【TIFFコンペ】「捨てがたき人々」不幸探しをする男が気が付いた幸せと、繰り返す無常。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

TIFFコンペ「捨てがたき人々」を観ました。TIFF11作目です。


ストーリーは、

金も仕事もなく容姿も良くない男は、生きる意味すら見出せないでいた。残されているのは空腹を満たすための食欲と男として生きているだけの証、性欲。ひとりの女と出会った事で性欲と食欲だけが程よく満たされていくが…。思いつきと、行き当たりばったりの人生から、男は、はたしてどんな“幸せ”を知ることができるのか? 

というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-捨てがたき

人間の原点である食欲と性欲のみで生きているような男が主人公で、結構、衝撃的でした。狸穴勇介という男は、自分の生まれ故郷である五島列島の島に帰ってきます。自分の最後は故郷でと思っていたようなんです。島で知り合ったお弁当やの女性に、”もう、生きるのに飽きた。”という狸穴に、京子は命の大切さを諭します。


この京子さんというキャラクターは、とても排他的な勇介のキャラクターと対照的に、宗教にハマっていたりして、とてもキレイ事で生きているような女性です。もちろん、人間には汚い面がある事も解っているけど、でも、その面はあまり見たくないという事。京子さんのキャラクターは、とても一般的な考え方の女性で、普通の人は、結構、京子さんタイプなんじゃないかな。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-捨てがたき

そんな、全く違う2人が出会って、勇介は、少し愛を知り、常識的な考えも持ち、京子は、人間の欲望に直に生きる勇介にちょっと共感する部分も出てきます。今まで、愛を感じた事の無かった2人は、つかの間のしあわせな時間を過ごしたのだと思います。でも、しあわせな時間って、長続きしないんですよね。

この映画に出てくる人物は、すごく欲望に貪欲な人ばかりで、驚くほど乱れている社会なんですけど、ふと考えると、現実の社会もこんなもんなんですよね。結婚していても、他人とSEXする事になんのためらいも無く、浮気に対しての罪悪感も無い。倫理なんて言葉は、この世から無くなってしまったのではないかと思うほどです。そんな世の中に放り出される子供たちは、汚いものを見るように大人を見下げて、何を思うんでしょう。僕をどうして産み落としたのって思っているのかしら。でも、あなたも同じ大人になって行くのよと冷たく言う大人は、とても残酷です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-捨てがたき

本当に、この映画を観ると、人間って何なんだろうって思ってしまいます。何が目的で、こんな動物が生まれたのでしょう。神は、なんで人間に知能なんて与えたのかな。知能が無ければ、ただ、欲望のみで生きていても何の問題も無かったのに。動物なんだけど、そこに知能が入ってくるから、色々考えたり、疑問が生まれたりしてしまう。唯の動物なら良かったのにね。

なんか、とってもハードな内容で、ちょっとAV顔負けってくらい、SEXシーンがありました。でもね、なんか、乱暴なシチュエーションでもあるんだけど、女性が拒みながらも快楽を感じて行く様が良く描かれていたように思えて、観ているこちらも、ちょっとドキドキしちゃいました。望まないSEXでは無く、どこかで求めている女性の雰囲気が現れていて、何ともセクシーでしたね。う~ん、恥ずかしいけど感じちゃいました。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-捨てがたき

この映画、人間の根本にある生きるという事を、結構、正面から見つめていて、面白いと思いました。堕落して生きようが、誠実に生きようが、同じ人生なんです。もちろん、他人に迷惑をかける事は許されないけど、みんなが、丸く収まって生きていけるなら、それはそれで良いんですよね。そしてそこに愛があれば、少し心が裕福になれる。でも、愛も永遠じゃないから、また、そこで色々な問題が生まれる。マジで、人生って、何なんでしょうね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-捨てがたき

この映画、私はお勧めしたいです。ジョージ秋山さんの原作の映画化だそうで、息子の秋山命さんが脚本を担当されています。「ピンクのカーテン」以来の美保純さんの出演もあり、内容のみならず、出演者たちの演技も見どころだと思います。五島列島のレトロな雰囲気の街並みと美しい海も良かったです。
公開は、来年の春だそうですので、楽しみに待っていてくださいね。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




東京国際映画祭 コンペティション 「捨てがたき人々」

http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/lineup/works.php?id=C0015



捨てがたき人々 上 (幻冬舎文庫)/幻冬舎
¥920
Amazon.co.jp

捨てがたき人々 下 (幻冬舎文庫)/幻冬舎
¥920
Amazon.co.jp