よくもまぁ、文化庁がこんな映画に・・・ | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio
2015-05-10 13:00:00

よくもまぁ、文化庁がこんな映画に・・・

テーマ:映画な話
日曜日、北野武監督の最新作「龍三と七人の子分たち」を見てきたぞ。
観客動員100万人突破のメガヒットとなった「アウトレイジ ビヨンド」から2年。
今回は、元組長の藤竜也をはじめ、平均年齢72歳、“元”ヤクザのおじいちゃん8人が、
元暴走族のオレオレ詐欺グループを取っちめる為に奮闘しますが、
北野監督のブラックユーモアがふんだんに盛り込まれ、痛快に面白い。

高橋龍三はかつて、暴力団の組長として名を馳せたが、
組が解体、ヤクザから足を洗った今は、ヤクザの性分が消えず、普通の老人としての生活が出来ず、
息子夫婦から厄介者あつかいされている。

そんなある日、息子夫婦が妻の実家に帰省することになり、龍三は留守を預かる事になるが、
最中、オレオレ詐欺に引っかかってしまい、龍三の怒りが爆発。
人々をだます若い連中を許すわけにいかないと、
龍三はかつての子分たちを召集して世直しをすることに。

龍三親分役の藤竜也も、こんな仕事引き受けたなぁって思ったわ。
ワタクシのイメージとしては、ジャパニーズ・ハードボイルドの印象が強く、
脚本の内容によっては、出演を断るというイメージがあったが、
よっぽど脚本の内容が秀逸で、演じがいがあったと思ったんでしょうね。

【参考】これまで藤竜也が演じた意外性のある作品
・大島渚監督の「愛のコリーダ」(’76)で、阿部定に殺されイチモツ切り落とされた吉蔵
・当時米米クラブのカールスモーキー石井として名をはせた石井竜也の監督第1作「河童」(’94)で、
 幼い頃、故郷で河童に遭遇した体験を語る報道カメラマン。
・ベストセラーになった安倍譲二の自伝的小説を映画化した「塀の中の懲りない面々」(’87)で、
 主人公の服役したヤクザを演じる為に、丸坊主にトレードマークのひげをそり落とした。
・’92年度4月期の大阪ABC発テレ朝系“火9”ドラマ「裏刑事」で、
 ペースメーカーをつけ、法で裁けぬ悪を闇で裁く元刑事を演じた。
 しかも、敵対していた元悪徳弁護士の芸能プロ社長を演じた近藤正臣が、
 若頭役で「龍三と七人の子分たち」で再び藤竜也と共演するとは。

龍三親分の下に集まったかつての部下を演じたキャストも個性派ぞろい。
・近藤正臣(若頭のマサ)
・中尾彬(はばかりのモキチ)
・小野寺昭(神風のヤス)
・品川徹(早打ちのマック)
・樋浦勉(ステッキのイチゾウ)
・伊藤幸純(五寸釘のヒデ)
・吉澤健(カミソリのタカ)

全員ジジィばっかりで、「全員大丈夫か?!」って思ったりしたんだけど、
その「大丈夫か?!」が、北野監督の手にかかると、笑いに昇華され、
予想だにしない展開が、結末のカーチェイスまでドカドカ続き、
「アウトレイジ ビヨンド」とは180度趣を変え、コメディ色を強めた戦略が功を奏した。

北野監督がこの映画で本当に伝えたかったのは、
「ジジィをなめたら痛い目に遭うぞ!」と。
高齢化社会、独居老人、詐欺被害など、高齢者絡みの社会問題が続き、
「義理」や「人情」が、過去の産物と化していることに、憤りを感じ、
北野監督も高齢者に仲間入りしたことで、
自分目線で高齢者絡みの社会問題をバッサバッサと斬りまくったもんなぁ。

さらに、この映画ではジジィ最強論を唱えていて、
先が短い年寄りは、この世に未練がなければ無敵で、
「金なし、先なし、怖いモノなし!俺たちに明日なんかいらない!!」
のキャッチコピーが物語っていたわ。

こんな元ヤクザのジジィが暴れまくる痛快な映画、
文化庁から文化芸術振興費補助金の助成を受けて製作しているが、
作品がそれとは反する内容なのに、基準どうかしてるぜ!
もしかして、エンドロールで笑いを取るためにか?


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