本日は、教育民生常任委員会でした。
一番、審議に長い時間がかかった議案が、「逗子市立図書館条例の改正について」 。
図書館の指定管理といえば、佐賀県武雄市のTSUTAYA図書館などがみなさん知られているところでしょうか。
今回逗子市の条例で提案されたのは、図書館の指定管理者制度の導入をするための条例改正案。
(逗子市の図書館はガラス張りでオープンなデザイン)
そして、指定管理者先として示されたのは、(株)パブリックサービスでした。
公募、という形ではなく、あくまで非公募で指定したいというのが行政側の意向。
行財政改革を進めるために、これまでにも文化プラザや交流センターなど多くの公共施設のアウトソーシングを進めてきたことは評価するものですが、図書館は市内の公共施設の中でもトップクラスに市民の利用率が高い施設です。(年間利用者数約50万人)
しかも、指定管理者先として指定された(株)パブリックサービスは、民間事業者ではありますが、いわゆるシルバー人材センターであり、私は、かねてから来る超高齢化社会に向けて、公共事業の受託業務だけでなく多様な自主事業を増やすべきであると提案してきました。
逗子市は、さまざまな知識や高度な技術をもったシニアの方が多いからです。そうした方の受け皿となりうるような雇用をつくりだしマッチングしていくことこそが、(株)パブリックサービスの大きな使命であり、早急に取り組んで欲しいと要望してきました。
市からの受託業務が増えてしまえば、いくら高齢者雇用の創出のためといっても、一人当たりの雇用創出コストが高くついてしまうからです。(つまり税金の持ち出しが増えてしまう)
しかしながら、今回はまた図書館という大きな公共施設の受託業務を(株)パブリックサービスに任せるといいます。
これまでに、図書館運営のノウハウもない中で、自主事業の拡充という大きな課題も背負いながら、はたしてどこまで市民サービスを下げずに、直営よりもコストを下げて、このパブリックサービスが運営していけるのか。
今日の委員会審議の中では、いまだ検討すべき課題が多々あると判断しました。
そのため、今回私はこの議案に対し反対しました。(委員会では賛成4名、反対3名で結果は可決)
図書館は逗子の文化の顔ともいえる地域にとってかけがえのない施設であり、厳しい財政状況の中、図書館も例外ではなく市場化時代に送り込まなくてはならないことは一定理解はするものの、今回の提案には以上のような理由から反対するものです。
再来週の本会議で最終的に採決され決定しますが、たとえ指定管理になったとしても市民サービスの質のさらなる向上に向けて議会としてもチェック機能を果たしていきたいと思います。
【追記】
3月22日の本会議では委員会の結果と逆転し、反対多数で否決となりました。
私の反対討論は以下の通りです。
「議案第9号 逗子市立図書館の全部改正について」
反対の立場から討論に参加いたします。
行財政改革の一環として公的施設に指定管理者制度を導入していくこと自体を否定するものではありません。
しかし、導入の際には、市民サービスの質の向上につながること、さらには運営費のコスト削減につながるなど、市民にとって有益なものとならなければいけないと考えます。
また、公的施設の指定管理先を非公募で指定する場合は、当該事業者及び団体がそれまでその施設の運営に携わっており運営ノウハウに精通しているか、もしくはそれに準じた能力を有しているものとされるが、今回、非公募で指定する予定として挙げられている株式会社パブリックサービスはそのいずれにも該当するものではありません。
さらに、委員会審査の中では、全体の運営費はこれまでの直営とほぼ変わらないこと、また図書館運営は現状維持で具体的なサービスの質の向上は不明瞭であることなどが明らかになりました。
公共施設の中でも、とりわけ図書館は逗子の文化の顔ともいえる地域にとってかけがえのない施設であります。
厳しい財政状況の中、図書館も例外なく市場化時代に送り込まれなくてはならないことは一定理解するものですが、今回の非公募での指定管理先を株式会社パブリックサービスとする提案には、いまだ慎重に検討すべき点が多々あると判断いたしました。
よって、本議案には反対といたします。