日本の「働く」に普通はあるのか。 | 若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog

日本の「働く」に普通はあるのか。

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「普通」と同様に「常識」とか「一般的」「みんな」という
言葉を聴くと、それってどの程度の範囲/経験において
その言葉を使っているのか疑問に思う(時にたずねる)。

日本にいれば、蛇口をひねると綺麗な水が出るのは「普通」だ。
外国にルーツがある子どもたちや大人もいるけれど、多くの場合
日本語を話せれば大方のひとと会話ができるのも「普通」。

ネットの回線が遅かったりもするけど、他国で味わうネット接続の
悪さも(一部地域は大変だけど)感じない。「普通」にネットに
つながる。

つまり、それは当たり前にある環境や、自分の周囲につどう
ひとたち(関係性)においてみんなが「そうだ」と思って
いれば、その感覚が「普通」になる。

しかし、一歩、自分の関係性の外、地域の外、国の外に
出ると、その「普通」が「普通」でなかったりする。
それで驚いたり、気がついたり、ときにはビジネスチャンスを
感じることもあるんだと思う。

違いを感じなければ、どんなものも「普通」であると
認識しやすい。

僕は、若年無業者のなかでも「非求職型」と「非希望型」に
類型される若者のなかで、働くことや自立のサポートを
必要としているひとに支援サービスを提供しているのだが

こと「働く」ことに関しての「普通」という感覚は
諦めにも似た、絶望的な、簡単には手に入らない、特別な
ものという認識が広がっているように思う。

では、そもそも働くにあたって「普通」とは何か。

人材コンサルタントの常見洋平さんが出された

普通に働け (イースト新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4781650120/ref=cm_sw_r_tw_dp_x7Hysb0BGVNS0

は、そんな素朴な疑問に真正面から挑んだ良書だった。

メディアや書籍、ネットなんかでも、「働く」に関して
流れる情報は、

非常にシンドイ状況にフォーカスしたものや、起業家や成功者(途中のひと)に
フォーカスしたものが多くないだろうか。

特に、シンドイ状況にあるひとの環境を変えていくには
見えづらい諸問題をクローズアップすることは重要だ。

過剰な労働時間やストレスフルな職場環境、人間関係の
劣化、どれもこれもひどいものだと感じる。

先日、友人の結婚式で、久しぶりにあった留学時代の友人が
とても疲れていたので、話を聴くと、過剰な労働や頻発する
クライアントとの飲み会、社内結束を計るための拒否不可能な
懇親会に「それっておかしいよ」と言ったら、

「よくあることですし、慣れました。まぁ、社蓄なんで(苦笑)」
と言っていた。

正直、僕の周囲には彼のような労働状況で疲弊しながら
働く友人は少ない(相談者にはいる)。もし、いまの仕事を
していなかったら、

僕にとっての「働く」における「普通」は、仕事は大変なことも
あるが、それなりにお休みもあって、休日には友人や家族と
どこかにでかけていることになる。facebookでもそんな
写真で溢れている。

でも、僕の友人は自分の職場環境を”よくあること”だと
言っている。きっと、彼の周囲は当たり前に残業し、当たり前に
接待をし、当たり前に職場の拒否不可能な懇親会があるのだろう。


では、社会的に「働くことの普通」って何だろう。
いまの社会を覆っている空気や情報のシャワーを浴びると
厳しい(おかしい)職場環境は「普通」になってしまうの
ではないだろうか。

本書は、この「普通」を多角的に抽出していく。
切り取られた”衝撃的な”データを、多様な観点から
再点検して、切り取られたことであることを示していく。

多くのひとが「普通に生きたい、働きたい」と思っている。

そう「はじめに」に書いてあるが、僕もそれを感じている。
そして、わざわざソレを望んだり、思ったり、願ったり
しなければならないのは、「普通」ではないことが「普通」で
あるが故のことではないかと思うのだ。

正直、この本は売れづらいようにも思う。なにせ、僕らが
望む、望まざるに関わらず触れている”衝撃的””悲劇的”
な話もなければ、成功者の話もでてこない。

淡々と「働くことの普通」に迫っていく。

僕らは所詮人間なので、よっぽどのリテラシーや
心持ちがなければ、周囲に溢れる情報に影響を受ける。

だからこそ、本書を読むことで自分にとっての「普通」という
定義を再構築すべきではないだろうか。もしかすると、
僕らの「働く」における「普通」は「普通」ではないのかも
しれない。

いろいろな働くがあるなかでの「普通」という軸を
いま一度捉えなおすきっかけになるのではないだろうか。

常見さん、ご挨拶させていただいたことすらないにも
関わらず、ご献本ありがとうございました。いつも
twitterでTL拝見しています。

自宅に、本書が二冊あります(笑)


NPO法人「育て上げ」ネット
理事長 工藤 啓


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「NPOで働く-社会の課題を解決する仕事」(東洋経済新報社)
「16才のための暮らしワークブック」(主婦の友社)
「育て上げ-ワカモノの自立を支援する」(駿河台出版)
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