パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団による、ベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」を横浜みなとみらいホールにて(28日)。
フロレスタン:ブルクハルト・フリッツ(Ten)
フィデリオ(レオノーレ):エミリー・マギー(Sop)
ロッコ:ディミトリー・イヴァシュチェンコ(Bass)
マルツェリーネ:ゴルダ・シュルツ(Sop)
ヤッキーノ:ユリアン・プレガルディエン(Ten)
ドン・ピツァロ:トム・フォックス(Bar)
ドン・フェルナンド:デトレフ・ロート(Bar)
ヴォルフ・カーラー(語り)
東京音楽大学合唱団(合唱)
ベートーヴェン唯一のオペラ、フィデリオ。オペラとしては今一つ面白さに欠けると言われるこの曲、こうして演奏会形式で演奏すると、壮大なオラトリオとして聴いてみればやっぱり大変な傑作であるということが実によくわかる!やっぱり、ベートーヴェンは偉大だ。
今日の上演は演奏会形式ながら、最前列で左右に動く歌手は簡単な演技をつけていて、レオノーレ役のマギー以外は全員暗譜。ロッコ役は歌手イヴァシュチェンコのほかにもう一人語りがいて、ヴァルター・イェンス作「ロッコの物語」を朗読するという趣向だ。
今日の上演、オケ、独唱、合唱、全てにおいて非常にハイレベルの演奏である。平日の夜に横浜まで来た甲斐があった!
何よりすごいのは独唱陣。中でも一番すごいのはフロレスタン役のフリッツ。バイロイトで「パルジファル」の主役を歌った人だが、出番少ないながら(というかだからこそ)実に奥深く感動的なフロレスタンを聴かせる。
次によかったのがロッコ役のロシア人歌手イヴァシュチェンコ!実に人間味あふれる温かい歌唱でロッコという役に実にはまっている。その娘マルツェリーネ役の黒人歌手シュルツが実に清楚な歌と伸びやかな歌唱で最高!
レオノーレ役のマギー、ちょっと盛りは過ぎた感じではあるが悪くはない。唯一彼女だけ譜面を見ていたが、マギーのウェブサイトを見るとフィデリオはレパートリーにないから、最近歌い始めたということか。
バイロイトの「パルジファル」でアンフォルタスを歌ったフェルナンド役ロート、ちょい役ながらアンフォルタス役とは違った折り目正しい歌を聴かせる。ヤッキーノ役のプレガルディエン、どうやらクリストフ・プレガルディエンの息子らしい。出番は少ないが安定している。ドン・ピツァロ役のフォックスは悪役にしては押し出しも声量もやや弱いか。
パーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェンはやはり最高である!冒頭のフィデリオ序曲から、切れが良くて聴いていて実に快感である。比較的小編成なためちょっと低音が弱く感じたが、徐々に解消されていった。基本ノン・ヴィブラートで快速テンポ。トランペットとティンパニのみ、古い楽器を使っていて、トランペットはバルブもロータリーもない長管、ティンパニは小さめで硬いマレットを使うもの。ホルンは通常のフレンチだった。
第2幕、大臣の到着後における序曲レオノーレ第3番の演奏はなし。オリジナル通りである。余談だが、ここでレオノーレ3番を演奏する習慣はマーラーが始めたと言われる(以前聴いたウィーンフィル楽団長の講演では、マーラーではなくオットー・ニコライだと言っていた)。
合唱は東京音大。囚人、民衆を歌った彼らも、それなりの演技を交えての歌唱。歌も、ずいぶん前にN響で第九かなんかを聴いたときの合唱に比べるとかなり巧いので驚いた。
歌の間の芝居の代わりに挿入されたカーラーの語り、表情豊かでとてもいい味を出している。この語り、「ロッコの物語」は4年後のロッコなのだそうで。
フロレスタン:ブルクハルト・フリッツ(Ten)
フィデリオ(レオノーレ):エミリー・マギー(Sop)
ロッコ:ディミトリー・イヴァシュチェンコ(Bass)
マルツェリーネ:ゴルダ・シュルツ(Sop)
ヤッキーノ:ユリアン・プレガルディエン(Ten)
ドン・ピツァロ:トム・フォックス(Bar)
ドン・フェルナンド:デトレフ・ロート(Bar)
ヴォルフ・カーラー(語り)
東京音楽大学合唱団(合唱)
ベートーヴェン唯一のオペラ、フィデリオ。オペラとしては今一つ面白さに欠けると言われるこの曲、こうして演奏会形式で演奏すると、壮大なオラトリオとして聴いてみればやっぱり大変な傑作であるということが実によくわかる!やっぱり、ベートーヴェンは偉大だ。
今日の上演は演奏会形式ながら、最前列で左右に動く歌手は簡単な演技をつけていて、レオノーレ役のマギー以外は全員暗譜。ロッコ役は歌手イヴァシュチェンコのほかにもう一人語りがいて、ヴァルター・イェンス作「ロッコの物語」を朗読するという趣向だ。
今日の上演、オケ、独唱、合唱、全てにおいて非常にハイレベルの演奏である。平日の夜に横浜まで来た甲斐があった!
何よりすごいのは独唱陣。中でも一番すごいのはフロレスタン役のフリッツ。バイロイトで「パルジファル」の主役を歌った人だが、出番少ないながら(というかだからこそ)実に奥深く感動的なフロレスタンを聴かせる。
次によかったのがロッコ役のロシア人歌手イヴァシュチェンコ!実に人間味あふれる温かい歌唱でロッコという役に実にはまっている。その娘マルツェリーネ役の黒人歌手シュルツが実に清楚な歌と伸びやかな歌唱で最高!
レオノーレ役のマギー、ちょっと盛りは過ぎた感じではあるが悪くはない。唯一彼女だけ譜面を見ていたが、マギーのウェブサイトを見るとフィデリオはレパートリーにないから、最近歌い始めたということか。
バイロイトの「パルジファル」でアンフォルタスを歌ったフェルナンド役ロート、ちょい役ながらアンフォルタス役とは違った折り目正しい歌を聴かせる。ヤッキーノ役のプレガルディエン、どうやらクリストフ・プレガルディエンの息子らしい。出番は少ないが安定している。ドン・ピツァロ役のフォックスは悪役にしては押し出しも声量もやや弱いか。
パーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェンはやはり最高である!冒頭のフィデリオ序曲から、切れが良くて聴いていて実に快感である。比較的小編成なためちょっと低音が弱く感じたが、徐々に解消されていった。基本ノン・ヴィブラートで快速テンポ。トランペットとティンパニのみ、古い楽器を使っていて、トランペットはバルブもロータリーもない長管、ティンパニは小さめで硬いマレットを使うもの。ホルンは通常のフレンチだった。
第2幕、大臣の到着後における序曲レオノーレ第3番の演奏はなし。オリジナル通りである。余談だが、ここでレオノーレ3番を演奏する習慣はマーラーが始めたと言われる(以前聴いたウィーンフィル楽団長の講演では、マーラーではなくオットー・ニコライだと言っていた)。
合唱は東京音大。囚人、民衆を歌った彼らも、それなりの演技を交えての歌唱。歌も、ずいぶん前にN響で第九かなんかを聴いたときの合唱に比べるとかなり巧いので驚いた。
歌の間の芝居の代わりに挿入されたカーラーの語り、表情豊かでとてもいい味を出している。この語り、「ロッコの物語」は4年後のロッコなのだそうで。
AD