ケネディー・フィーバーに醒めた目を | 永田町異聞

ケネディー・フィーバーに醒めた目を

醒めた目を持っておきたい。


キャロライン・ケネディの大使着任を喜ぶのもいいだろう。が、その人選の背景にあるアメリカの事情に思いをはせるべきだ。


醒めた目とは、米国から日本をにらむ眼でもある。自分が米国の支配者だと想像して、わが日本をながめたとき、こう考えるのではないか。


のぼせ上がり、恍惚状態の安倍政権をたらしこんで、スムーズに日本の自衛隊を米軍の配下の戦力として組み込むには、親日家のケネディ家というソフトイメージで日本国中を包み込み、目を眩ませておくのがいい。近視眼的な日本のメディアはスイート・キャロラインを踊ってくれるはずだ。


実際、米国の言いなりになる安倍自民党政権は、米国とどんな密約を結んで国民を騙そうと、永久に隠し通せる法案を成立させるために、躍起になっている。


NYタイムズは秘密国家になりゆく姿に懸念を表明するが、米政府にとっては、とりあえず都合がいい。


イラクやアフガンの戦争で軍需産業を大いに儲けさせたツケが回り、財政の壁が聳え立って軍事費を思うように使えない米国としては、平和に慣れきった日本国民をごまかしてでも、米軍需産業の利益のタネや、自衛隊員の命を提供してほしいからだ。


米国にとってありがたいことに、日本の官僚を言いくるめるための協議は、さほど難しいことではなかったようだ。機密情報を提供するから、それを保護するための法律をつくるべきだという甘言に、すぐに飛びついてくれる。


「積極的平和主義」という名の偽装平和主義もまかり通り、安倍政権は近々、アメリカ軍と自衛隊が組んで、地球上のどこででも武力行使をすることを可能にする法案の提出をもくろんでいる。


日米共同軍事作戦の遂行には、日本国民がいちいち文句をつけ、自民党政権を潰すことがないよう、これまで以上の情報操作が必要だということで、日米両政府の思惑が一致しているのだろう。


情報を公開しているように見せかけて、その実、肝心な内容は隠している。それはこれまでも、さんざんやってきたことだが、集団自衛権行使へ向け特定秘密保護法などというものが成立するとなると、戦後の日本人が築き上げてきた「平和国家」の信用は地に堕ち、国民の自由は国家権力にますます封殺される。


この流れを食い止めねばならない。安倍自民党政権の暴走を許してはならない。


新 恭  (ツイッターアカウント:aratakyo)