今年のノーベル医学・生理学賞は米仏3人の研究者に贈られ、期待されていた京都大学・山中伸弥教授への授賞は来年以降に見送られた。


山中教授の研究は、
「iPS細胞の開発」
である。門外漢の私ではあるが一言で説明すると、皮膚などの細胞にある種の「細工」を施すことによって、皮膚以外のさまざまな臓器が作れるという技術である。これにより、疾患を受けた臓器―たとえば骨や肝臓など―を作り出し、移植に使えるようになる。

特筆すべき点は2つ。ひとつは自分の皮膚細胞から作った臓器であるから、移植に伴う拒絶反応が起こらないこと。もうひとつはもっと重要であるが、臓器に分化させるのに受精卵を必要としないこと。言うまでもなく、人間はたった1つの受精卵からさまざまな臓器が分化し、体のすべてが形成される。しかし、受精卵を培養して用意した臓器を移植することは倫理的に許されない。



生命倫理の問題は分かりにくいかも知れない。ここでは昔見た、
「世にも奇妙な物語」
(ストーリー・テラーはもちろんタモリ)
の1つのエピソードを紹介しよう。


………………

ある青年が眠りから覚めたところ、自分が誰だったのか記憶が無い。
「自分は誰だろう…?」
病院に入院しているようであり、医者やナースは自分を大切に扱ってくれる。不満はないけれど、病院で何をしたら良いか分からない。湧き起こる疑問、
「自分は何のために生きているのだろう…?」


そんなとき、ふと病室を抜けて出くわしたのは、自分と姿かたちがそっくりの青年。ニヤリと不気味に笑い、立ち去る彼。
「もしかして、『彼』は自分のクローン?」


病室に戻ると、医者は明日、臓器移植の手術を行なうと言う。
「『どこ』が悪いのでしょうか? 『自分』は治るのでしょうか?」
医者は教えてくれない。黙する医者の表情に『彼』と同じ不気味さを感じた。


不安になった青年は、病院のあちらこちらを歩き回り、ある一室で見てしまう。ガラスケースの中で人間が液体づけにされている。
「この病院では人間が培養されている!」
不安と、何とは無しに感じる恐怖。


$GIPSY☆TOSHI ♭\(∂_∂)/♯ の何でもアリ♪-培養


その不安はやがてひとつの結論に達する。
「『彼』が自分のクローンでなく、自分が『彼』のクローンだ! 自分は『彼』の細胞を使って、ガラスケースで培養されたんだ!」
自分に記憶がない理由が分かった。
「しかし、何のため?」


翌日、手術が始まり、手術台の上で青年はすべてを悟ってしまう。『彼』、そして医者の不気味な笑いの意味も、ナースによる大切な「扱い」の理由も。恐怖が本物に変わった。
「自分は、『彼の臓器移植』のために作られたんだ!」
「手術で自分の臓器が取り去られ、『彼』が治るんだ!」

「そして自分は…! 助けてくれー!!」

声を上げ、逃げようとするが、もはや麻酔が効いて…。

………………

いかがだろうか。「スペアパーツ」の臓器を取るために、人間が培養されて良いはずがない。培養された側の人間が自我を持つ以上、命の尊厳を無視することは倫理的に許されない。

山中教授が開発したiPS細胞は、自我を持つ人間に分化する受精卵を用いることなく、もっと言えば、上のエピソードのように自我を持った人間を用意することなく臓器を作り出すものである。来年以降のノーベル賞受賞を期待したい。



いやぁ、今、思い出しても、あの「世にも奇妙な物語」は怖かった。(x_x;)




P.S. 今夜、発表のノーベル物理学賞はアラン・アスペ(Alain Aspect)かなぁ。そいでもって、明日夜に発表の化学賞はマーティン・カープラス(Martin Karplus)だったりして…。おっと、いつもの当たらない『予知夢』です。:*:・( ̄∀ ̄)・:*:



あらすじキーワード:
ノーベル賞 山中伸弥教授 iPS細胞 臓器移植 生命倫理 世にも奇妙な物語 クローン



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