ワシントンでアジア政策に何らかの関わりを持っている人たちの間では、今回の総理による靖国参拝は大問題として認識されており、安倍総理を見る目は格段に厳しくなっている。


米国では、靖国神社とは、A級戦犯の合祀や、敷地内の資料館「遊就館」の展示を含め、戦前の日本の行為を正当化する象徴的存在なのである。つまり、そこに日本の総理が参拝することは、事後にどのような説明があったとしても「第二次世界大戦前の日本の行為を正当化する歴史観の肯定」であり、サンフランシスコ講和条約以降の国際秩序(当然、日米安全保障体制もその一部に含まれる)の否定につながる。これは中国や韓国の反応を抜きにして、米国として許容できないものなのである。


安倍政権発足後、米国は水面下であらゆる機会をとらえて「靖国参拝だけはしないでもらいたい」と安倍総理本人やその周辺などに水面下で伝えてきた。安倍は個人の信条を日米同盟の将来や日本の国益に優先させる指導者なのか?大局的判断よりも自分の思い入れにこだわる指導者を米国は信頼できるのか?


これまでは靖国神社参拝を「日本と中国・韓国の間の過去の歴史を巡る問題の一つ」であるとして、事態を静観していた米国が、今回の靖国神社参拝を契機に、この問題に当事者意識を持ち始めるに至っているのである。


靖靖国参拝を米国が許容できない理由



昨年末、安倍総理の靖国参拝があったことに関して。僕はやはり少し驚いたし、何でそんなことするのかなあと思いました。僕個人的には総理が靖国参拝しようがしまいが、どっちでもいいことだ。本当にどうでもいい問題だ。だけど、外交面で日本の国益を損なうとなるとあまり軽視も出来ない。中国や韓国の反応もさることながら、米国の反応が非常に気になります。特に太字の部分、ここがクローズアップされると非常にヤバい気がします。歴史認識に関しては、多くの日本人は近現代史をほとんど学んでないといっても過言ではないので、そんな状態で戦前の日本を肯定するような情報が入ってくると、多くの日本人が勘違いする可能性があります。


「日本が国のために命をささげた人たちを追悼し、敬意を表すことは批判されるべきではない」


そんなことはごもっともなことですが、この一文では国際社会は納得しないだろうと僕は考えます。


 

第二次世界大戦での戦没者数です。日本人も軍人と民間人合わせて約300万人が亡くなりました。当時、中国では内戦があったので約2000万人の犠牲者のうち、どれくらいが日本軍による犠牲者なのか正確には分かりませんが、それでも甚大な被害を与えたことには変わりありません。この多くの犠牲者の遺族はまだ中国で生きておられるわけです。自分の親、兄弟を殺された遺族がですよ。戦争終結から100年もたてば遺族はほとんどいなくなるかもしれませんが、戦後まだ70年ほどしかたってないわけですから、遺族がまだたくさん生きておられるわけですから、一国のリーダーの総理としてはもうちょっとそちらにも配慮して頂きたいと思います。


ちなみに僕は日本人として日本が好きだし、日本に生まれて本当に良かったと思っていますし、自分が日本人であることを誇りにも思っています。お国のために命を落としたご先祖様の英霊に敬意を表する気持ちもあります。だけど戦前の日本を軍国主義へと導いた人たちは嫌いです。どうしても好きになれません。A級戦犯の合祀以降、天皇陛下は靖国参拝を取りやめておられます。それはなぜかということを安倍総理にもお考え頂きたいと思います。