やはり、自分に揺るぎない信念や志があれば、人のことなど気にならない。 | 横浜 コーディアル司法書士 所博之

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LECと伊藤塾を通じて司法書士講師業25年のキャリアを活かしたブログ

週末はイラク戦争日本人人質事件で、その人質になったその後を描いたドキュメンタリー映画「ファルージャ」 を観てきました。

映画上映後に監督の伊藤めぐみさんと高遠菜穂子さんのトークショーもあるということもあり、小さな会場は超満員。私は、高遠菜穂子さんとは過去2,3度お会いして話をしたこともあり、今もファルージャで支援活動を続ける彼女にエールを送るためにも会場に足を運びました。
挨拶を交わしながらの握手に、今も続けるイラクでの支援活動は揺るぎのない信念が感じられ、とても彼女のか弱い小さな手からは想像ができないほどでした。


この人質事件はイラクでは親日派が多く、日本はとても平和的で友好国だと思っていたのに、イラク戦争でアメリカに追随して人道復興支援という名のもとで自衛隊を派遣したことで起きた事件。 自衛隊を撤退させることを条件に、3人の身柄を解放するというものでしたが、日本政府はそれに応じぜず、3人は焼き殺されると思っていました。

 当時、イラクでは日本の自衛隊というものが理解できず、武器を持った日本の軍隊を送りこんできたと思い込み、ファルージャの武装グループが日本人3人を拘束。
 当初は日本人はすべてアメリカの味方だと誤解していましたが、実はイラク支援のために入国していたということが分かり、9日間の拘束の後、無事に解放されました。
 でも、日本では彼らの「自己責任」が問われ、帰国後の強烈なバッシングにも苦しみ、PTSDや対人恐怖症を乗り越えた今を描いたドキュメンタリー映画。


当時19歳で人質になった今井紀明 さんは、街を歩けばいきなり殴られ、「誰も自分のことを理解してくれない」と、対人恐怖症になって引きこもっていたといいます。
9日間の拘束より、日本に戻ってからの方が何倍も恐怖を感じていたと。
それが今では、自分の経験を活かし、引きこもっている人や不登校の子供たちを支援するNPO法人の代表になっていました。


「この誰も自分のことを理解してくれない」という境地から、彼はどんな思考過程を経て逆に引きこもりや不登校の子供たちをサポートする道に至ったのだろうか、と私は考えました。
それは、「自分のことを理解してもらわなくても構わない」という心の持ち方の変化だと思います。

私も若い頃は、人のことが気になって仕方がなかったですが、そもそも自分自身に揺るぎない信念や志があれば、他人の批判など気にならないものです。
少々誹謗中傷されても構わない。
なぜなら、批判や中傷は口先だけでも簡単にできるが、自分の信念に基づいた行動は簡単には起こせないということが分かってくるからです。
ましてやその行動を続けることは容易ではない。
その自分の信念に基づく行動を積み重ねることで、少しずつ自信が積み重なり、人の批判が気にならないようになります。


でも、自分に自信がない人は、「自分のことを理解してもらいたい」、「認めてもらいたい」という気持ちが強すぎて、何かミスや失敗をしたときに、その自分の状況や立場を分かってもらおうとする。
そこで、素直に反省し言い訳を言わなければ、一時的には苦しくてつらいですが、逆にそれが、その人の価値を何倍も上げます。なぜなら相手には素直な反省で十分に伝わるからです。しかも、その教訓を活かし、次の失敗を防ぐことにつなげ、早く次のステージに進むことができます




しかし、そこで、その自分の立場や状況を知ってもらうために話しておかないと気が済まない人は、それが自分の成長を止める「言い訳」になっていることに気がつかないのです。
言い訳(自分では言い訳だと思っていないで事情を説明しようとする話)をする人は、相手を不愉快にさせるだけでなく、結局それで自分を納得させ、反省も一時的で終わりがちです。

自分の思い込みや勘違いで引き起こしたミスですら、いつのまにか人のせいや他のせいにしているため、その人の価値を余計に下げてしまいます。
あげくには今のままの自分で問題ないと錯覚して、次の行動で自分を取り戻そうという気持ちにつながらず、また同じような失敗を繰り返しています。
言い訳を言うことは、一時的に気持ちを楽にさせますが、結局はいつまでたっても成長せず、次のステージに進めないものです。


やはり、自分に揺るぎない信念や志があれば、人のことなど気にならない。人が自分のことを理解してくれなくても構わないという境地に達するという実例をこの映画から感じました。