論理的誤謬のサブリスト-9 不当帰納資料(情報歪曲) | マスメディア報道のメソドロジー

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マスメディア報道の論理的誤謬(ごびゅう:logical fallacy)の分析と情報リテラシーの向上をメインのアジェンダに、できる限りココロをなくして記事を書いていきたいと思っています(笑)

warp


帰納的推論は実験的に導いた経験的な原理と正しい情報を前提にして蓋然的な結論を導くものです。
換言すれば、帰納的推論によって正しく蓋然的結論を導くためには、次の3つの要件をクリアする必要があります。

・推論の「論証構造」が正しいこと
・推論の根拠となる理論的な「原理」が完全であること
・推論を記述する資料である「情報」が正しいこと

不当帰納情報は、このうち情報に偏りあるいは誤りがあるため、正しく結論を導くことができない場合を意味します。
不当情報が生じる原因としては、大別して情報偏向と情報歪曲があります。
この記事では情報歪曲について対象にしたいと思います。

インターネット時代になって世の中に莫大な量の情報が溢れている中、
情報の信頼性が問題視されるケースも多いものと考えられます。
情報には、物事の観察によって得られた一次情報から、
それがマスメディア・ソーシャルメディア・口コミなどによって伝達された二次・三次情報などの高次情報までありますが、
その観察・伝達のすべての段階において、情報が無意識のうちに偏ったり、意図的に歪められたりして、
情報が実体と異なる状態となる可能性があります。
このうち、主として情報提供者の意図的な心理操作によって情報を歪めてしまうのが情報歪曲です。

ここで、情報歪曲の具体的な事例を分類すると次の4つに集約されます。

対人魅力:情報提供者が情報受信者の好意を惹きつける。
論敵の悪魔化:論敵を悪魔化してスケープゴートにする。
情報操作:自説に都合がよい情報を提供し、不都合な情報を隠す。
プロパガンダと説得:あらゆる論理的誤謬を悪用して自説を宣伝し、説得する。

以下、個別に説明していきます。

(1) 対人魅力

対人魅力は、情報提供者に好印象を植え付けてポジティヴな人格に訴える論証を展開することで、
情報提供者の言説を肯定させるものです。
情報弱者をミスリードする悪質で非論理的なストラテジーでありながら、一定の効果があることが知られていて、
様々な選挙活動・政治活動・宗教勧誘などで頻繁に用いられています。
もっとも端的な例としては、北朝鮮の金正日前総書記の超人的な[礼賛エピソード]の数々を挙げることができます(笑)。

(2) 論敵の悪魔化

論敵の悪魔化は、論敵に悪印象を植え付けてネガティヴな人格に訴える論証を展開することで、
論敵の言説を否定させる方策です。
情報弱者をミスリードする悪質で非論理的なストラテジーでありながら、一定の効果があることが知られていて、
様々な選挙活動や政治活動・宗教勧誘などで頻繁に用いられています。
悪魔化のもっとも端的な手法が、アナロジーを誤用してナツィのアドルフ・ヒトラーと同一視するものです。
現在、この悪魔化を多用しているのがマスメディアです。
ある人物が悪魔であることを認定するという行為は、普通に考えれば倫理的に重い責任を伴うため、
情報受信者にとってハードルが高い行為であると言えます。
それが、マスメディアが創出する次のようなパターンによって、
責任感をほとんど感じ取ることなく悪魔化が行われることになります。
まず、あるメディアが「この人物のこの行動は、これから論議を呼びそうだ」という旨の報道を行います。
すると、主としてテレビのワイドショウ番組がこの報道を引用する形で取り上げ、
司会者・コメンテイターを含む複数の番組出演者が人物を批判します。
このとき、この集団には傍観者効果による責任の分散が生じているので、反論が抑制されやすくなると同時に
集団における同調現象が生じることになります。
このような集団浅慮のメカニズムで悪魔が創造され、この集団の論調が生み出すバンドワゴン効果によって
流されやすい番組視聴者が悪魔化を無批判に容認することになります。
そして、視聴者の容認を見計らった上でテレビニュースや新聞がこれを社会問題として取り上げて批判し、
その論調が自分の意見と同じであることを確認した視聴者は、
勝ち誇ったようにヒステリックにスケープゴートを批判するようになります。ここに悪魔化が完了します。

