私が知っているのは、基本的に私たちは何も知らないということー気になる狭山裁判 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

私自身は狭山差別裁判という言葉は使わないが、実に気になっている事件がある。

日本の司法を正す会で再審請求を求めている狭山事件の石川一雄氏の話を聞いてから、ずっと私のところに送られてくる小冊子がある。

「東京高裁は狭山事件の事実調べー再審を行え!検察庁は隠し持つ全証拠を開示せよ!!石川さんは無実だ!!」
検察官は証拠物を開示せよ、441号と大きく書かれた表紙の裏表紙にそういう記載がある小冊子だ。

これが実に気になる。
内容を読めば読むほど気になる。
自分でも何か始めなければならない、という気になる。
こんな杜撰な捜査、杜撰な取り調べ、杜撰な裁判があっていいものか、という気になる。

441号という数字が実に重い。
毎月1号発行してきたとして、実に37年近くこの小冊子を発行してきたということだ。

あれ。私が弁護士登録した頃からずっとこの活動が続いていたんだ。
そういう不思議な思いに捉われている。

私は、この事件には一切関わったことがない。
部落解放同盟中本本部、中央闘争本部というこの小冊子の発行者の名前に恐れ戦いていたからである。
狭山差別裁判という言葉の持つ過剰な政治性に危険性を感じ取ったからである。
しかし、この小冊子に記載されていることは、普通の法律実務家にとっては到底看過できないような重要な事実ばかりである。

石川被告の事件は、部落解放同盟という団体が介在していなければ私のような普通の弁護士が取り組んでもおかしくないような事件である。

私は、部落開放同盟という団体が介在しているということで石川事件のことを知ろうとしなかった。
まだ私自身が本当のことを知っているわけではない。
多分、裁判所も本当のことはまだ知らない。

私が知っていることは、ただ私がこれまで何も知らなかったということだ。
今は、ただ無性に本当のことが知りたい。
本当のことを知るために、検察官は証拠物をすべて開示すべきだ。
東京高裁は、再審を開始して狭山事件の再審を行うべきだ。

これが、私の感想である。

多分東京高裁は再審への道を開くと思うが、狭山裁判の行方が気になって仕方がない。