Banbi通信 VOL.285 | 初鹿明博オフィシャルブログ Powered by Ameba

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憲政史上、最大の汚点を残す~安全保障関連法案を強行採決
 民主主義を蔑ろにする暴挙を許してはならない!


 ご承知の通り与党の非常に乱暴な国会運営により、多くの国民が反対している安全保障関連法案が成立してしまいました。
 私たち維新の党をはじめ主要野党は一致結束して内閣不信任案をはじめ関係大臣や議長等の問責決議案を提出して徹底抗戦しましたが、数の力で及ばず、成立を許してしまいました。
 多くの国民が廃案を求めて、野党の頑張りに期待をしていただいていたにもかかわらず、成立を許してしまって本当に申し訳なく思っています。
 憲法学者の大半が、歴代内閣法制局長官や最高裁判所の裁判官OBが、そして、自民党の大物OBの多くが今回の法案の下となる憲法解釈の変更に異を唱え、明らかに憲法違反の法案だと断じてきたにも関わらず、強行採決までして通してしまったことは、我が国の憲政史上、最大の汚点となるものと考えます。
 憲法が一内閣の情緒的な判断で変えることが許されてしまったら、それは、もう民主国家とは言えません。そのような暴挙が行なわれたことに強い憤りを感じます。
 皆様も報道などでご存じの通り、または、ご自身も足を運んだ方もいらっしゃると思いますが、国会前では連日反対のデモが続き、ついには車道を埋め尽くす程の数にまで膨れ上がりました。これまでのデモや集会は労働組合などの組織が動員をかけて行われたものが多かったと思いますが、今回は誰かに言われたのではなく、自主的に本当に一人で参加していると思われる普通の人で溢れていました。
 このような集会は国会前だけで行われているのではなく、二千か所以上と言われていますが、北は北海道から南は沖縄まで全国各地で行われ、130万人以上の個人が路上に出て声を上げているのです。
 また、年齢層も幅広く、70年代の学生運動が下火になって以降、若者がこぞって政治的な集会に行くことなんてことは想像できなかったと思いますが、SEALDsという学生団体が各地で始めた集会がこのような大規模なデモにまで発展させていきました。
 私も何度か彼らの集会に参加してマイクを握らせていただきましたが、彼ら彼女らは本気で日本の民主主義の危機を心配しており、このような若者がまだ日本にいることを非常に頼もしく感じました。
 そのSEALDsの中心メンバーの奥田愛基さんは参院の中央公聴会に公述人として出席して堂々と意見を述べられました。
 その一部をご紹介します。
 「私たちは一人一人、個人として声をあげています。不断の努力なくして、この国の憲法や民主主義、それらが機能しないことを自覚しているからです。
 『政治のことは選挙で選ばれた政治家に任せておけばいい』。この国にはどこか、そういう空気感があったように思います。
 それに対し私、私たちこそがこの国の当事者、つまり主権者であること、私たちが政治について考え、声を上げることは当たり前なんだということ、そう考えています。
 その当たり前のことを当たり前にするために、これまでも声を上げてきました。そして2015年9月現在、今やデモなんてものは珍しいものではありません。路上に出た人々がこの社会の空気を変えていったのです。
 デモや至るところで行われた集会こそが『不断の努力』です。そうした行動の積み重ねが基本的人権の尊重、平和主義、国民主権といった、この国の憲法の理念を体現するものだと私は信じています。」
 「最後に、私からのお願いです。SEALDsの一員ではなく、個人としての、一人の人間としてのお願いです。
 どうか、どうか政治家の先生たちも、個人でいてください。政治家である前に、派閥に属する前に、グループに属する前に、たった一人の『個』であってください。自分の信じる正しさに向かい、勇気を持って孤独に思考し、判断し、行動してください。
 みなさんには一人ひとり考える力があります。権利があります。政治家になった動機は人それぞれ様々あるでしょうが、どうか、政治家とはどうあるべきなのかを考え、この国の民の意見を聞いてください。
 勇気を振り絞り、ある種、賭けかもしれない、あなたにしかできないその尊い行動を取ってください。日本国憲法はそれを保障し、何より日本国に生きる民、一人ひとり、そして私はそのことを支持します。」

 私はこの奥田さんの言葉に共感し、非常に感銘を受けました。
 まさに奥田さんの言う通り、今回の法案の採決で一人一人の国会議員の行動が本当に個人で判断した結果なのか、党が決めたことに従っただけなのかを見ていただきたいと思います。
 我々、選挙で選ばれた国会議員は、憲法を遵守し、自由と基本的人権、そして、国民主権を守るために全力を尽くさないとならない存在です。
 政党人として党の決定には従うことは重要だとは思います。しかし、民主主義の根幹を覆すような決定を党の執行部がするのであれば、従う必要はありません。
 本音ではこの法案は憲法違反で成立させてはならないと思っていた与党の議員の皆さんには、政党人である前に選挙で選ばれた一国会議員として、ご判断をしていただきたかったと残念に思います。
 また、我が党の一部に共産党や民主党と共同歩調を取ることに批判的な議員もいましたが、民主主義が否定され、憲法が蔑にされようとしている時に、どこの政党に所属しているかなんて関係ないと思います。民主主義、立憲主義を守るという点で一致しているのであれば共闘するのは当たり前のことで、このような切迫した事態に異なる行動を取り、独自色を出そうとすることの意味が分かりません。
 今回、法案は通ってしまいましたが、民主主義を守る闘いはこれで終わりではありません。むしろ、これが始まりです。今回の法案に賛成し、立憲主義、民主政治を否定した議員には、次の選挙で落選してもらわなくてはならないし、古賀誠さん、野中広務さん、山崎拓さん、加藤紘一さんといった自民党の重鎮であった大物OBの反対の声にも聞く耳を持たなくなった自民党という政党は日本の政治からいなくなってもらわなければならないと感じます。
 私は、この法案を廃止して、変えてしまった憲法解釈を従来のものに戻すためにも政権を交代するまで、民主主義は国民の「不断の努力」無しには保持し続けられないのだと気が付いた国民の皆さんと一緒に闘っていく決意でいます。そのためにも、私はもう一度、自民党に替わって政権を担える野党を作るために力を注いで行きたいと思います。
 最後に、私の決意と皆様へのお願いです。
 私は国会議員として、憲法前文にある「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民が これを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」という言葉を忘れずに憲法を遵守する政治家であり続けます。
 そして、国民の皆様には、「憲法第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」を忘れないでいただきたいと思います。