(3) 情報操作

情報操作は、すべての情報受信者をミスリードする極めて悪質な情報倫理違反であり、
不公正な評価を発生させるものであると言えます。
近年では、インターネットの発展により、それまでは闇に葬られていた
マスメディアが自らの論調に反する周知の重要事実を報道しないことが指摘されるようになりました。
朝日新聞のいわゆる従軍慰安婦問題における吉田証言報道や福島原発の吉田調書報道はその端的な例であり、
一次情報を直接得ることができないほとんどの情報受信者は情報歪曲の被害者であると言えます。
情報操作に対して情報受信者ができる唯一の対抗策は、
このような情報歪曲を行ったマスメディアの報道を信じないということであり、
これは経済原理にも合致するものであると言えます。

(4) プロパガンダと説得

公正な論理的説明による主張のプロパガンダ説得は有意義な社会的活動です。
しかしながら、不公正な心理的扇動によるプロパガンダと説得は極めて危険な反社会的活動です。
誤謬リストの構成から注目すべき点は、国民の意思決定に最も影響を与えているとされるテレビメディアが、
紙メディアと比較してプロパガンダの多くの手法に適した特性を有していることです。
従来から、テレビメディアからの情報取得に際しては、リアルタイムに情報を咀嚼・消化する必要があるため、
思考停止に陥りやすいことが指摘されています。
小泉政権・鳩山政権と言ったポピュリズム政権が隆盛を誇ったのも、
テレビメディアを最大限に利用した劇場型選挙によるものであったことは、記憶に新しいかと思います。
そのような中、現在のテレビメディアにおいて、一方向に偏らない公平な報道が行われているかと言えば、
極めて多くの大きな疑問符がつくかと思います。
私は一部のテレビメディアは論理を度外視して意図的な政府批判を行っている可能性があると考えています。
このような仮説を掲げる最大の理由は、テレビ報道にきわめて多く認められる論理的誤謬のほとんどが、
政府に不利な方向になるよう誤っているからです。
これが単なる論理的な誤りであるという帰無仮説を立てれば、t検定で確実に棄却されることになり、
意図的な虚報であるという対立仮説を棄却するのは有意でないことが証明されるのは自明です。
報道機関が公正な観点から厳格に政府を監視することは極めて重要なことであると考えます。
しかしながら、不公正な観点から無分別に政府を監視している現状は、政策の実現を理不尽に遅延させ、
国の経済力・防衛力に障害を与え、最終的に国民の財産・安全を低下させるリスクの増大につながりかねません。
幸いにも、我が国は放送法で政治的公平な放送を行うことが規定されています。
しかしながら、一部マスメディアは何の法的権限もなく、
この法律を自分の都合がよいように勝手に解釈して歪曲報道を容認しているのが現状です。
報道の自由というものが、「公正な報道をいついかなる場合でも自由に行うことができる権利」という概念を逸脱し、
「たとえ憶測・虚報であっても、いついかなる場合でも自由に行うことができる権利」という概念に変貌しています。


以下に、このカテゴリーに属する誤謬のリストを示します。


ディクテイター(笑)


[論理的誤謬のメインリスト] 演繹と帰納

[論理的誤謬のサブリスト-1] 不当演繹立論(形式的誤謬)
[論理的誤謬のサブリスト-2] 不当演繹原理(理論的原理不全)
[論理的誤謬のサブリスト-3] 不当演繹資料(概念曖昧と概念混同)
[論理的誤謬のサブリスト-4] 不当帰納立論(情報欠如)
[論理的誤謬のサブリスト-5] 不当帰納原理(経験的原理不全)
[論理的誤謬のサブリスト-6] 不当帰納資料(情報偏向:認知バイアス)
[論理的誤謬のサブリスト-7] 不当帰納資料(情報偏向:社会バイアス)
[論理的誤謬のサブリスト-8] 不当帰納資料(情報偏向:記憶バイアス)
[論理的誤謬のサブリスト-9] 不当帰納資料(情報歪曲)


B-3 不当帰納資料 invalid deductive documentation


B-3-4 情報歪曲 distortion

(1) 対人魅力 interpersonal attraction

【外見的魅力 beautiful people】
外見的魅力を高めることで情報受信者に好感を与える。

【同期 synchronism】
情報受信者と同じような感情や態度を示すことで好感を与える

【機嫌に訴える論証 appeal to flattery】
情報受信者の機嫌をとることで好感を与える。

【買収/返報性 bribery / material persuasion / financial incentive】
情報受信者に利益を贈与することで好感を与える。

