日弁連は、かたなしですわ。(;´Д`) | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

福岡の中心部・天神駅真上の場所にある法律事務所の弁護士です!
日常の法律問題や、弁護士業界のネタ、その他をつらつらと書こうと思います。

ここ数年、法曹養成にいろいろと関わらせていただき、いろいろと勉強させていただきました。
これは、その機会を与えていただいた県弁護士会、日弁連のおかげだと思っております。

しかしながら、日弁連の打ち出す法曹養成制度改革案は、ことごとく弥縫策の域を出るものではなく、戦略的にも中身的にも、まったく希望を持ちえないものである、と断定せざるを得ません。
特に、今年から就任される村越会長がお掲げになられた法曹養成制度に関する選挙公約では、なんらの改善にもならないでしょう。

それにひきかえ、自民党司法制度調査会の打ち出すほうが、実情をしっかり見据えたもので、具体性をもった対策であり、よほど希望に満ちあふれていいます。
http://ameblo.jp/katsuyuki-kawai/entry-11774839589.html
ここで引用されている「法曹養成と法曹人口を考える国会議員の会」の意見書の中のなかでも、以下のフレーズが出色だと思います。

私たちが取り組むべきことは、その場しのぎの弥縫策を作ることではなく、国家と国民の利益を毀損するいまの制度を根っこから改革すること

そして、その前に書かれている以下の点が、とくに重要だと思います。
現状維持に対する強い批判です。なお、太字・下線は、筆者がつけたものです。
5.新司法試験の受験資格を原則として法科大学院修了生に制限したため、経済的に裕福な家庭の子女でないと容易に法曹を志すことができなくなった。三年間(未修者)、仕事をしないで学費・生活費・受験予備校経費を払い続けられる若者がどれほどこの国にいるのだろうか。

法科大学院を経由しようとする適性試験受験者が10,144人と当初の八分の一へ激減する一方、司法試験予備試験の志願者数は今年11,255人に達し、逆転してしまった。これは、法科大学院を中核とする法曹養成制度が「法曹の卵」から事実上の不信任を突き付けられたことを意味する。

他方、法曹養成の中核としようとした法科大学院という仕組みでは、理念はともかく、現実には、進級・修了認定の厳格化によって質を担保する機能は皆無であることが判明している

司法制度改革が想定した「法化社会」とは、法曹としての能力が十分備わっていない弁護士有資格者が社会のすみずみまで行きわたるというものではなかったはずであり、また米国などで見られる過剰な数の弁護士による「訴訟爆発」がわが国でも近い将来、起こり得ると危惧している。
現在だらだらと運営されているにすぎない法科大学院制度に対して、厳しく断罪しています。

これが、提言案の「4 法科大学院制度の見直し」すなわち
司法試験志願者のみならず、合格者や、司法試験そのものとは無関係に法律実務を理解・習得しようとする者など、さまざまな者を対象とした法律実務教育機関として運用されるべきである。
につながっています。

昨年以降、自分は、政府の諸審議会において自己保身としか思えない有害な意見しか出さないようになった既得権益の殿堂(もはや知性の殿堂に非ず)である法科大学院を存置するべきではない、という意見にシフトしていますが、もともとは、法科大学院と司法試験を切り離し、司法試験受験資格から法科大学院卒業という要件を排除するべきだと主張していました。
自民党の提言は、要するに、このことを主張するものです。

ここはかなり気になるところですが(後日書きます)、上記提言書は、もはやいろいろなしがらみの集合体でしかない現在の日弁連執行部の出す様々な法曹養成制度改革に関する声明より、ずっとずっと先に進んでいるように思います。