千円図書館ってなあに? | 浅慮相乗のブログ

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Tumblrからの再掲シリーズ、今回は初出2013年6月13日のこちらです。

#千円図書館 は何を物語るのか

少し長くなりますが、説明を追加しておきます。

11月1日のエントリ「カフェについての呟き」 の中の一文に「千円図書館」という単語が出てきます。

「スタバについて「あれは体感価値なんですよ。(中略)あそこでなら2千円、3千円出してもいい」千円図書館といわれたのが、今度は2倍、3倍ですよ、奥さん。」

「千円図書館」という言葉は、「たけお問題」と同様にTwitterでは「#千円図書館」という形でハッシュタグとして用いられています。

スターバックスを利用された方ならご存知でしょうが、ドトールやシャノワールなどと比べ、どちらかといえば価格は高めです。飲み物の他にちょっとしたものを頼めば千円、出るのは当たり前の世界です。

武雄市図書館は図書館の中、同じフロアに明確な区切り無しに、このスターバックスがあります。保健所への届出では専用席は6席でしたが、蓋を開けてみると50席がスターバックス専用とされ、書籍や資料を用いて読書や調査、勉強をする人の席が削り取られていたのです。

商品を買い、飲食が終わったので、ごみを片付けて同じ席に戻った方がスタッフに注意される等のトラブルが起き、やっと座席数が確定されました。

図書館は、誰にでも開かれた、公共の場所ではなかったのでしょうか?

「あのときの図書館のお兄さん、図書館の理念を守り通してきた図書館界隈の皆さま、本当にありがとうございました。お陰でどん底から這い上がって幸せに生きてます。高い本買うお金もなく、勉強する場所さえ無かった俺には、図書館と図書館が俺に与えてくれる知の自由・平等の存在は本当に有難かったです」
少年と図書館 より

以下、再掲分です。

事の起こりは6月10日の武雄市議会定例会 谷口攝久議員の一般質問 でした。

「実は、市長ご存じかわかりませんけど、あそこに行った市民の中で、素晴らしい図書館といいつつ、なおかつ千円図書館といっている方もいらっしゃる。なぜかというと、千円なければ図書館にもいけないという状況ですね。あんまり素晴らしくなってという言葉の裏に何があるかというのを、議会の中でお話をしたい。」

「昔は図書館はいっぱいでよかった。
今は、お小遣いを持たさないと、図書館は行けないようになってきている感じがします。
そういう話でした。
千円図書館は、高いとか安いとかではない。
あそこにいって婦人会の方がいって、コーヒーを飲む、そういうときに、1000円持たないと、図書館もいけないようになったね。
それは、そういうことを婦人会が老人クラブの踊りに行ったグループの中ででたと、一昨日きいたので、あえて申し上げている。」

これに対し、市長は以下のように応えています。

「千円図書館というのは、無礼な、失礼な話だと思います。一般の方々が言うのは、良いです。ですが、政治家が一般質問の場で、しかも引用する形で言うというと、私は下の下だと思います。」

なぜ、市民が「千円図書館」と言ったのか。

私は武雄市民ではありません。私が住んでいるところは公共図書館が複数あり、交通の便もそこそこです。中央図書館には喫茶室もありますが、自動販売機も、無料のウォータークーラーもあります。

ウォータークーラーが設置されている階には持参した軽食を取ったり、おしゃべりをしたりできるスペースがあり、先日、私が行ったときにはご婦人2人が、それは楽しそうに話をなさっていました。

そこには、きれいな照明も、香り高いコーヒーも、洒落た音楽もありません。

でも、そこには確かに、人と人の結びつきがありました。

このお2人にとって、あの場所は値段がつけられないものなのでしょう。

改装前の武雄市図書館には無料のティーサーバーもあったそうです。お茶で喉を潤し、休憩所の椅子で休みながら、近所の子どもを見て、
「ああ、○○さんちの△△ちゃん、もう1人で図書館に来て本を読むようになったのね。」
などとのんびりお友達と話す。これは贅沢なのでしょうか?

市長は、スターバックスの商品を購入しなければ座れない席は全体のうち、ごくわずかだといいます。座席数については、種々、疑問もありますが、それはとりあえずおいておきます。

友人と語らう場所でお茶を飲みたくとも、そこで売っている飲み物は決して安くない。そんな悲哀をこめて語られた言葉、「千円図書館」。

かつて、そこは市民に開かれた場所でした。お金の心配をしなくても、友人とゆっくり語り合うことのできる場所でした。

その場所への痛切な思いをこめた語られた「千円図書館」という言葉に対し、市長は「無礼な、失礼な話」と切って捨てたのです。

佐賀県武雄市に、何が起きているのか?地方都市の問題解決とは何か?

どうか、こちらのサイトをご覧下さい。