【ウィスキー・スピーチ/八方美人 if-by-whiskey】
たとえ自説の主張と異なっていても、その時・その場所の情報受信者が支持している言説を唱えることで好感を与える。

【物理的近接性 physical proximity / geographical proximity】
情報受信者と出生地・居住地等の物理的距離が近いことを主張して親近感を与える。

【社会的近接性 social proximity】
情報受信者と価値観・専門性等の社会的距離が近いことを主張して親近感を与える。

【単純接触効果/熟知性 mere exposure effect】
情報受信者に論者の存在を繰り返し知覚させて親近感を与える。

【自己開示 self-disclosure】
情報受信者に自分に関する情報を提供して親近感を与える。

【個人崇拝 cult of personality】
情報受信者に理想的で英雄的な創作イメージを提供することで崇拝させる。

【論理のチョップ logic chopping】
些細な内容に焦点を当て難解な専門知識を羅列することで知性を感じさせる。

【尊大な語用に訴える論証 pompous language / gobbledygook】
難解な言い回しを多用することで知性を感じさせる。

【専門用語に訴える論証 jargon / jargonese / argument by gibberish】
高尚な専門用語を多用することで知性を感じさせる。

【量子力学の虚偽 qantum physics fallacy】
高尚な量子力学と強引に関連付けることで知性を感じさせる。

【ラテン語訳の虚偽 latino fallacy】
高尚なラテン語訳のタイトルを持つ言説を多用することで知性を感じさせる。

【思わせぶりの言説 pseudo-profundity】
意味が不明瞭で一見深遠な表現を使うことで知性を感じさせる。

【詩的語法 poetic language】
華やかな語法と美しい思考表現を使うことで知性を感じさせる。

【韻効果 rhyme as reason effect】
韻を踏む表現を用いることで知性を感じさせる。

【比喩 metapher】
比喩を用いることで知性を感じさせる。

【早口 argument by fast talking】
早口で主張することで知性を感じさせる。

(2) 論敵の悪魔化 demonization

【人格攻撃/人身攻撃 ad hominem / argumentum ad hominem】
論敵の人格を攻撃することで対人論証を行う。

【判断的語用に訴える論証 judgmental language】
侮辱的・名誉棄損的・軽蔑的語用によって人格を攻撃することで対人論証を行う。

【毒の混入 poisoning the well】
論敵の人格を貶める情報を流布することで対人論証を行う。

【ゴシップ gossip】
論敵のスキャンダルを暴露・喧伝することで対人論証を行う。

【ヒトラー論証 reductio ad Hitlerum】
論敵とアドルフ・ヒトラーの類似点を挙げることで対人論証を行う。

【バルヴァー主義 Bulverism】
論敵の主張を偽と仮定した上で、その根拠を人格に求めてその言説を否定するという循環論証を伴う対人論証を行う。

【言葉選び word choice / positive image word / negative image word】
善・中立・悪を連想させる言葉を都合よく使い分け、論者/論敵を善/悪とする倫理観を情報受信者に植え付ける。

【フレーズ選び phraseology】
善・中立・悪を連想させる語法を都合よく使い分け、論者/論敵を善/悪とする倫理観を情報受信者に植え付ける。

【評価型言葉 evaluating word】
主観的評価を内包した形容詞・副詞を根拠にすることで、論者/論敵を善/悪とする倫理観を情報受信者に植え付ける。

【説得的定義 persuasive definition】
論敵が不利となるように、曖昧な評価型言葉を組み入れて用語を定義し、権利・義務・罪などを偽造する。

【気のないほめ言葉 damnation by faint praise / damning with faint praise】
論敵に弱々しくお世辞を言うことで情報受信者に論敵に対する負の感情を喚起させる。

