日本ペイントが初めてサイディング意匠保護用クリアーを発売してから時が経ち、関西ペイントを除く主要各社の製品が出揃っています。

基本的に硬化材と主材を混ぜ合わせる反応硬化型クリアーの荷姿、反応硬化をしながら旧塗装膜(模様生地)に密着させるのが基本構造です。

しかし、このクリアー仕上げによるトラブル事例がだいぶ漏れ聞こえてきました。


一番は剥がれてしまうこと。

二番目は仕上がりに対するトラブル。

三番目はジョイントシール部の不具合。



基本的に新築から10年以内が適正塗装時期とされていますが、サイディングのグレードや紫外線の当たり具合、雨風の当たり具合で劣化状況は変化しますので、一概には言えません。


サイディングはジョイントシールは、5年ごとに点検することが推奨されていますから、サイディングの模様をいつまでも維持したいと思われるならば、5年点検で目処をつけて、8年以内に塗るのが安全です。

ただし、フッ素樹脂加工・光触媒加工のなされたパネルにクリアー塗装は塗ることができません(クリアー塗装を弾いてしまいます)。


10年を越えたり、フッ素や光触媒加工のされたサイディングは通常の塗装処理か模様塗装仕上げになるということをまず覚えておいてください。


次に仕上げに対するトラブル。 

現場調査の際にしっかりと丁寧に説明をしないことに起因するトラブルと施工のトラブルがあります。  

基本的にクリアーを塗ると濡れ色になり、少し色が深くなります。

これを良しとするか否かを施主様にご判断いただかなければなりません。

また、7分艶・5分艶・3部艶等の艶調整品の場合、塗膜の耐久性を担保するため、規程一回目を全艶品で、二回目を艶調整品で仕上げることが求められています。

が、調整品を二回塗りする業者さんがいらっしゃり、艶がまばらになるなどの不具合を起こすケースがあります。

また、艶調整品と言っても塗膜の厚みが増すと艶感が出てきますから、施工管理も難しい塗装であることを念頭に、安易な施工をする業者さんに依頼をしないことが肝要です。


最後にジョイントシール部に関してです。

これは各社の勉強会に参加して、他社の質問でシールの上にクリアーを塗れますか?と言う質問が必ず出て、え?っと驚くことなのですが、シールの上にクリアーを塗ってはいけません。

基本的にサイディングクリアー塗装後、後打ちとしてジョイントシールをするのが正解です。

どうしてもジョイントシールを先打ちしたいのなら、養生をして、クリアーがシーリング皮膜に被らないように処置する必要があります。

何故か。

クリアー塗膜は固く弾力性に欠けます。
サイディングシールは弾力性に富みます。

弾力性に差異が生じて、固いクリアー塗膜が破れてしまうんです。

これが塗膜剥離に繋がり、クレーム事例となってしまうんです。


サイディングはさらっと塗れば良いと思うなかれ。

通常の塗装サイディングでも、蓄熱膨れなどの不具合が多発するわけで。

今や75%がサイディング外壁と言われていますが、安易に考える施工業者さんの暗躍で危険に晒されています。

塗り替える前に、まず、情報武装をして、騙されないように、失敗しないように、サイディングの正しいメンテナンスを心掛けましょう。


  


ちなみに。。。

関西ペイントさんとの交流が深くなり、色々な立場の営業さん、技術さんとお話をする機会に恵まれています。

サイディングクリアーをなぜ、関西ペイントが出さないか。


剥がれないと言う確証が得られないから。


これが最大の理由だそうです。

各社のサイディングクリアー塗料を取り寄せ、付着試験を行ったところ、剥がれない製品もあれば、見事に剥がれる製品もあり、これで良いのか?と言うのが技術部の見解。


付き合いが深いから推すわけではありません。


私が色々感じた中での印象は、
石橋を叩いて叩いて叩いて。。。
これならばと製品化するのが関西ペイント。


私はそこに惚れ込んでいます。

たまに石橋を叩きすぎて橋をも壊す(笑)

そんな職人気質の技術さんに沢山出会いました。

これからも出会うでしょう。

彼らも市場の要望がある以上、声は無視できないと話します。

きっと、発売された暁には、他社を凌駕する素敵な製品になるはずです。

私は静かにその時を待ちます。



以上、サイディング四方山話でした。


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