本日の中国新聞セレクトに載った私のコラムです。少し長くなりますが、お付き合い下さい。


コラム 

清原事件思うこと  北別府学


 

プロ野球の開幕が近い。

各チームのルーキーが、1軍スタートを切ろうと奮闘している。


そんな大事な時期に、大スターだった清原和博が、覚せい剤取締法違反で容疑者、被告になってしまった。


巨人の4選手の野球賭博への関与も明らかになった。


勝負の世界に生きているからこそ、疑いを持たれるような付き合いとは無縁でなければならないというのに。



現役時代、知人に連れて行かれた飲み屋さんで、先客が「一緒におったら迷惑掛かるから」と席を立ったことがある。


いわゆる「親分さん」だと後で聞いた。私の立場を理解して、配慮してもらったのだろう。



プロ入りすると、通常は寮に住み、食事から遠征の手配まで全て球団がやってくれる。


しかし練習後や休日はどうだろう。



大学や社会人出身の選手は、知り合いもある程度いて、人付き合いの経験もある。



高校を出たてで、野球しかしていなかった18歳はあまりにも世間知らずだ。



ドラフトで指名されれば、契約金も入っている。



言葉は悪いが、「利用してやろう」という人も近づいてくる。



若いころ、「初対面は無愛想だったね」とよく言われた。


警戒して、相手を観察していたのだと思う。


田舎のじいちゃん、ばあちゃんから「いいことばかり言う人には気をつけろ」と口酸っぱく聞かされていた。



それでも失敗は多かったと思う。


だからこそ、後輩たちには口酸っぱく言いたいのだ。



実際は、純粋に応援してくださる人がほとんどだ。


この人と付き合ってもいいのかを判断するのは本当に難しい。


私生活で、時には小言を言ってくれる人が必要だ。


私の場合は「おっ家内」がいた。



引退後の生活設計も大きな問題だ。


食えるのか、一般社会で生きていけるのか。


ものすごく不安で、心細かった。


現役の間に散財しないことはもちろん、いい人間関係を築いておくことが大事だと心から思う。



お金はグラウンドに落ちている。タニマチ的な人に頼らず、野球で稼げばいいのだ。