【悪意に訴える論証 appeal to spite】
情報受信者が潜在的に持つ論敵に対する負の感情を喚起させる。

【悪口 name-calling】
根拠もなく論敵の悪口を言って論敵に対する嫌悪感を持たせる。

【レッテル貼り labelling】
論敵やその言説のネガティヴな一面に着目して悪のレッテルを貼り、論敵の人格や言説の品格を否定する。

【ステレオタイプ化 stereotyping】
先入観を基にして事物をネガティブな画一的タイプに区分することで蔑視する。

【併記による誘導 juxtaposition】
論敵に関する情報および論敵と無関係な負の情報を同時に提供し、論敵と負の情報に関係があるように連想させる。

【無意味な詳細の提示 irrelevant detail】
論敵に不都合な効果を及ぼす論点とは直接関係しない情報を提示することで論敵に対する嫌悪感を持たせる。

【サクラの仕込み packing the house】
論争会場を自説の支持者で満たし、絶え間なく応援させると同時に論敵を悩ます環境を作る。

【御用コメンテーター spin doctoring】
論敵に不利となる偏った情報を第三者に提供させることで、論敵に対する嫌悪感を持たせる。

【自信喪失操作 ad fidentia / against self-confidence】
論敵の主張に対して強い疑義を表明することで、その自信を揺るがす。

【スケープゴート scapegoating】
批判を集中させる対象を設定して情報受信者の不満を転嫁させる。

【問題の創作 manufactured problem】
実際には存在しない問題を創作してスケープゴートとすることで、情報受信者を誘導する。

【言論の自由の主張 I'm entitled to my opinion / I have a right to my opinion】
言論の自由が保障されている中で言論の自由を声高に叫ぶことで論敵に言論抑圧者の印象を植え付ける。

(3) 情報操作 information manipulation

【情報バイアス information bias】
純粋な情報に加えて、情報受信者の意思決定を誘導する情報を与えることで事実を歪める。

【チェリー・ピッキング cherry picking / suppressed evidence】
自説に好都合な情報のみを与えることで事実を歪める。

【インタビュアーのバイアス interviewer bias】
インタビュアーが自説に不都合な言説を無視し、自説に好都合な言説のみを情報発信することで事実を歪める。

【噂・流言 rumor】
自説/他説に都合の良い/悪い根拠のない情報を流布することで事実を歪める。

【デマゴーグ demagogue】
自説/他説に都合の良い/悪い虚報を意図的に喧伝することで事実を歪める。

【カード・スタッキング/都合のよい歪曲 card stacking / arrant distortion / one-sided argument】
自説に好都合/不都合な情報を強調/無視することで事実を歪める。

【誇張 exaggeration】
自説に好都合な情報を誇張して与えることで事実を歪める。

【誤情報の繰り返し repeating misinformation】
自説に好都合な誤情報を繰り返し与えることで事実を歪める。

【ウーズル効果 Woozle effect / evidence by citation】
根拠のない都市伝説の出版物を引用して自説に好都合な誤解を与えることで事実を歪める。

【科学の政治利用 politicization of science】
政治に好都合なように科学的知見を操作・捏造することで事実を歪める。

【数学の虚偽 mathematical fallacy】
数学問題において、誤った理論解をトリッキーに示して欺く。

【子供騙し論証 Argumentum ad captandum】
一見もっともらしく大衆受けがよさそうな言説を示して欺く。

【アリバイ工作 tokenism】
自説にわずかに不都合な情報を少量提供して公平性を示すことで情報受信者に信頼感をもたせる。

【両面表示 two-sided argument】
自説の長所と些細な短所を併せて提示して公平性を演出することで、自説への反論に抵抗感を持たせる。

【強調 accent fallacy / fallacy of prosody / emphasis fallacy】
文章内のある部分を不自然に強調することで、そのことと背反する事象の可能性を暗示する。

【言葉の遂行性の虚偽 performative fallacy】
実現されていない事象について発言することで、その事象を実現させる意向を持っていると暗示する。

(4) プロパガンダと説得 propaganda and persuasion

【群集操作/アジテーション crowd manipulation】
本格的なプロパガンダを展開する前に群集心理学のテクニックを悪用して群集の欲求を刺激することで自説に誘導する。

【ヒント hint】
本格的なプロパガンダを展開する前に、都合の良い手掛かりを間接的に示すことで自説に誘導する。

【プロパガンダ propaganda】
あらゆる論理的誤謬を悪用して論敵を貶めると同時に自説を宣伝する。

【ブラックプロパガンダ black propaganda】
情報ソースを論敵とする虚偽の情報を創作することで論敵を貶めると同時に自説を宣伝する。

【ホワイトプロパガンダの併用 white propaganda】
ソースが開示された情報によるホワイトプロパガンダを併用することでブラックプロパガンダをカモフラージュする。

