結果によれば、定数460の下院でPiSは242議席を獲得し、133議席獲得のリベラル派与党「市民プラットフォーム(PO)」に圧勝。カチンスキ元首相は勝利を宣言し、PO党首のエバ・コパチ(Ewa Kopacz)首相は敗北を認めた。
選挙戦では、経済政策に加え、第2次世界大戦以後で最悪の規模に発展している移民危機が焦点となった。PiSは家族向け福祉の充実や、銀行や外資系大型スーパーマーケットへの課税、中小企業向けの減税を約束。またカチンスキ元首相は、難民たちが「ギリシャの島々にコレラを、ウィーン(Vienna)に赤痢を、そしてさまざまな種類の寄生虫を持ち込んでいる」などと述べて難民に対する恐怖をあおり、批判を集めていた。』
法と正義の公約は、「反・難民受入」「中小企業向け減税」「家族向け福祉充実」「銀行・外資系大型スーパーマーケットへの課税」と、見事なまでの反・グローバリズム政策ばかりでございます。
カナダの自由党にせよ、ポーランドの法と正義にせよ、「真っ当な国民のための政策」を訴えた政党が、次々に政権交代を実現する時代が訪れたのです。
が、問題は政権交代できるか否かではなく、
「政権交代したカナダ自由党やポーランド法と正義が、国民経済のための政策を本当に実施できるのか?」
になります。
フランスのオランド大統領も、反グローバリズムを掲げて大統領に就任し、今やユーロ・グローバリズムの盟主たるメルケル政権の「副首相(by エマニュエル・トッド)」扱いされてしまっています。
あるいは、
「私は瑞穂の国には、瑞穂の国にふさわしい資本主義があるだろうと思っています。自由な競争と開かれた経済を重視しつつ、しかし、ウォール街から世間を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国には瑞穂の国にふさわしい市場主義の形があります。」
と、政権交代「前」は書いていた安倍総理が、今や世界中のどの政治家よりも素晴らしいリーダーシップを発揮し、全力で「ウォール街発の強欲を原動力とした資本主義」の政策を推進。日本国の「国の形」を破壊していっているのは、ご存じの通りです。
グローバリズムは、国民を二分化します。
すなわち、国民経済で生きる国民と、グローバル経済で生きるグローバリストの二つに、国民を分断するのです。国民経済で生きる国民とは、
「国境を意識し、日本語を話し、日本国内で所得を稼ぎ、日本国という共同体に属して生きていく国民が豊かになる経済」
に属している人々になります。
そして、国民経済の対語になるグローバリズムは、
「国境を意識せず、グローバル言語(英語)を話し、利益を最も稼ぎやすい国で所得もしくは資本利益を稼ぎ、共同体に属さず生きていくグローバリストを富ます経済」
でございます。
グローバリストは、何しろ国境にこだわっていませんので、「利益最大化」が可能な国や地域に好き勝手に資本を移していきます。さらに、投資をした際には、投資利益率の最大化を求め、その国の国民の豊かさや福祉、幸福を無視し、政府に制度を変えさせ(規制緩和)、自己利益を大きくしようとするわけです。すなわち、構造改革です。
グローバリストが自己利益を最大化する最も手っ取り早い手段は、民主主義を無視することです。何しろ、国家という共同体の中で考えると、日本の場合は「日本語を話す日本国民」の方が多数派です。まともに民主主義に基づき、グローバリストのための構造改革を実施しようとしても、なかなか巧くいきません。
というわけで、日本では産業競争力会議や規制改革会議などの「諮問機関」を利用し、「民間議員」と称する民間人たちが、国会議員の頭越しに構造改革の政策を推進します。アメリカでは、もちろんロビイストです。
本来、情報が均等に行きわたっていれば、民間議員と称する民間人や、ロビイストが「グローバリストの利益を最大化する」政策を推進することはできません。とはいえ、先方は何しろ「マスコミ」を抑え、さらにデフレの国では貧しくなっていく国民のルサンチマンを煽ることで、「既得権益!」といったレトリックを浸透させ、むしろ「国民の支持」に基づき、構造改革が推進されていきます。
安倍総理の「岩盤規制を貫くドリルの刃となる!」も、同じです。「岩盤規制」とレッテル貼りされた業界で働く「日本国民」の皆様に対する、多数派の日本国民のルサンチマンを煽り、国体を破壊する構造改革を推進していくわけです。
未だに安倍総理について「保守政治家」であると信じ込んでいる人がいたとしたら、思考停止か、もしくは認知的不●和(なぜかAmebaの規制に引っかかるので●)に陥っています。国民の安全保障を担う「日本国民」を貫く「ドリルの刃」が、保守政治家のはずがありません。
いずれにせよ、カナダやポーランドの選挙結果を見る限り、世界的に「反・グローバリズム」の政治が支持を得る、もしくは支持を得ることが容易な時代がやってきたようです。カナダ自由党やポーランド法と正義のように、「国民経済」を重視する政党が日本にあれば、現時点でもそれなりの支持を得ることができるでしょう。
問題は、そんな政党は日本にない、という点です。というわけで、自分にできることは何なのか、色々と考えつつ日々を送っている三橋でございます。
「国民経済を重視する政党が日本に必要だ」に、ご賛同さる方は、↓このリンクをクリックを!
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