一昨日参りました、『むかしむかしの素敵なピアノ展』。
楽器の演奏もですが、その内部の構造や歴史にも非常に興味がある
私には、夢の様な時間でした。
まだ、余韻が残っていますが、普段通りの生活に…
つまりは現実世界に戻っております。
しかし、気持ちはどこかうわの空~(笑)。
やはり、ピアノってスゴイ楽器だとあらためてため息が出るのです。
本日は、フォトギャラリー(=あくまで私視線で)をご紹介いたします。
あまり説明を入れると、いつぞやのピアノパッサージュの時の
長すぎるブログの様になってしまい、おそらく読んで下さっている
みなさまを閉口させてしまうので、なるべく短めにします。(←宣言)
現在のピアノの直接のご先祖さまは、
イタリアのクリストーフォリが発明し、1720年に製作した
『弱音と強音を伴う大型チェンバロ』です。
現存する彼の作は現在世界で3台のみ。
そのうちの1台、メトロポリタン美術館所蔵の楽器のレプリカがこちら。
(河合楽器製作所複製・1995年)
(突き上げ式・シングルエスケープメント・全長228.0・49鍵)
ちなみに、浜松市楽器博物館に展示されている時はこんな感じ。
見た目だけでなく、音色も美しく繊細です。
ピアノって、弦楽器なんだな~と実感できます。
その音を作り出すために、どれだけの苦労があったことでしょう。
さぁ、先にご紹介してしまいますが、
1760年頃、ロンドンでスクエアピアノが流行。
(ブロードウッド・1808~1820・全幅168.0・68鍵)
コンパクトに、しかも手に入れやすい価格だったため、
家庭でも気軽に連弾などできたそうです。
量産を始めたイギリスの伝統的メーカー・ブロードウッド。
このころ、産業革命の影響で工業技術が進歩しました。
ブロードウッドは、最新の技術を楽器製作に取り入れ、
物理学者や音響学者の助言も得ながらピアノを生産していきました。
(ブロードウッド1802年頃・突き上げ式・シングルエスケープメント
全長227.0・68鍵・ダンパーペダル&ウナコルダ)
『ミニコンサート』で、荒川智美さんがワルターを除くすべての
フォルテピアノを演奏されました。
この時代に生きた音楽家の、おそらくこのピアノに近いものを
使って作曲・演奏したであろう作品を堪能。
良く響く、力強い音色。
このピアノを好んだ作曲家は、
ハイドン、メンデルスゾーン、ベートーヴェンなど。
ここでワルターのフォルテピアノが入りますが、
サロンコンサートのため、6階にお出かけ中でした。
(伝)グラ―フ 1820年製(オーストリア・ウィーン)
跳ね上げ式・シングルエスケープメント・全長242.0・80鍵)
どんな繊細な表現も、敏感に感じ取ってくれるピアノであると感じました。
その外観だけではなく、中身も非常に凝っていて、
常に音色に対して貪欲に追求し、研究を重ねたグラ―フ。
量産を嫌い、同じ型のピアノを作ることを避けていたそうです。
まさに…採算度外視でしょうね~。
このように時間と手間がいくらかかろうとも、音色に対し、
革新的なものを求め続けた匠たち。
そしてその技。材料へのこだわり。
音楽家たちの意見に真摯に耳を傾け、
こだわりと誇りを持って製作にあたったであろう、偉大な人たち。
もうこれは、感服せずにはいられません。
ちなみに、ペダルも面白くてですね、
ダンパー、フェアシ―ブング(ウナコルダ)、ファゴット
の3種類ありました。
このファゴットを使った、シューベルトの『楽興の時』の演奏を聴きました。
ビリビリという羊皮紙の音が加わって、非常に新鮮な響き♪
ああ、そうそう。
さらにちなみに別のフォルテピアノですが、浜松で5本ペダルも観ました。
ピアノの音色プラスアルファで、もっといろんな音を取り入れようと
試みたのですね~。
さて、最後にエラ―ルのピアノです。
(フランス パリ・1874年・突き上げ式・ダブルエスケープメント
エラ―ルが生み出した、ダブル・エスケープメントという仕組みが、
現代のピアノにも使われています。
鍵盤を押し下げ、それが上がりきらないうちにまた打鍵できるという
素晴らしいもの。
素早い同音連打が可能になり、リストなどの超絶技巧を
得意とする音楽家に好まれました。
エラ―ルのピアノは華麗で良く響く音がしました。
この楽器を使ってリストは、ご夫人方を失神させるほどの
演奏を披露したのですね~。(←そこなのか~?!)
ドビュッシーやラヴェルなどの近代フランス音楽の作曲家にも
こよなく愛された、というのも深く頷けます。
ペダルは、ダンパーとウナコルダ。
エラ―ルのフォルテピアノには、金属製のフレームが入っています。
これにより、弦の張力をさらに強力にすることができるように
なったのですね。
また、お気づきの方も多いと思いますが、現代のピアノは低音部の弦が
交差していますが(より豊かな響きのため)、
この時代のものはみな弦が平行に張られています。
いろんな経緯があって、今のピアノに至る…。
まさに、今のピアノに至るまで、多くの音楽家と匠たちの
知恵と工夫、試行錯誤の積み重ねであると実感します。
体感展示として、チェンバロの発音の仕組み(撥弦)、
跳ね上げ式と突き上げ式、タンジェントピアノの仕組みなども
模型で実際に体感できました。
…え~っとですね。。。
すみません、結局なが~い記事になっています。
やっとここから、昨日の記事『フォルテピアノの響き』につながるわけです。
ワルターの音色は一番身体に残っています。
これは、実際に生演奏を聴かないと感じられないものかも
知れないですね。
ワルター(オーストリア・ウィーン)
1810年・跳ね上げ式・シングルエスケープメント・全長230.0・73鍵
ペダルは膝で操作します。
フォルテピアノはその楽器によって、鍵盤の数もタッチも、
鍵盤の材質も色も、ペダルの効果と位置も、
ぜ~んぶ違うので、それを美しく鳴らすことのできる
小倉貴久子さんは…本当に素晴らしいピアニストだと感じました。
室内はおそらく20度以下の寒~い状態。
ピアノに影響の出ないように設定されました。
調律も大変です。
では、ここからは本当にフォトギャラリーでどうぞ。
同時開催の『楽器研究所』も、楽しかったですよ~。
結局…今回もこんな長さになりました。
普段、無口のくせにしゃべりだすと止まらないB型です。
お付き合いくださいまして、誠にありがとうございます。
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