【グレイプロパガンダ grey propaganda】
自説と対立するプロパガンダを秘密裏に流布した上で、これを公然と否定することによって自説を宣伝する。

【論調 tone of voice】
贔屓目の語り口で自説を宣伝する。

【転嫁 transfer】
実体とは関連性がない優れたイメージを象徴として用いることで自説を宣伝する。

【説話 narratives】
個人の体験談の形式で情報伝達して論理内容よりはエピソードに興味を持たせることで自説を宣伝する。

【大言壮語 fustianism】
大げさな表現を用いて情報受信者を圧倒することで自説を宣伝する。

【大きな数に訴える論証 appeal to large numbers】
事業の成功や多くの支持を示唆する大きな数を多用して情報受信者を圧倒することで自説を宣伝する。

【巧みな騙し snow job】
多くの難解な情報の提示により情報受信者を圧倒することで自説を宣伝する。

【循環報告 circular reporting】
実際には単一の一次ソースに帰結する多種類の二次ソースを提示して情報受信者を圧倒することで自説を宣伝する。

【根拠のない名案 glittering generality】
根拠がないにもかかわらず、大きな利益をもたらす案を提示して情報受信者を圧倒することで自説を宣伝する。

【知識を伴わない確信的話術 certainty argument by uninformed opinion】
議論の本質を理解していない論者が確信的な話術によって情報受信者を圧倒することで自説を宣伝する。

【感情的語法 emotional language / loaded language】
強い感情を喚起する言葉を使って情報受信者の思考を停止させることで自説に導く。

【標語化 slogans / style over substance】
本質的な議論を阻害する簡潔で明瞭なスローガンを記憶・音読させて情報受信者の思考を停止させることで自説に導く。

【録音笑い laugh track】
予め仕込んだサクラの反応によって情報受信者の思考を停止させることで自説に導く。

【繰り返し repetition / proof by assertion / argument by repetition】
言葉を変えながら同じ主張を繰り返し、情報受信者の思考を停止させることで自説に導く。

【同義語反復 tautology】
証拠の欠如を隠すため、言葉を言い換えただけの反証不可能な命題によって自説を補強した印象を与えて自説に導く。

【大嘘テクニック big lie technigue】
信じるまで嘘をつき続けることで自説に導く。

【ゴリ押し shoehorning】
最近の出来事を無理やり自説に当てはめて、論理の妥当性を証明したような印象を与えることで自説を宣伝する。

【睡眠薬とスウィッチ hypnotic bait and switch】
誰もが支持するいくつかの自明な言説の中に目立たないように自説を挿入して支持させる。

【増殖の虚偽 fallacy of multiplication】
言説の多くの前提の中に自説をさりげなく挿入した上で言説の結論を認めさせ、自説が容認された既成事実を作る。

【命令 command】
命令されると満足感を得て不合理な要請にも服従しやすくなる情報受信者の心理を利用して自説に導く。

【役割理論 role theory】
役割を自覚すると価値観にかかわらずその役割を演じるようになる情報受信者の心理を利用して自説に導く。

【融和理論 nudge theory】
間接的誘導によって自発的に服従しやすくなる情報受信者の心理を利用して自説に導く。

【フット・イン・ザ・ドア・テクニック foot-in-the-door technique】
小さな要請を承諾させることによって認知的不協和を発動させることで大きな要請を承諾させる。

【ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック door-in-the-face technique】
大きな要請を拒否させることによって罪悪感を発動させることで小さな要請を承諾させる。

【ローボールテクニック low-ball technique】
小さな要請を承諾させることによって認知的一貫性を発動させることで新たな好条件を引き出す。

【誘導尋問 suggestive question】
自説に好都合な特定の回答を誘導する内容の質問を行うことで、自説に導く。

【反復質問 repeated questions】
自説に好都合な回答を引き出すまで同じ質問を繰り返す。

【レトリカルクエスチョン rhetorical question】
自説に好都合な回答を誘う質問型の修辞表現を用いることで、自説に導く。

【リアクションの制御 controlling phraseology】
自説に好都合な特定の回答を誘導する言い回しの質問を行うことで、自説に導く。

【簡単な回答 simple answers】
質問に対して短くはっきりした回答を選好する傾向がある。

【質疑応答の独占 monopolizing the question】
質問者が質問の直後にその質問の答えを述べ、情報受信者に自説を強要する。